2022年10月11日 15:00 掲載
ライフスタイル 海外でも大問題! 英国で電動キックボード死傷者数が1年で900%増加
電動キックボードは2021年12月に禁止になっていた
2020年と2021年の、電動キックボードが関与した衝突事故の月別死傷者数。ねずみ色の背景部分は、コロナウイルス感染拡大のパンデミックによるロックダウン期間。2021年12月の大幅な減少は、オミクロン株流行の影響によるものと、もうひとつ大きな理由がある。出典=GOV.UK
イギリスで、すでに電動キックボードが禁止になっているのであれば、なぜ規制法案の改善をIAM RoadSmartは求めているのか? それは、電動キックボードが禁止になった理由が、別の問題によるものだったからだ。
それは、2021年の12月までに電動キックボードのバッテリー爆発による火災発生が相次いだことで、ロンドン交通局が2021年12月13日から「個人が所有する電動キックボードに対して、公共交通機関での使用を禁止する。」と発表したためである。※ロンドン交通局による発表の詳細はこちら
現在は私有地での利用であれば個人所有も認められており、公道で乗る場合はロンドンの制限区域内で、英国運輸省が認めた業者が運営するレンタル用としてのみ走行することが可能だ。
しかし、このレンタルも試験運用としてのサービスであるため、かなりの制限がかかっている。例えば、出発地と到着地の登録や、使用時間、利用目的などのプランをあらかじめ提出する必要があることや、制限区域を出た場合、電動キックボードに内蔵されたGPSが反応し、乗り物の電源を強制的に落としてしまうことだ。トライアルとはいえ、出発地と目的地が制限区域内になければ、電動キックボードのみでの通勤・通学・観光目的での利用は難しいだろう。結果、イギリスでの電動キックボードの普及は、ほぼスタート地点に戻る形となった。
それでも、電動キックボードはロンドンの中心部をはじめ、イギリス国内での道路渋滞を軽減し、環境にもやさしい乗り物として期待されている。そのため、2022年11月のトライアル期間終了後に、イギリス運輸省のスキームに沿ってサービスや規制が再び緩和される可能性がある。IAM RoadSmartが今年の9月に改めて警鐘を鳴らしたのは、現在の試験運用で設けられた安全対策のままでは、死傷者数を減らす根本的な解決方法にならないと判断したからだろう。
さぁ、日本はどうする?
電動キックボードでの走行を後方から確認すると、歩行者のシルエットとほとんど差がないことに驚く。「乗り物」としての視覚情報は地面から高さ30cm程度の後輪まわりと、ハンドル上部にあるサイドミラーの有無をなんとか認識できる程度。(c)tsubasa-mfg - stock.adobe.com
「ラストワンマイルの移動手段」は、今や世界各国にとっても大きな社会課題であり、電動キックボードの普及に対しても大きな期待が寄せられている。そして、日本では2022年4月19日に道路交通法の改正案が可決され、近い将来、電動キックボードでの走行において、"16歳以上は免許不要"や、"ヘルメットの着用は努力義務"などの規制緩和が実施される予定だ。
だが、電動キックボードの走行時において、歩行者や自転車などに衝突する場合、車両などから衝突される場合、そして日本でも起きた、単独での衝突事故でも死傷者が出る可能性があることが、こうして分かっている。ならば、利便性と普及のために安全性の確保がおろそかになれば、結果的に利便性も普及も遠のくという教訓を、日本は海外の実例から学ぶべきではないだろうか。
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