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最終更新日:2017.04.11 公開日:2017.04.11

ドイツのタクシーはベンツ!? ヨーロッパ自動車大国のタクシー事情

BクラスからVクラスまで揃った現行のメルセデス・ベンツ社のタクシー仕様車。© Daimler AG

 新年度がスタートして4月はなにかと慌しい季節です。タクシーを使う機会も多くなると思いますが、普段なにげなく接しているタクシー専用車の発祥地、ドイツのタクシーについてお届けします。


 日本では高級車のメルセデス・ベンツ。しかしドイツでは、タクシーといえばベンツが当たり前となっている。実際2000年ごろまでドイツのタクシー車の製造市場は、ほぼメルセデス・ベンツ社の独占状態だった。

 メルセデス・ベンツがドイツのタクシー車の伝統を作り上げてきたのは、1897年に世界初のエンジンを搭載したタクシー専用車「ダイムラー・ヴィクトリア」を製造したことに由来する。

シュトゥットガルトのタクシー会社フリードリッヒ・グライナーの依頼によって製造された、「ダイムラー・ヴィクトリア」。© Daimler AG

 ダイムラー・ヴィクトリアの値段は5530ドイツマルク。これは教員の年収が2000ドイツマルク相当だった当時にしては破格の高値だった。しかし、ダイムラー・ヴィクトリアの1日あたりの走行距離は70Kmという、その時代の主流移動手段だった馬車が走れる範囲をはるかに超える、画期的な技術革新だった。

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ベンツ・タクシーの今にいたる道

 モーター技術の進化とともに、ベンツ社のタクシー車製造も様々な改良とモデルチェンジが行われた。

1950年に製造されていたモデル170D。© Daimler AG

 70年代~90年代にかけて、圧倒的な普及率で「タクシー=ベンツ」のイメージを植えつけたがW123シリーズだ。数々のドイツ映画に出演したり、タクシーという特別な”個室”での思い出がこもったこの車両に思い入れを持つドイツ人は多い。ゆったりとした車内と皮のソファーが程よいすわり心地のW123は、目的地までのひと時を贅沢な気分にしてくれた。

1975年~1986年にかけて270万台を生産した不滅のロングセラー、W123シリーズ。© Daimler AG

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タクシーに乗りながら高級セダンを堪能?

 現在、メルセデス・ベンツは、Bクラス、Cクラス、Eクラス、Sクラス、Vクラスの多様なタクシー車を提供している。

先端技術に上質な乗り味を実現したEクラスのタクシー。ドイツのタクシーは、クリーム色のボディにボンネットの黄色いタクシー表示が目印。© Daimler AG

 興味深いのは、これらタクシー車の仕様が、タクシーメーター、ボディの塗装、無線といったタクシーとして必要なもの以外は特別な装備が施されておらず、基本的には一般乗用車と同じであることだ。安全性と乗り心地を配慮した、数々の名セダンを世に送ってきたメーカーならではのことであるが、旅行者がドイツの街角でタクシーを拾い、ベンツに乗れるなんてちょっとしたお得気分を味わえる。

 ドイツのタクシーは現在、多様化の傾向にあり、ベンツ以外のメーカー車も増えつつある。しかし大手タクシー会社の「ベンツ・タクシー」の信頼は大きいし、ベンツ本社のお膝元シュトゥットガルトでは、やはり街を流しているほとんどのタクシーはベンツである。

 ドイツ人の日常に欠かせない、タクシーの歴史を織り成してきたベンツ・タクシー。ドイツに行った折には是非とも体験していただきたい。

2017年4月11日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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