新東名「海老名~東京」の延伸計画とは? 取り残された「未開通区間」に隠された事情。カギを握る2つの「環状道路」とは【いま気になる道路計画】
首都圏~中部地方を結ぶ第2ルート「新東名高速道路」には、実は「海老名~東京」を結ぶ計画があり、現在も未開通のままとなっている。なぜこの区間は実現していないのだろうか。計画の概要や現状について見てみよう。
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新東名が「海老名より東京側」へ延伸する未来は
新東名高速は、海老名で終点となっており、東京方面へ直接行くことはできない。
新東名高速道路は、首都圏~中部地方を結ぶ第2ルートとして、東名高速道路と並行している。海老名南JCT~豊田東JCTの総延長は253kmで、そのうち神奈川県と静岡県の境をまたぐ「新秦野IC~新御殿場IC」の25kmが工事中となっている。
この最終工区は、途中にある「高松トンネル」の難航などにより、開通予定が大幅に遅れている。とはいえ、着実に作業は進行しており、新たな開通見通しが精査されているところだ。
そんな新東名高速だが、東京側の起点が東京都内から遠く離れた「海老名」に位置するのはなぜだろうか。東名高速と同じように、横浜・川崎市内を経由して都内へ接続すれば、東名高速の渋滞ポイントである「大和トンネル」「横浜町田IC」「横浜青葉IC」の混雑も解消されるのではないだろうか。
そもそもの計画はどうだった?
新東名高速「海老名~東京」の未開通区間については、国の資料にも記載されている。
新東名高速の起点が海老名になっている、背景事情について掘り下げてみよう。
高規格道路の整備は、1966年に国が「国土開発幹線自動車道建設法」で予定路線を定めたものを基本として進められている。そこへ1987年の改正で新たにリスト追加されたのが「第二東海自動車道」、つまり新東名高速だ。
ここでは、起点が東京都とされており、1989年には整備優先度の高い「基本計画路線」として、新名神高速と合わせて「横浜~神戸」の延長約455kmが策定されている。
つまり法令上は、新東名高速「海老名~東京」が未開通区間となっており、そのうち「海老名~横浜」は整備優先度の高いとされているのだ。
東京直結が「計画先送り」にされた背景には
第三京浜と横浜新道。東京~戸塚をつなぐ有料道路だ。
新東名高速の未開通区間「海老名~東京」は、国の資料では玉川~横浜泉~海老名というおおまかなルートが示されている。しかし、概略ルートを含めた詳細は、まだ何も決まっていない。
この地名でピンと来た人がいるかもしれない。玉川~横浜の有料道路は、すでに「第三京浜道路」「横浜新道」が開通しており、戸塚までは信号ゼロで到達可能なのだ。しかも、この2つの道路の歴史は古く、先述した「建設法」が策定される前に開通済みだ(それぞれ1965年、1959年に開通)。こうした事情もあって、新東名高速「海老名~東京」は基本計画路線へのピックアップが見送られたのだと考えられる。
当然、当時の国会でもこの未開通区間について「第三京浜を活用するのか? それともさらにもう1本作る意図なのか?」という疑問が上がっている。当局は明言を避けたうえで「東京~神奈川の多摩川横断は55万台、今後さらに増えることが予測される。第二東名の必要性も非常に重要」と答えている。
「第二東名によって東京都心方向へ交通流入が増えるのを、さばききれるか」という点についても議論が交わされ、当局は「首都圏は環状道路の整備が立ち遅れており、外環道や圏央道などが計画されている。こうした計画と整合もとりつつ検討していきたい」とした。
つまり、もし国が新東名高速「海老名~東京」の検討を開始するとすれば、まずは「外環道(東名高速~首都高湾岸線)」の計画具体化が必須となるだろう。なおこの湾岸線への直結計画も、外環道「関越道~東名高速」の開通が遅れたこともあり、議論がなかなか前進していないのが現状だ。
東京直結を果たすのに重要な「もうひとつの環状道路」
新東名高速の延伸区間は「横浜環状道路」に直結する計画。横浜環状道路は将来的に横浜北西線と合流し、第三京浜とも繋がる。
では、基本計画路線としてピックアップされている新東名高速「海老名~横浜」の進捗はどうだろうか。
こちらは2021年に国が策定した「新広域道路交通計画」にも調査路線として、赤丸と矢印で横浜市泉区内あたりまでルートが明記されている。泉区内では構想中の「横浜環状道路」に接続する計画だ。
横浜環状道路は釜利谷~栄~戸塚を経由して、中山周辺で保土ヶ谷バイパスと交差し、最終的に新横浜周辺で第三京浜や横浜北西線へ直通する計画だ。つまり、新東名高速「海老名~横浜」と横浜環状道路の両者が開通を果たせば、東京直通が実現することとなる。
新東名高速「海老名~横浜」の具体化への検討はまだ動き出していないが、整備を求める声は地元から上がり続けている。直近では2025年11月に、新東名高速沿線の自治体で作られる「新東名高速道路建設促進協議会」が国土交通省で要望書を提出。そのなかに「海老名南JCT以東の区間の計画の具体化を図ること」とはっきり記載されている。
一方、横浜環状道路は現在、圏央道「藤沢~横浜区間(横浜湘南道路)」と一体となり、先行開通区間「横浜環状南線」(戸塚~栄JCT・IC~釜利谷JCT)が建設中だ。圏央道としては海老名~茅ヶ崎~横浜横須賀道路~首都高湾岸線が繋がることになる。栄JCT・ICでは、西へ分岐して戸塚の国道1号へ「T字形」支線直結する。
このように新東名高速には「海老名~東京」を結ぶ計画が存在しているが、大きな進捗はない状況だ。まずは新東名高速・横浜環状道路ともに、工事中区間が開通を迎えることが最優先事項だろう。それらが一段落したあとで、新東名高速の整備がどのように進展していくのか、引き続き注視していきたい。
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