外環道「関越~東名」工事の現在は? 陥没事故から5年、シールド完全再開に向けた「地盤補修工事」の進捗【いま気になる道路計画】
東京外かく環状道路の延伸部「関越~東名」区間の工事が長期化している。主な原因は2020年に調布市内の地上で発生した陥没事故だ。その陥没箇所の周辺で地盤補修工事が続いている。本線シールドトンネルの掘進再開の重要なカギを握る、この工事はどこまで進んだのか、現況を見てみよう。
この記事をシェア
外環道は関越~東名を「信号ゼロ」でつなぐ南北軸
外環道は最終的に湾岸線まで直結する計画。
東京外かく環状道路(外環道)は、東京都心から半径約15kmのエリアを環状につなぐ延長約85kmの道路。既存の放射道路(東関東道・常磐道・東北道・関越道・中央道・東名高速・首都高湾岸線)を郊外へと連絡する役割がある。
東側の高谷JCTから反時計回りに千葉県・埼玉県を経由して、東京都練馬区の大泉JCTまでが開通しており、関越道に接続したところで終わっている。
現在は、大泉JCTからさらに南下して、中央道と東名高速に接続する「関越~東名」の約16kmが工事中。同区間には「目白通りIC」「青梅街道IC」「東八道路IC・中央JCT」「東名JCT」が新設される計画だ。
ここが完成すれば、これまで南北ネットワークの連携不足だった東京郊外において、「信号ゼロの南北軸」が誕生することになる。
同区間はこれまでとは異なり、主に地下40m以深を抜ける「大深度地下」のシールドトンネルで構築される。シールドトンネルは、大深度地下法による特別措置により旧来の「用地買収」を前提としないことから、都心部の新路線整備の新しいあり方として、「地下鉄大江戸線」をはじめ採用事例が増えてきている。
外環道(関越~東名)の計画概要。
外環道(関越~東名)の事業化は2009年で、着工が2012年。すでに着工から14年の歳月が経過している。ICランプ周辺部は徐々に姿を見せ始めているが、まだまだ完成の兆しは見えないのが現状だ。
その主要因は、本線シールドトンネルの掘進作業の停滞だ。北行きと南行き計2本のトンネルを北側・南側からそれぞれ掘進する「シールドマシン4基同時体制」で工事がスタートしたが、2020年10月に調布市内の地上で陥没が発生。それから現在に至るまで、シールドマシンによる掘進は北側からの「2基体制」のみになっている。つまり、掘進スピードは実質的に「計画の半分」に落ちているということだ。
では、南側シールドマシンの掘進が再開し、元の「4基体制」に戻るのはいつなのだろうか。そのためには「陥没現場の地盤補修」が完了する必要がある。陥没の発生した周辺地盤をセメント等で固めて、陥没が再発しないようにする作業だ。
この地盤補修は2023年8月にスタートし、すでに1年半が経過している。
トンネル掘削再開に必須の「地盤補修」の現状は?
地盤補修の範囲と方法。
地盤補修とは具体的に何をどうする作業なのか。
補修対象の範囲は、陥没地点を完全にカバーする「幅16m×延長約220m×深さ35~40m」だ。それを一気にセメント固化することは困難なため、「直径4m」の杭状の地盤改良体を横4列に構築していく方法が取られる。
1本あたりの作業日数は約5日。パイプを底まで突き刺し、徐々に地上方向へセメント噴射・撹拌して改良体を仕上げる。それを全部で約220本造成する。
気になる地盤補修の進捗状況は、NEXCO東日本が2025年12月20日に調布市立滝坂小学校で開催した「地盤補修の施工状況等に関するオープンハウス」で明らかにされた。
オープンハウスの資料によると「11月末時点で約220本のうち、概ね6割が完了」したとされている。1年半かけて全体の6割だが、これは当初の計画に対して、以下のように延長されているのが実情だ。
【地盤補修工事の完成めどについての発表】
「2022年12月の準備工事スタートから、およそ2年程度」(2025年初頭めど)
↓
「1年程度延長になる見込み」(2026年初頭めど)※2024年12月に発表
↓
「さらに1年程度延長になる見込み」(2027年初頭めど)※2025年12月に発表
外環道の進捗が遅れる原因とは? 本線貫通までの道のり
外環道の本線シールドトンネル進捗状況(2026年2月6日時点)。
外環道(関越~東名)における地盤補修が計画から遅れている原因は主に2つ、「補修範囲にある家屋の解体」と「地盤補修の作業そのもの」の遅れだ。
地盤補修範囲では、当該地区の住民に立ち退いてもらい(仮移転もしくは買収)、地上をいったん更地にしなければならない。立ち退き対象となる約30件のうち、残り4件の家屋解体が終わっていない状況だ。
また2023年11月には、作業中に付近の川で「気泡が発生した」という事案が報告され、この実態確認などで3か月の工事休止が生じた。こうしたイレギュラー対応により、計画通りに地盤補修が進んでいないのだ。
本線シールドトンネルの完成に不可欠なこの工事が、まずは無事に完了することに期待したい。
もっとも、地盤補修工事が終わったあと、休止中の南側2基のシールドマシンが掘削再開するかどうかはまだ不透明だ。国もNEXCO東日本も再開については明らかにしておらず、現状のまま「北側2基のみ」で調布まで到達する可能性もある。
現在も北側で稼働中のシールドマシン「グリルド」「カラッキィー」は、2019年に掘削開始。約7年かけて「大泉JCTから南へ約4.7km」(青梅街道IC付近)まで掘進完了した。もし、この2基で貫通まで進むとすると、調布の陥没地点までは「残り7~8km」となる。このままのスピードであれば、単純計算であと10年程度の時間がかかることとなる。
もはや数十年にわたる歴史的プロジェクトになりつつある、外環道の延伸工事。シールドトンネルの掘進がいつ完了するのか、引き続き状況を注視していきたい。
記事の画像ギャラリーを見る



