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クルマ最終更新日:2021.01.12 公開日:2021.01.12

新型コロナの検査を安全かつ迅速に。発熱検査用の移動可能コンテナを開発

緊急事態宣言が再度発出される中、新型コロナ対策として、病院外で発熱患者の検査ができるコンテナ「発熱検査センター」が、埼玉県内2か所の病院に設置された。コンテナ内は感染危険区域が明確に区分けできるよう設計されており、医療従事者と患者を守ることができる。開発した一般財団法人日本総合研究所は、今回の取り組みの成果を基盤に、全国への展開を進めていきたいとしている。

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医療従事者と患者を守る、高機能コンテナ

高機能コンテナ「発熱検査センター」外観図

出典:一般財団法人日本総合研究所

 一部地域に再度の緊急事態宣言が発出されたが、新型コロナの感染拡大については、いまだ封じ込めるための確実な手段が見つかっていない状況だ。また、医療施設や医療従事者への過度な負担も心配な状況である。

 そのような中、医療従事者と患者を守るための高機能コンテナ「発熱検査センター」が、2020年12月1日からさいたま岩槻病院(埼玉県さいたま市)、同11日から並木病院(埼玉県所沢市)に設置された。開発したのは一般財団法人日本総合研究所(以下、日本総合研究所)で、日本医師会の協力を得て、日本総合研究所の総合政策研究機構客員研究員(医学・工学博士)監修のもと、大手災害防具メーカーの日本エンコン株式会社とともにコンテナを製作してきた。

高機能コンテナ「発熱検査センター」の部屋区別の参考例

出典:一般財団法人日本総合研究所

 今回、運用が開始された「発熱検査センター」は、幅2.4m✕長さ6.1m✕高さ2.6mで、2台のコンテナを1ユニットとして運用される。このコンテナは、「検体採取コンテナ」と「患者待機コンテナ」になっており、それぞれを検体採取・検査、防護服着脱室、待合室として活用する。

検体採取する際には、設置されているついたて越しに腕だけを出して採取を行うことが可能。

出典:一般財団法人日本総合研究所

 コンテナは、専門家監修のもとに運用マニュアルを作成、コンテナ内は感染危険区域(ゾーニング)を明確に区分けできるように設計されている。具体的には、検体採取する際には、設置されているついたて越しに腕だけを出して採取を行うことができる仕組みなどだ。さらに、感染リスク低減のため、コンテナ内には陰圧装置等も装備されている。この陰圧装置とは、室内の空気をHEPAフィルタを通して外気へ排気し、部屋を陰圧にすることで空気感染や飛沫感染等の可能性がある病原体が漏洩することを抑制する仕組みのこと。

 また、病院内で動線を分けるための準備には時間がかかるが、「発熱検査センター」は、トラックで運搬し、医療機関敷地内(院外)に2時間程度で設置が可能。運用についても、設置翌日から開始することができる。

 今後は、全国への積極展開も見据えており、今年東京で開催予定の国際的競技大会の期間中もホストタウンや競技会場で選手やスタッフの検査に役立てたいとしている。

 1ユニットの設置費用は約500万円。同研究所では、今後の展開の準備として既に設置されている2病院分の経費1千万円を目標に、2020121日からクラウドファウンディングを開始している。

 同研究所の寺島実郎会長は「新型コロナ感染拡大という現状こそ、自分たちの『安心・安全・幸福』に対し、各人が『自分事』として考え、自分の命と健康を守るために行動していく好機と言えると思う。幅広い世代の皆様にご参加、ご協力いただけることを切に願っている」と語っている。

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