名神から第二京阪へ「乗り換え」可能に!「京都南JCT」計画が進行中。どう便利になる? 現在の状況は【いま気になる道路計画】
名神高速道路「京都南IC」にランプを新設し、第二京阪道路と接続するジャンクション化の計画が進行中だ。「京都南JCT(仮称)」の概要とメリット、現在の進捗状況などを見ていこう。
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京都市中心部が遠く不便な名神高速の課題を解決!
名神高速と第二京阪は交差しているが乗り換えができない。
名神高速で京都へ行く場合、山科エリアにある「京都東IC」から三条通の蹴上越えで西進するか、伏見区内の「京都南IC」から国道1号を約4kmにわたって北上するルートしかなく、京都市内中心部に直接アクセスすることはできない。
京都南ICの東隣には「第二京阪道路」が交差し、門真・寝屋川・枚方方面から北上して京都市中心部へ抜け、「鴨川東IC」で河原町通・十条通につながっている。名神高速から第二京阪道路に乗り換えできれば、清水寺など観光地が集中する東山エリアにまっすぐ行くことができるのだが、現在はただ交差しているだけで乗り換えできない。
このアクセス性の悪さを解消するため「京都南IC」にランプを設置して、名神高速と第二京阪道路を互いに乗り換えられるようにする「京都南JCT(仮称)」の計画が進められている。
名神高速と第二京阪道路を接続する「京都南JCT」計画の概要。
2017年に京都市からの要望を受け、国が「近畿圏の高速道路料金について」という方針を発表。主な内容は阪神高速の料金改定、複数経路がある場合の「最短経路による運賃計算」導入、有料道路のNEXCO移管(阪神高速京都線 → 第二京阪道路も含む)などだが、そこに「京都南JCT(仮称)の事業化」も明記されていた。
目的は、先述のとおり京都市中心部へのアクセス強化であり、伊丹空港から観光地へのよりダイレクトな輸送を可能とするほか、滋賀方面との周遊もスムーズになる。さらに名神・京滋バイパスの混雑分散や災害時の代替ルート確保の役割も期待されている。
また、京都市内でも有数の渋滞区間である国道1号の交通流分散も課題となっているため、名神高速と第二京阪道路が乗り換えられることで混雑緩和にも資すると見込まれている。
悲願の「京都南JCT」はどんな構造?
名神高速と第二京阪を接続する「京都南JCT」計画の概要。
京都南JCTはどのような構造なのだろうか。
名神高速から第二京阪道路へは、大阪方面・滋賀方面のどちらからも乗り換え可能だ。いっぽう、第二京阪道路から名神高速へは、枚方方面のみ乗り換え可能だ。
実際に名神高速側からのルートをドライバー視点で見ると、上下線とも現在の京都南ICの出口とほぼ同じ地点からランプに分岐する。滋賀方面から来た場合、国道1号付近で上空をUターンするようにして東に進路を変え、大阪方面からのランプと合流して第二京阪道路に乗り換える。
第二京阪道路から来た場合、まず第二京阪道路の下をくぐって西に進路を変える。その後、滋賀方面へ進む場合は、国道1号付近でUターンして東へ向かう。大阪方面へ進む場合は、そのまま西進して名神高速に乗り換える。
なお、名神高速から第二京阪道路の枚方方面には乗り換えられない。これは、あくまで京都市内中心部へのアクセス性向上と市内混雑の解消が目的だからだ。枚方方面へ行きたい場合は、大山崎JCTもしくは瀬田東JCTから京滋バイパスに乗り換えて、久御山JCTから第二京阪道路に乗り換えれば事足りるというわけだ。
「京都南JCT」の進捗は?
名神高速と第二京阪道路を接続する「京都南JCT」の整備方針は2017年に決定した。
京都南JCT(仮称)の計画は、開通に向けてどこまで進んでいるのだろうか。
京都南JCT(仮称)は、2020年に都市計画決定され、2021年に測量や土質調査が始まった。そして、2022年から設計が本格化し、2024年に構造物基礎を建造するための調査が始まった。2025年現在は、高架橋の設計が複数ブロックで発注されている。
また、名神高速の本線上をまたぐランプを2か所設置するほか、近鉄京都線 竹田駅への主要道路である「大宮通」や、第二京阪道路の側道上空にもランプを設置するため、通行止めなどによる影響が大きくならないように施工計画の準備調整も重要である。
なお、京都南JCT(仮称)の完成時期は現時点では未定だ。協定などの資料では「2028年度」の完成予定とされているが、現地の状況や工事の進捗によって延長される可能性もある。
実際、着工後も橋げたの架設などは、一部車線を規制しながら少しずつ進めていくことになりそうだ。
このように京都南JCT(仮称)の計画は、着実に進められている。ひとまずは現場が動き出し「工事に伴う通行規制のお知らせ」が発表されれば、いよいよ本格的に工事が始まるだろう。着工の時を待ちながら、進捗に引き続き注目していきたい。
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