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クルマ最終更新日:2018.10.25 公開日:2018.10.25

ヤマハと磐田市が低速自動運転の実証実験で連携

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ヤマハ製ゴルフカーをベースに、子会社のヤマハモーターパワープロダクツが開発した自動運転車両「ランドカー」の自動運転車。画像は4人乗りだが、6人乗りのものもある。画像提供:ヤマハ

 ヤマハというとバイクメーカーのイメージが強いが、実は4輪の開発も行っている。1960年代にはトヨタとのコラボレーションで生まれた「2000GT」の生産をヤマハが担当し、現在でもゴルフカーやATV(バギー)、レーシングカートなどを市販している。

 そして低速自動運転車両とそれを中心とした低速ワンマイルモビリティシステムの開発に取り組んでおり、歴史的には1996年にスタートした電磁誘導式の自動運転ゴルフカーの開発まで遡る。そのヤマハが10月16日に、本社がある静岡県磐田市と、市内での低速自動運転技術に関する実証実験についての連携協定を締結したことを発表。ヤマハと磐田市は、今回の締結に基づき、自動運転に要求される機能と利用価値を把握し、市民生活の利便性向上を目指すとしている。

 実証実験の開始時期は2019年前半で、期間は2年間を予定。実験場所は市内の数か所。実験の目的としては、公道という実際の環境における低速自動運転車両向けの新規技術の評価と改良、低速自動運転車両の安全かつ円滑な運行に求められる交通環境の検討としている。正式な開始時期や実験場所などは、後日発表の予定だ。

実験車両はEVゴルフカーベースの自動運転車両「ランドカー」

 実験車両は、これまでの実証実験や、輪島市の無料新交通システム「WA-MO(ワーモ ※1)」などで利用されている車両と同様に、ヤマハ製のEVゴルフカーをベースとした自動運転車両になるという。スペックの詳細はのちほど発表される予定。

 これまでの車両は「ランドカー」と呼ばれ、子会社でゴルフカーを手がけるヤマハモーターパワープロダクツが改造を担当。「ランドカー」は、国土交通省の「中山間地域における道の駅などを拠点とした自動運転サービス実証実験」でも使用車両として選定されており、それによれば乗車人数が4人用(シート2列)と6人用(シート3列)の2種類がある。自動運転時の運行速度は、時速12km程度までだ(手動なら時速20kmまで)。この低速度ではシートベルトの義務も免除される。混在交通環境下の公道では運転自動化レベル2(※2)で、あくまでもドライバーの運転支援に留まるが、専用路ならレベル4(※3)の運転をシステムに全てまかせられる性能を有するとしている。

※1 WA-MO:Wajima small MObility。輪島商工会議所が次世代交通対策事業として無料で運用中
※2 運転自動化レベル2:自動運転技術のレベルを示す運転自動化レベルは、政府が「官民ITS構想・ロードマップ2018」でも採用したSAEの定義が一般的に使われている。SAEとは、モビリティの専門家が参加している米国の非営利団体「Society of Automotive Engineers International」のことで、同団体が2016年9月に発表した「J3016」の定義が用いられている。レベル2は部分運転自動化のことで、運転自動化システムが縦方向(前後)および横方向(左右)の両方の車両制御のサブタスクを限定領域において実行するというもの。安全運転にかかわる監視、対応主体はドライバー。
※3 運転自動化レベル4:高度運転自動化のこと。運転自動化システムがすべての動的運転タスクおよび作動継続が困難な場合への応答を限定領域に実行するというもの。安全運転にかかわる監視、対応主体はシステムだ。

今回は磁気マーカー方式ではなく「VGL方式」を採用!

 また「WA-MO」も含めて「ランドカー」は、これまでは埋設された磁気マーカーを車体下面のセンサーで検知し、ルートを確かめながら走行する方式が採用されてきた。しかし今回は、車両底面の「路面テクスチャー読み取り用カメラ」を用いて路面の様子を読み取って決められたルートを走行する「VGL(※4)」方式を採用するという。

※4 VGL:Virtual Guide Line

 これにより、磁気マーカーを埋設するインフラ工事が不要となり、導入費用を大きく抑えられる。VGL方式とは、撮影された路面画像と、事前に記録したマップデータベース情報との画像マッチングをすることで、車両の位置姿勢情報を取得して自車位置を同定する方式のことをいう。ヤマハは同技術の開発を進めており、デモ走行の映像も公開している。

VGL方式を用いて自動運転のデモ走行を行った際の様子。

 さらに、オンデマンド配車機能を搭載する予定。これにより、スマートフォン用の配車アプリを利用することで、利用したい人のすぐ近くまで「ランドカー」を配車可能にするとしている。

 ヤマハとしては技術を確立した後は、事業性検証のための実証を行い、磐田市へのサービス供用を視野に入れているとした。

201年月日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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