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最終更新日:2023.06.19 公開日:2017.07.31

飲んだら座るなっ!? 恐怖の首都圏長距離列車ランキング2017JR東編1/2

いよいよ梅雨も明け、本格的なビアガーデンシーズンに突入。そろそろ、暑気払いなどの飲み会を計画している人たちも多いのではないだろうか?

しかし! ついつい飲み過ぎてしまって、遅い時間帯の電車に乗って座ったが最後、目が覚めたら「ここはどこ!? 深夜割り増しのタクシー代いくらかかるの!?」と、マッハで酔いが醒めた経験をお持ちの方も結構いるのではないだろうか。

そこで、ここではそんな恐るべき事態を避けてもらおうと、2017年7月現在の最新のダイヤで、首都圏の長距離普通列車(乗車に座席指定料金などの特別料金を必要としない)の運行状況を調査してランキングにしてみた。お酒を飲んだときは警戒せよ! まずはJR編の前半戦をお届けする。


今回は実際にありそうな状況を考え、その路線の23区内の外れの駅もしくは山手線圏内の始発駅から都心を抜け、25~30分ほど郊外に向かうという設定(その路線、列車の始発駅から終点駅までのランキングはまた別記事で掲載)。なお、ダイヤは平日を対象とし、上下線は別個に扱っている。

そして、終点まで行ってしまった場合にどれだけの電車賃がかかるか、本来降りる駅まで一般道を使ってクルマで戻る場合の距離と、深夜割り増しのタクシーでおおよそいくらかかるかなどを算出(高速道路料金も別途算出)。乗車駅から終着駅までの距離の最も長いものを1位とし、発表は短い順にしておく。

なお、同じ路線で終着駅が複数ある場合は、最も遠い駅でエントリー。途中まで路線が一緒でも、最終的に路線が分かれて異なる駅が終着駅となる場合は別の路線として扱うことにする。また最終的に終着駅が同じになっても、途中のルートが異なる場合も別扱いとした。

それでは次ページより、まずは前半戦ということで、今回は次点+10~6位を紹介する! 1ページにつき1路線、そしてどこが危ないかの解説も用意した。

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まずは10位から紹介!

次点:武蔵野(京葉)線・東京22:57発

ルート:東京→西船橋(9駅)/23:25着
乗車時間:28分/距離:24.1km/310円
…終着駅:武蔵野線・東所沢(20駅オーバー)/24:29着
総乗車時間:1時間32分/総距離:80.2km/640円

タクシー
一般道:49.9km/乗車時間:2時間
料金:2万円弱
高速道路利用:62.6km/乗車時間:約1時間
ETC料金(深夜割り引き):1660円

翌朝始発
東所沢始発東京行き4:44→西船橋5:45着

西船橋駅は画像右側。東京駅から東へ向かったはずが、真逆の西にいるという恐怖の首都圏外縁巡り。なお武蔵野線は、西国分寺駅で中央本線と接続し、終点の府中本町では南武線と接続する。

傾向と対策

 もはや有楽町駅といった方が適切なほど、ほかの路線のホームから離れている京葉線・東京駅ホーム。そこからは、武蔵野線も数多く発車している。その22時57分以降の東所沢行きは、「終点ですよ」と肩を揺すられたら最後、その夜の内に電車では本来の目的地まで戻れない。千葉の西船橋に向かっていたのに埼玉の東所沢で途方にくれるハメになるのである。

注意してほしいのは、実はその前の時間帯も危険だということ。21時49分から22時37分までの間に、東所沢よりもさらに遠い東京・府中市の府中本町駅行きが4本ある。この時間帯に寝過ごして同駅まで行ってしまうと、もう西船橋までは戻れない。下りはあるが、もう南越谷や東所沢が限界だ。

また西国分寺までとって返し、そこで中央本線の上りに乗り換えるという手もあるが、この時間帯では中野までが限界である。

このように武蔵野線は、首都圏外縁をぐるりと回っているので、寝過ごすと明後日の方向に連れて行ってくれる何ともやっかいな路線である。注意しよう。

それからタクシーの深夜割増料金だが、次点にもかかわらず高速を使うと早くも2万円オーバー。いっそどこかに泊まった方が遙かに安上がりであろう。

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続いて10位も東京駅発!

第10位:京葉線快速・東京22:22発

ルート:東京→南船橋(5駅)/22:48着
乗車時間:26分/距離:26km/470円
…終着駅:内房線・君津(オーバー14駅)/23:49着
総乗車時間:1時間27分/総距離:81.3km/1490円

タクシー
一般道:60.5km/乗車時間:2時間15分
料金:2万円強
高速道路利用:67.4km/約1時間15分
ETC料金(深夜割り引き):1260円

翌朝始発
館山始発千葉行き・君津5:42発→蘇我6:21着
京葉線蘇我始発東京行き快速6:28発→南船橋6:49着

南船橋駅は画像上部。画像下の君津駅まで行くと、東京湾が予想以上に広いことを感じさせてもらえる内房の旅。

傾向と対策

 日が暮れてからの時間帯の京葉線快速には、1時間に1本程度の割合で、内房線直通で千葉県・君津まで行く列車が運行されている。便利なのは間違いないが、飲んだ際にはもちろんデンジャラスである。22時22分発の快速は君津に到着するのが23時49分。その時点で上りは1本もない。

また注意したいのが、似たルートの21時37分の上総一ノ宮行きの京葉線快速。これは22時57分に外房線・上総一ノ宮駅に到着する。その時点で一応上りの最終があるのだが、その千葉行きが出るのがなんと1分後の21時38分。飛び乗ることさえできれば、蘇我乗り換えで南船橋まで戻ることは可能だが、寝むりこけていたら見送る危険性が高いので気をつけたい。

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9位は千葉と神奈川をつなぐあの路線!

第9位:総武線快速・新小岩21:42発

ルート:新小岩→大井町(7駅)/22:09着
乗車時間:27分/距離:20.4km/390円
…終着駅:久里浜・(オーバー22駅)/23:22着
総乗車時間:1時間40分/総距離:88.3km/1420円

タクシー
一般道:54.4km/乗車時間:2時間15分
料金:2万円強~2万円台半ば
高速道路利用:64.0km/約1時間15分
ETC料金(深夜割り引き):1930円

翌朝始発
久里浜始発東京行き4:31発→東京5:52着
東京始発佐倉行き6:00発→新小岩6:12着

第9位の京葉線快速君津行きとは、東京湾を挟んで神奈川側の位置関係。どちらも東京湾の広さを実感できる。

傾向と対策

 総武線快速は東京と千葉方面をつないでいるが、神奈川県の三浦半島方面に向かう横須賀線と相互の直通運転している。夜間の時間帯は半分近くが直通運転せずに東京止まりとなるが、西大井は横須賀線の駅なので、直通運転の久里浜行きや逗子行きを利用することになる。

そして寝過ごしたが最後、終着駅で車掌や駅員に起こされたときには、久里浜駅、運がよくても逗子駅。西大井まで戻れるのは、久里浜駅を23時11分に出る最終・品川行きに乗らなければならず、それが叶うのは新小岩を21時26分に出る久里浜行きまでだ。それ以降の時間帯に西大井まで行きたいときは、23時19分の大船行きが被害が少なく、無難かも知れない。

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第8位はスペシャルな中のスペシャルの西へ向かう赤いヤツ!

第8位:中央線特別快速・23:31東京発

ルート:東京→三鷹(6駅)/:23:59着
乗車時間:28分/距離14.7km/220円
…終着駅:大月・(オーバー15駅)・25:10着
総乗車時間:1時間39分/総距離:87.8km/1490円

タクシー
一般道:74.0km/乗車時間:2時間45分
料金:3万円強~3万円台半ば
高速道路利用:72.5km/約1時間15分
ETC料金(深夜割り引き):1340円

翌朝始発
大月始発高尾行き5:02発→高尾5:38着
高尾始発東京行き快速5:42発→三鷹6:23着

高尾送りでも遠くまで来た感があるが、大月まで行くと、もうちょっとした旅行。開き直ってみるのもありかも知れない。

傾向と対策

 元祖・「寝過ごし列車」として長年、酔いどれサラリーマンたちを凹ませてきた中央線。覚えのある人にとっては、初体験時の「高尾まで来ちまったよ…」という強烈な体験を忘れられないのではないだろうか。

しかし、JRは複数の路線をまたいで直通運転する列車が増えており、東京~高尾間の53.1kmはもはやかわいい部類。そのため今回、高尾行きはベスト10圏外となってしまった。

しかし! 古参・中央線のメンツを守るために奮闘したのが、23時31分の「大月」行きだ。高尾で止まらず、そのまま山梨県に突入、高尾から8駅先まで行くという、特快の中でもさらにスペシャルな列車である。山梨県から首都圏へと通う人々の帰りの足として重宝されているが、もっと手前で降りたい酔いどれサラリーマンにとっては恐怖の列車といえよう!

なお高尾行きに関しては、東京22時53分発の快速までなら、よしんば高尾まで行ってしまったとしても何とか三鷹まで戻れる。しかし、それ以降は戻れても武蔵小金井まで。またその周辺の時間帯に東京を出発する青梅、豊田、国分寺、武蔵小金井行きなども未帰還、もしくは戻れても武蔵小金井という具合なので、酔っていてもデンジャラスタイムとして注意したい。

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第7位は東京湾に沿って走る!

第7位:横須賀線・21:18西大井発

ルート:西大井→新小岩(7駅)/21:45着
乗車時間:27分/距離20.4km/390円
…終着駅:内房線・君津(オーバー15駅)・23:05着
総乗車時間:1時間47分/総距離:88.1km/1663円

タクシー
一般道:75.4km/乗車時間:3時間
料金:3万円前後
高速道路利用:72.9km/約1時間30分
ETC料金(深夜割り引き):2430円

翌朝始発
君津始発逗子行き快速・6:02発→新小岩7:20着
※厳密には始発ではなく、最も早く新小岩へ戻れる列車

第9位の京葉線快速君津行きと似たルートで、さらに距離の長いバージョンといっていい。

傾向と対策

 第8位の新小岩→西大井の逆コース。横須賀線側から総武線快速へと乗り入れるコースは、ほかにも終着駅が外房線の上総一ノ宮、成田線の成田空港(列車名「エアポート成田」)、総武本線の佐倉など複数あるが、実は意外と戻ってこられる。

しかし、この21時18分に西大井を出る内房線・君津行きは、第9位の京葉線快速と同じで未帰還列車だ。君津駅に23時5分に到着した時点で、最終の上り千葉行きが8分前に出てしまったという具合。タッチの差だけに、絶望感に加えて悔しさもあるという、なかなか切ない列車だ。

なお、このあとの千葉方面へ向かう横須賀線は、注意したいのは22時40分の総武本線・佐倉行きのみ。佐倉についたらもう上りの電車はないので、新小岩までタクシーで戻るなら下道で約55km。そのほかは23時48分までは千葉行きのみで、すべて総武線各駅上りで津田沼までは戻れる。津田沼~新小岩間はたったの17km弱と今回の中ではかわいいものである。

また、翌朝の始発で帰ると、新小岩に7時20分に到着となる。毎朝家を出る時間にもよるが、人によってはそのまま会社へ向かった方が遅刻の心配がないかも知れない。

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前半戦最後の第6位は北関東からやって来るあいつ!!

第6位:湘南新宿ライン快速(南行き)・赤羽21:41発

ルート:赤羽→大崎(5駅)/22:11着
乗車時間:30分/距離:24.7km/310円
…終着駅:東海道線・小田原(13駅オーバー)/23:27着
総乗車時間:1時間46分/総距離:106.7km/1660円

タクシー
一般道:80.7km/乗車時間:3時間15分
料金:3万円強~3万円台半ば
高速道路利用:84.0km/乗車時間:約1時間30分
ETC料金(深夜割り引き):1690円

翌朝始発
小田原始発高崎行き(上野東京ライン)
4:30→赤羽6:09着

赤羽から小田原は、つまり東京と神奈川をほぼ縦断してしまうということ。列車の総距離も100kmを超えることに!

傾向と対策

 北関東と伊豆・東海を結ぶ湘南新宿ライン。上野東京ラインよりも歴史が古く、東北本線や高崎線と東海道線を埼京線でもって結んだルートである。その南行きは北関東の大都市を始発駅とし、終着駅は小田原を筆頭に、国府津、逗子など。まさに関東地方縦断の旅を味わえる路線だ。

なお21時41分発小田原行き以降は、22時7分の大船行きを除いて、22時25分の快速小田原行き、最終の22時40分の快速国府津行きが未帰還。列車の走行距離も100kmを超えており、注意したい。

ちなみに小田原で宿泊することにした場合、新幹線「こだま」の三島発の上り始発6時44分に乗って品川で上野東京ラインに乗り換えれば、3390円と料金は高くなるが、7時48分には赤羽に到着することも可能だ。要は、もうこのくらいから本来なら新幹線を利用すべき距離というわけだ。


以上、酔っ払ったときに座ったら最後、ワープを体感させてくれる、首都圏を走る長距離普通列車ランキングJR東日本編の前半戦をお届けした。

経験者の方はもちろん、まだ長距離の寝過ごしをしたことのないという新米サラリーマンや首都圏に引っ越してきたばかりの方も、実に恐ろしい列車がいくつも走っていることをご理解いただけたのではないだろうか。地獄を見ないためにもほどほどの飲酒にとどめ、終着駅で駅員や車掌に肩を揺すられることがないようにしよう。

そして後半戦のベスト5は、さらに体験したらと思うと青ざめること間違いなしの強豪が居並ぶ。こちらからどうぞ。ご期待いただきたい!

2017年7月30日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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