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クルマ最終更新日:2016.11.11 公開日:2016.11.11

魚介類は朝。EPAやDHAを効率よく吸収

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日本人の魚を食べる量が減っているが、EPAやDHAを摂取できるので、もっと食べるべき!

 EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった栄養素をご存じだろうか?

 EPAは体内で生産することのできない「必須脂肪酸」の1種だ。1960年代後半から続く研究により、「血液をサラサラにする」、「中性脂肪値を下げる」、「血管年齢を若く保つ」ことなどから、心臓病や脳梗塞、動脈硬化などを防ぐといった効果が知られている。

 一方のDHAは、80年代後半から研究が始まり、ヒトの脳や網膜などの神経系に多く含まれている栄養素だ。

 注目されたきっかけは、日本の子どもの知能指数が高いのは魚を食べる機会が多く、DHAの影響ではないかという推測から。一時期、「頭のよくなる栄養素」ということで宣伝されたことを覚えている方も多いのではないだろうか。

 こうした研究成果から、現在では成人にはEPAを、子ども(成長期)にはDHAを多く摂取することが望ましいとされている。

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今回の研究で明らかになったのは?

EPAとDHAはいつ摂取するのがいいのか?

 EPAとDHAについて研究は長く続けられているが、実はこれまで摂取する時間帯と機能性の関連性についてはまったく調べられてこなかったという。そこで産業技術総合研究所とマルハニチロの2者は、マウスを用いた共同研究を2013年より実施してきた。

 そして11月1日になって発表されたのが、「脂質代謝の改善効果が摂取時刻によって異なる」という研究成果だ。

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左が血液中の中性脂肪の、右が肝臓中の中性脂肪の一日の平均値。コントロールとは比較対象とするための群で、普段通りの食餌でEPAやDHAを特に摂取していない。朝に摂取した場合は、有意に(明らかに)中性脂肪の値が減っている。

 マウスに朝食もしくは夕食と共に、EPAやDHAなどの機能性成分を含む魚油を摂取させた結果、朝食時に摂取した方が、果糖の過剰摂取によって引き起こされる脂質代謝異常を、より効率的に改善することが判明したのである。

 果糖とは、清涼飲料水や菓子類などに含まれる糖の1種で、脂肪肝や肥満、高血圧、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の原因と目されている。

 つまり、魚介類を食べることが健康にいいのはもちろん、朝に魚介類を食べることがより健康を促進するということがわかったというわけだ。

 同時に、朝食時の摂取の方が血中のEPAやDHAの濃度を高めることも確認できたという。

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左がDHAの、右がEPAの血液中の濃度。朝食後の方がどちらも有意に増加していることがわかる。

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EPA&DHA、どんな魚に多く含まれているのか?

食べるならどんな魚がいいのか?

 ちなみに、魚といっても非常に多くの種類があるわけで、どんな魚にEPAやDHAが多く含まれているのか? 

 文部科学省が2000(平成12)年に発表した最新版の「五訂増補日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編」によれば、総脂肪酸100g当たりでEPAの量で最も多いのが、まこがれいの21.1g。

 続いて、19.5gのこうなご(いかなご)の佃煮、18.9gのすけとうだらのすり身やからしめんたいこ(たらこはすけとうだらの卵)となる。

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めんたいこはEPAの値が高い。ただし、健康にいいからといっても、カロリーが高めなので食べ過ぎは注意。

 DHAのトップは、34.8gのみなみだらで、34.5gのとびうお、34gのちか及びまふぐと続く。ちなみに馴染みのある中では、5位には33.6gのしらす干しがある。また、すけとうだらのすり身はDHAも33.3gと多い。

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しらす干しはカルシウムも豊富な点もポイントだ。

 もう少し広げて、魚介類で見てみると、EPAは39.4gの毛がにがトップだ。31.4gのずわいがに、29.8gのたらばがに(生、水煮缶詰共に)と、かにが高い。

 一方のDHAは、41.2gでやりいかのくん製およびさきいか、40.2gのするめいかがトップ3。やりいかは、そのほかにもするめや味付け缶詰なども高く、ベスト5中でやりいかが4つも入っている。

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朝から手軽に魚介類を食べるのなら!

缶詰でもEPAやDHAを摂取できるのか?

 なかなか平日の朝から魚介類を気軽に調理する気にはなれいないという方も多いだろうから、缶詰を考えてみてはいかがだろうか。

 五訂増補日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編は缶詰も調べており、いわし、さば、さんま、まぐろ(ツナ)、など、スーパーでよく見かける缶詰の値も掲載されている。

 いわしの場合はまいわしを原材料とした缶詰の水煮、味付け、トマト煮、油漬け、かば焼きが調査された。この中ではEPAは味付けが14.6gでトップ。DHAも11.7gで味付けがトップだった。

 さばに関しては、水煮、味噌煮、味付けの3種類の内、EPAは10.4gの水煮がトップ。DHAも14.3gの水煮がトップだった。

 さんまの缶詰は味付けとかば焼きの2種類が調査され、EPAはどちらも6.3g、DHAは10.6gのかば焼きだ。

 まぐろ(ツナ)は、水煮フレークが2種類、味付けフレークが1種類、油漬けフレークの2種類が調査された。EPAは5.8gの味付けが、DHAは24.8gの水煮フレークのライトが最も多い結果となっている。

 はっきりどのメーカーのどの商品とまでは明記されていないため、具体的にオススメの製品をあげることはできないが、EPAを摂取したいのならいわしの、DHAならマグロの缶詰とはいえそうである。

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ツナ缶は油分が多い方がおいしいのだが、ここはやはりノンオイルのものなどをできれば選びたい。

 缶詰というと、手軽ではあるが、とても人工的で、栄養分があまりなそうなイメージがあるかもしれない。しかし、そんなことはもちろんなく、EPAやDHAも摂取可能だ。

 毎日だと飽きてしまうかも知れないが、あまり魚介類を食さないという人は、週に1回ぐらいは缶詰でもいいので、魚介類を朝食で食べてみてはいかがだろうか。

2016年11月11日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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