【CEATEC2016特集】トヨタ、今冬に「KIROBO mini」を発売
KIROBO mini。CEATECのトヨタブースで実機を見ることが可能だ。
幕張メッセで10月4~7日(金)まで開催中の、国内最大規模の総合家電展示会「CEATEC2016」。自動車メーカーや、総合家電メーカーの自動車関連製品の出展も多いので、興味深いものをピックアップしてお届けしていく。
それではまず、トヨタから。同社は10月3日、同展示会において、10cmという手のひらサイズのコンパクトなコミュニケーションロボット「KIROBO mini(キロボ・ミニ)」を、全国の同社のディーラーを通じて2017年に発売することを発表した。
また今冬には、東京および愛知の一部ディーラーにおいて、先行販売も計画中で、事前予約の準備が進められているとも発表。本体価格は税別3万9800円の見込みで、別途専用アプリの使用料が必要となり、そちらは月額300円程度の予定だ。
兄貴分のKIROBOは宇宙飛行士ロボット!
KIROBO miniにはベースとなったロボットがあり、それが宇宙飛行士ロボット「KIROBO」だ。
KIROBOは、2013年12月に国際宇宙ステーション(ISS)にて、日本人初のISSコマンダー(船長)となったJAXAの若田光一宇宙飛行士との、世界初となった宇宙でのロボットと人との会話実験を行った(現在は宇宙から帰還して、日本科学未来館で常設展示されている)。
KIROBOの公式動画「KIBO ROBOT PROJECT 総集編」。
このKIROBOは数多くの企業の協力によって開発されたが、その中心となった企業のひとつがトヨタであり、開発責任者を務めたのが同社製品企画室の片岡史憲主査だ。
またKIROBOのデザインは、数々のホビーロボットなどのデザインを担当し、日本でナンバー1のロボットクリエイターといわれ、東京大学先端科学技術センター特任准教授も努める高橋智隆氏。もちろん、KIROBO miniも高橋氏のデザインとなっている。
KIROBO miniはどこにでも一緒に出かけられる!
一緒に外出する際は、持ち運びしやすいようにこのような付属品が用意される予定。
兄貴分のKIROBOは立った姿勢で全長約34cm、重量1kgだったが、KIROBO miniは座ったままの姿勢をしており、座高は約10cm、重量はわずか183gと非常に軽量コンパクトに作られている。
この小型軽量化はいくつかの狙いがある。まず、座った姿勢にすることで関節を稼働させるサーボモータの数を少なくし、それによって本体価格を抑えることがひとつ。
市販のホビーロボット用のサーボモータでも、高性能な製品になるとひとつ1万円ほどになる。そのため、搭載数が増えれば増えるほど複雑な動きができるようにはなるが、その反面、本体価格にすぐ跳ね返えってしまうというデメリットがあるのだ。
そして、KIROBO miniを自宅の好きな場所に飾りやすくしているのはもちろんだが、外出時も一緒に連れて行けるようにと、「いつも一緒」を可能にするという狙いもある。
ただし、KIROBO miniは連続コミュニケーション可能時間は約2.5時間となっており、あまり長時間の連続稼働はできないので、こまめな充電が望ましい。フル充電にかかる時間は約3時間となっている。
コミュニケーション能力の高さが特徴!
ただ小型軽量でいつでもどこにでも持って行けるという点だけが、「いつも一緒」というわけではない。兄貴分のKIROBOは、ISSにて若田コマンダーと会話実験を行ったことからもわかるように、コミュニケーション性能の高いロボットだったが、KIROBO miniもその点を引き継いでいる。
KIROBO miniは、人の話している内容や表情などを読み取った会話をすることができ、また会話に応じた仕草や口調、まばたき、話した人の方向を見る、そして顔を追い続けるといった、雑談のような何気ない会話や表情、仕草をするようになっている。
実際に、CEATECのトヨタブースにて展示されていたKIROBO miniに声をかけてみた際の様子。
KIROBO miniは成長する要素も持つ
KIROBO miniは、持ち主と会話をしていくことで、持ち主の好きなことや嫌いなことを覚えるし、一緒に出かけた場所も覚えられるので、どんどん持ち主に合わせた会話をできるようになるという。要は、同じKIROBO miniでも、持ち主ひとりひとりとの生活によって自動的にカスタマイズされていき、つまり個性が出てくるというわけである。
辞書機能で、持ち主の好みを覚える様子。
さらに、「つながる」サービスを通じて情報を取得する仕組みで、「今日はいっぱい走ったね、お疲れ様」、「おかえり。ぽかぽかお風呂が待ってるよ」といった、クルマや家の状況を踏まえた会話も行えるとした。
クルマと連携している様子。降車時にジタバタと置いていかないでとアピールするのがとてもかわいい。
家と連携している様子。ホームコンピュータのインターフェース的な使い方も可能となる。
ただし、これは、KIROBO miniに対応した「つながる」サービスの利用が可能なクルマ、トヨタホームが提供する「TSC-HEMS」(エネルギー管理)サービスで対応となる予定だ。
これまで、トヨタでは、楽器演奏や案内などを主に行うパートナーロボットや、福祉・医療系のロボットなどが開発されているが、現在のところ、一般への販売にまでは至っていない。そうしたトヨタのロボット開発で市販品として、先陣を切ることとなったのが、このKIROBO miniというわけだ。
トヨタがロボットを作る理由は、同社のクルマ作りの根底にある、「人に寄り添い、心を動かす」という理念を、クルマとは違う形で表現しようとしていることにある。新たなものづくりのチャレンジである「TOYOTA HEART PROJECT」の一環として推進され、それを具現化したひとつがKIROBO miniだとした。
同社は、KIROBO miniとの一緒の暮らしを提供することで、寄り楽しく豊かな人生や社会に貢献していきたいとしている。
2016年10月4日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)
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