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クルマ最終更新日:2016.07.13 公開日:2016.07.13

【動画あり】日産の自動運転技術「プロパイロット」試乗レポ

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「プロパイロット1.0」を搭載したセレナのステアリング周り。エンブレム右側にボタン類が用意されている。

 日産は7月上旬、同社が開発を進めている自動運転技術「プロパイロット」を搭載した、新型「セレナ」のメディア取材会を実施。また、13日には、同新型車を8月下旬に発売すると公開。価格は「プロパイロット」搭載グレードでも300万円以下の価格設定になるという。

 今年3月、同社のカルロス・ゴーン社長が「自動運転技術を、今年発売する新モデルに採用する」と明言し、今回の発表はその約束に添うものとなった。では、実用化された自動運転技術はどのようなものなのか。取材会での記者の体験も含めてレポートしたい。

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「プロパイロット1.0」搭載、新型「セレナ」の体験試乗の様子。テストコースを実際に走ってみた。

プロパイロット1.0は自動運転のレベル2相当

 自動運転のレベルは、4段階に分けて考えられることが多い。レベル1は、衝突被害軽減ブレーキやレーンキープ、クルーズコントロールなど、現在すでに市販車に搭載されている運転支援用の技術。それらの機能を複数連携させ、ステアリング操作と速度制御などを同時に行う、限定的な自動運転を実現する技術がレベル2。レベル3は、非常時のみドライバーが運転を交代する準完全自動運転、レベル4はドライバーをまったく必要としない完全自動運転である。そして、今回の「プロパイロット1.0」は、レベル2に相当する。

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「プロパイロット1.0」の特徴を紹介!

プロパイロット1.0の特徴

 「プロパイロット1.0」は、渋滞時におけるステアリング・アクセル・ブレーキのすべてを自動化したということがポイントのひとつで、日本メーカーでは初めての試みとなる。というと、すでにあるのでは?という疑問も聞こえてきそうだが、より詳しくいうと、前走車が渋滞で停車するのに合わせて停車してその状態を保持する機能が付いたことと、全車速域でステアリング制御を行うということが日本発ということになる。

 「プロパイロット1.0」の具体的な内容は以下のイラストを参考にしてほしい。

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「プロパイロット1.0」が実現している機能。プレゼンテーション資料より抜粋。

「プロパイロット」の今後のロードマップ

 同社の今後の自動運転技術に関するロードマップとしては、自動車専用道路での複数レーンに対応した「プロパイロット2.0」を2018年に市販化する予定だ。そして、一般道での交差点にも対応した「プロパイロット3.0」の市販化を2020年としている。

 なお、2016年5月に行われたG7伊勢志摩サミットにおいて、リーフに搭載されて披露されたものは「プロパイロット3.0」に近いもので、日米の一般道や高速道路でテストを重ねており、交差点やきついカーブにも対応している。

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「プロパイロット」のロードマップ。2020年には一般道の交差点も走れるようになる予定。資料より抜粋。

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実際に「プロパイロット1.0」を体験してみた!

「プロパイロット1.0」は便利というよりも不思議?

 続いては、実際に運転席に乗って「プロパロット1.0」を体感してみた感想をお伝えしたい。ちなみに記者は、自動運転技術を採用したクルマの運転は初体験。自動運転をよく知った専門家の感想ではなく、一般のユーザーが始めて乗った体験に近いと思って読んでほしい。

 まず感じたのが、「不思議」という気持ちである。ステアリングが勝手にコーナーのRに合わせて回っていくので、誰かがラジコンでセレナを操作しているかようのうだ。クルマが意思を持っているような感覚で、自分が運転している感があまりない。このため、始めて体験した人なら、極めて限定的とはいうものの、自動運転感覚を味わえると思う。

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「プロドライブ1.0」を利用中の様子。コーナーのRに合わせてステアリングが切られているが、手は添えられているだけ。

ステアリングから手を放せないもどかしさ

 一方、運転しなくてもクルマが走ってくれるだけに、ステアリングを離せないことがとても「もどかしい!」と感じてしまった。足をペダル類から離すだけでなく、両手もステアリングから離してもっとリラックスした姿勢で乗っていたいと誘惑されてしまうのだ。しかし、それはまだ許されていない。実際、ステアリングをずっと握っていないとアラートが出て「プロパイロット1.0」が解除される機能も、全速域で導入されている。

 しかし、自分で運転するわけではないのにステアリングを握り続けるというのは、個人的には変に気疲れした。せっかくセレナが自動運転をがんばってくれているのでそれを邪魔したくないし、かといってステアリングが認識してくれる程度には握り続けないといけない。というわけで、記者が慣れていないことも大きいとは思うが、そのことに結構神経を使うのだ。本来、より気楽に乗れるはずの自動運転なのに、逆に気づかれしそうだった。

「プロパイロット1.0」で自動運転している最中の様子。ペダル類を踏んでないし、ステアリングが自動で動くのがわかるはず。

 現在、自動運転という言葉の意味や使い方については、識者や専門家の間でいろいろな意見が交わされているが、ユーザー視点でいえば、「プロパイロット1.0」もある種の自動運転であることは間違いないだろう。しかし、一般に思い描かれる完全自動運転からはまだ遠いのも事実である。今回、人気ミニバンに搭載されたことで、多くの人が利用するようになる。その結果、自動運転技術が、実ユーザーの間でどのように評価されるのかは非常に興味深い。要注目である。

2016年7月13日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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