長年の膝の痛みとさよなら! 人工膝関節にして「よかった」が96%
膝を曲げて座ることの多い日本人の生活様式が大きな要因
ベッドやイスで生活する欧米人の生活様式。対して、日本人は畳の上で胡坐をかいたり、低い位置から立ったり座ったりするなど、膝(ひざ)を深く曲げる生活様式が一般的だ。
いわゆる「変形性膝関節症」の症状は、そうした生活様式が長年続くことによって、膝に痛みなどのトラブルを抱えるようになる。40代から増え始めるといい、60代では男性の4割以上、女性の6割以上にもなり、診断上の患者数は2500万人にものぼる。
人工膝関節置換術は年間7万件以上
運動療法や薬物治療でもなかなか痛みが取れない変形性膝関節症。痛みを取るのに現在、最も効果的なのは痛みの元となる関節を人工関節に入れ替える外科手術とされている。
変形性膝関節症の治療法はさまざまにあり、軽症のうちは、運動療法、装具や補助具の使用、湿布薬や軟膏などの外用薬からステロイドやヒアルロン酸注射などの薬物治療が行われる。
重症になると外科手術によって、「人工膝関節置換術」が行われる。人工関節の性能が飛躍的に向上したこともあって、「人工膝関節置換術」は実に年間7万件以上が行われている。急速に高齢化が進む日本においては、すでに一般的な治療法になっているといえる。
人工膝関節置換術とは、軟骨がすり減って変形するなどして痛みの原因となる膝関節の表面を取り除き、セラミックや金属で作られた人工関節に置き換える手術のこと。痛みの原因を完全に除去するため痛みを取る効果が大きい。膝の痛みによって諦めていたことも、その多くが独力でできるようになるといわれている。
置換術を受けた96%が手術に満足
このたび、月 600 万人が利用する病院検索・医薬品検索・医療情報サイト群ならびに医療者向けサービスを運営するQLife(キューライフ)が、この人工膝関節置換術に関する興味深いアンケートを実施、その結果を公表した。
それによると、人工膝関節置換術を受けた患者の、実に96%が「受けてよかった」と回答し、それまで痛みのためにできなかったことが、できるようになり、QOL(クォリティー・オブ・ライフ)が大きく向上したことがわかる結果となっている。
同アンケートは、人工膝関節置換術を経験した患者(家族も含む)と、 60歳以上で変形性膝関節症を発症しているが手術は未経験の患者、合計800名を対象にインターネットを経由して2月14~20日にかけて行われた。
人工膝関節置換術を受けた患者への質問。「手術を決断した理由は?」の回答理由とそのパーセンテージ。
これからの人生をもっと楽しむなら手術は60‐70代がベスト!
痛みを無くして快適に歩けるようになったら、これまでできなかったこともたくさん楽しめるはず!
一般的に術後10年以上の長期成績でも、90%を超える安定した成功率が報告されている人工膝関節置換術。手術を受けた患者の満足度も大変高いが、決断するならやはり体力のある60代~70代前半がいいだろう。全身麻酔や数時間の手術に耐えられる体力もさることながら、手術が成功し痛みがなくなった足でそれまでできなかったことを存分に楽しむ時間が残されているからだ。
痛みのため諦めていた趣味の山歩きやゴルフ、海外旅行やスキー、水泳を楽しむのもよし。洗濯や掃除、買い物など家族の助けに頼っていた日常生活もその多くが自力でできるようになるだろう。何より、これからの長い人生を楽しもう! という前向きな気持ちで毎日を過ごせることも手術の大きな効果になるはずだ。
2017年3月23日(雨輝・加藤久美子)