外環~成田の最短ルート!「北千葉道路」はどこまで完成した? 未事業化区間でも用地買収が進行中【いま気になる道路計画】
「北千葉道路」は、成田国際空港と東京外かく環状道路を最短で結ぶ、延長約43kmのバイパス道路だ。開通済みや事業中の区間もある同道路について、事業概要やメリット、工事計画と進捗について解説しよう。
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北千葉道路は外環と成田を結ぶ最短ルート!
北千葉道路の概要。
「北千葉道路」は、千葉県市川市から成田市を結ぶ国道464号のバイパス道路だ。完成すれば、外環道 北千葉JCT(仮)から成田国際空港への最短ルートとなり、首都圏北部から成田空港への所要時間の短縮が期待されている。整備状況としては、事業化済み区間、未事業化区間、車線を減らした暫定開通区間、開通区間が混在している。
【北千葉道路の整備状況】
■市川・松戸:市川市堀之内~市川市大町(延長3.5km、事業中)
■市川市大町~鎌ケ谷市初富(延長5.5km、未事業化)
■鎌ケ谷市~国道16号(延長6.4km、一般部開通済み)
■国道16号~印西市(延長13.3km、開通済み)
■印西市若荻~成田市押畑(延長9.8km、4車線もしくは暫定2車線で開通済み)
■成田市押畑~成田市大山(延長3.7km、事業中)
北千葉道路の未整備区間でも最も西側にあたる「北千葉道路(市川・松戸)」は、外環道 北千葉JCT(仮)付近から東進して松戸市を横切り、再び市川市に入るまでの約3.5kmの区間だ。
この市川・松戸区間では、高架もしくはトンネル構造となる自動車専用道路と、自転車道や歩道、副道も含む一般部が整備される計画だ。設計速度は専用部80km/h、一般部60km/hで、車線数はともに4車線となる。
北千葉道路全体の概要図。
北千葉道路がもたらすメリットとは
千葉県北西部の主要渋滞箇所。
北千葉道路全体でみると、そのメリットは地域の都市機能強化、交通の円滑化、緊急輸送ネットワーク確保の3つに分けられる。
北千葉道路の沿線には、千葉ニュータウンの物流施設やコストコなどの大型ショッピングモールが複数立地している。北千葉道路が開通すると成田空港や外環道からのアクセス性がより向上し、地域のさらなる活性化が期待できる。
特に市川・松戸区間は現在、慢性的な渋滞が発生している。松戸市内の混雑度(※)は、1.5を超える箇所が複数存在しており、ピークを中心とする時間帯で慢性的に渋滞が発生している。もし、市川・松戸区間が完成すれば、交通量が分散されてこの渋滞も緩和されることが期待される。例えば、国道464号から外環道までの所要時間は現在の約20分から10分以下に短縮されると試算されている。
また、国道464号現道などは混雑のため緊急輸送ネットワークという面で力不足といわざるをえない。しかし、北千葉道路が完成すれば、成田空港や自衛隊基地へのアクセスも強化される。空路は大規模災害時に物資輸送の重要なカギとなるため、両施設へのアクセスが良好であることは、緊急時への備えという意味で大きなアドバンテージとなる見込みだ。
※混雑度:道路の混雑状況を表す、設定交通量と実測交通量によって算出される値。1.0以下であれば道路が混雑せず円滑に走行できる状態を示し、1.0を超えるとその道路は交通容量を超えたことを示す。
北千葉道路の国直轄事業と県の先買いの取り組み
北千葉道路の起点となる北千葉JCT(仮)付近。
北千葉道路の事業はどのくらい進んでいるのだろうか。
市川・松戸区間は2021年度に事業化され、2024年12月に都市計画事業承認・認可の告示を受けた。2025年1月から2月にかけて工事についての説明会も実施済みだ。この区間は、2021年度から国の直轄権限代行事業として事業着手されている。国の直轄権限代行事業とは、道路管理者である千葉県に代わって国が道路整備をすること。技術的な制約が大きいなど一定の要件を満たした場合、自治体でなく国が整備の主体となる制度だ。
次に、市川市から鎌ケ谷市の未事業化区間は、千葉県が土地の先買いを進めている。未事業化なのでまだ工事が決定していない状態であるが、先を見越して先行して土地の購入に着手。いざ事業化した際に、スムーズに事業を進めるために、土地を準備している状況だ。
気になる北千葉道路の全線開通時期だが、市川・松戸区間を含めて具体的には発表されていない。とはいえ、各区間の事業は着実に進んでいるため、全線開通もそう遠くないかもしれない。首都圏と成田空港を結ぶ重要路線の進捗に、引続き注目していきたい。
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