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公開日:2025.12.04

東名「清水IC」周辺の渋滞を解消! ついに「静清バイパス」上りの開通予定が発表。立体化は本格進行中【いま気になる道路計画】

尾羽交差点付近から名古屋方面を望む。2025年11月下旬撮影。

東名高速 清水IC周辺の渋滞を解消するべく「静清(せいしん)バイパス」の立体化(高架化)工事が進められている。その計画やメリット、進捗について紹介しよう。

尾羽交差点付近から名古屋方面を望む。2025年11月下旬撮影。

文=藤井宏治

画像=国交省

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静清バイパスの清水区間が立体化!

静清バイパスの概要。

静清バイパスの概要。

「静清バイパス」は、静岡市清水区興津東町から同市駿河区丸子までを結ぶ延長約24.2kmのバイパス道路だ。東海道新幹線の線路沿いを走る国道1号現道の交通を迂回させ、混雑を解消することを目的に整備された。

1968年に事業化され、2018年には全区間が4車線開通した。静清バイパスは全体をみると6車線または4車線の広い道路だ。八坂西IC~唐瀬ICの高架部分は自動車専用道路で、原付や125cc以下の二輪車は通行禁止となっている。

しかし、東名高速「清水IC」周辺の約2.4kmには信号ありの平面交差部が残っており、日中に激しい渋滞が発生している。この渋滞の解消を目的に、当該区間を立体化(高架化)する工事が進められている。

 

庵原交差点から清水IC西交差点の断面図。まずは上り線だけが開通する予定にある。

庵原交差点から清水IC西交差点の断面図。まずは上り線だけが開通する予定にある。

静清バイパス立体化で期待されるメリット

静清バイパス沿線の物流拠点および清水港への利用経路。

静清バイパス沿線の物流拠点および清水港への利用経路。

静清バイパスの清水立体事業は、清水IC周辺の混雑解消を目的に進められている。この区間は設計速度が60km/hにも関わらず、混雑のピーク時になると平均速度が20km/hを下回るほど流れが悪く、通勤・物流の双方で大きな時間のロスが発生している。住民アンケートでも渋滞や交通事故、環境に問題があり、大幅な改良が必要だという声が挙げられている。

もし、静清バイパスの立体化が完成すると、清水区間の平面部を通過して東京方面に向かう車両は約48%減少、市街地を国道1号現道で横断する車両は約20%減少すると見込まれている。これにより、従来の平面道路や国道1号現道は、地域交通や生活道路としての機能を果たすことができるほか、渋滞や交通事故のリスクも軽減されると期待されている。

また、静清バイパスは清水港や東名高速へのアクセス道路としても重要で、物流面への貢献も大きい。清水港は静岡県内の産業輸送を支える港で、地域の発展に伴いコンテナ取扱量も過去30年間で4.4倍と大きく増加している。それに伴い、静清バイパスを走る大型車の交通量も年々増加しているため、道路交通の円滑化は時間的・金銭的な輸送コストの削減にもつながる見込みだ。

橋桁の落下事故を乗り越えて進む工事の現在地

2025年10月時点の清水立体事業の進捗状況。

2025年10月時点の清水立体事業の進捗状況。

静清バイパスの清水立体事業は2007年度に都市計画決定され、用地取得、周辺道路との調整などを終えた2016年度から本格的に工事が始まった。朝夕の通勤交通や物流を踏まえ、まずは交通量が特に多い上り線を優先して整備する計画が採用されている。

2022年時点では上り線の開通は「2026年春頃」と発表されていたが、2023年7月に工事中の橋桁が落下する事故が発生して状況が一変した。施工方法や安全基準の見直し、工事体制の再編、現場検証や再施工が必要になり、上り線開通の時期は延期となった。しかし、事業そのものが止まったわけではなく、事故後も慎重に工事が継続されてきた。

そして2025年12月2日、ついに上り線の開通予定が2026年度内になることが発表された。2025年11月27日に、上り線全ての橋梁上部工工事が完了したことにより、完成の見通しが立ったのだという。今後は、上り線開通に向けて最後の仕上げが進められていく。

このように、静清バイパスの立体化は、着実に整備が進められている。清水ICの周辺の混雑解消のみならず、地域の経済や安全性向上にもつながる大プロジェクトの全線開通に期待しながら、まずは上り線の開通を待ちたい。

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