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最終更新日:2025.08.12 公開日:2025.08.12

新バイパス「高松環状道路」計画進行中! 空港~高松道~中心街を信号ゼロでつなぐ道路はどこにできる?【いま気になる道路計画】

一部で暫定開通済みの高松環状道路。

四国を代表する大都市のひとつ香川県高松市で、空港と高速道路と中心街をつなぐ高規格道路「高松環状道路」計画が進められている。開通済みの区間や概略ルートが決まったばかりの区間をはじめ、現在の進捗状況について解説していこう。

一部で暫定開通済みの高松環状道路。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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大渋滞の高松空港~高松道~高松中心街を丸ごとバイパス

高松環状道路の概要。

高松環状道路の概要。

香川県の中心地にある高松市は、愛媛県松山市に次ぐ四国第2位の大都市であり、人口42万人を抱える。

しかし高松中心街は信号交差点が密集して混雑が深刻化。特に南北軸を代表する「中央通り」は慢性的な渋滞に悩まされ、朝夕には平均旅行速度が約10km/hにまで低下するというデータもある。

南部にある高松空港から市街地へむすぶリムジンバスも遅延が課題になっている。高松空港から公共交通を利用して主要ターミナル駅「高松駅」までの平均所要時間は45分かかる。これは、全国の空港の中でもワースト4となる数字で、空港利用客の利便性低下につながっている。

また、市内の緊急車両の通行にも支障が生じており、特に医療中枢となる「県立中央病院」のすぐ近くでは、高松琴平電気鉄道「本町踏切」によって道路が長時間遮断されるのも悩ましい問題である。

さらに高速道路から中心地までが6km以上離れていることも長年の課題となっている。高松港や中央卸売市場、臨海部の工業地帯にとっては、市内の生活交通の渋滞に巻き込まれてしまうことが問題となり、市場運営や物流スケジュールなどに影響が及んでいるという。

こうした高松市内の交通を生活交通と中長距離ネットワークに分離するため、新たな高規格道路「高松環状道路」が計画されているのだ。

一部は高架開通済み!現在の状況は?

高松道~高松空港で進行するバイパス整備の状況。

高松道~高松空港で進行するバイパス整備の状況。

高松環状道路は、高松港~高松空港をおおよその直径とする、円周約40kmのバイパスとして構想されている。

西側は高松西ICと高松檀紙IC、東側は高松東ICで高松道と連絡し、両側から海沿いの中心部へ到達することとなる。完成すれば、高松空港~高松道~高松中心街が信号ゼロでつながり、市内移動だけでなく、市外や全国へ移動する交通流が混雑に悩まされることなく移動可能となるだろう。

計画の現状を整理しよう。

まず最初の区間として工事進行し、一部開通済みなのが、環状道路の「南西部」にあたる「高松空港連絡道路」だ(高松西IC~高松空港、延長約9km)。

これは、県道・円座香南線を拡幅して高架バイパスを建設し、信号ゼロ化するもので、高松西ICからの「中間工区」約3kmが2002年に着工。2018年までに側道が先行開通して4車線化された。さらに国道32号と「ことでん琴平線」の線路をまたぐ高架も1本が暫定2車線で先行開通し、信号待ちの渋滞ポイントが解消されている。残りの区間でも用地取得は完了済みだが、次の工事はまだ始まっていない。

それに続く「香南工区」は、2022年に池内地区の約1.2kmが先行開通。交差点をまたぐ高架橋も完成している。2025年7月時点で、工区全体の測量・設計進捗は83%、用地取得率は45%。その中で、さぬき新道をまたぐ区間が拡幅・高架建設中となっている。

ついに「高松道~高松中心街」も概略ルート決定!

高松環状道路(高松西IC~高松港)の概略ルート最終案。

高松環状道路(高松西IC~高松港)の概略ルート最終案。

環状道路の「北西部」にあたる高松西IC~高松駅~高松港の区間でも、いよいよ事業化に向けた手続きが進行している。

計画が動いたのは2022年、計画段階評価がスタートし、地域アンケートを経て概略ルート・構造を決定するプロセスへ入ったのだ。それから2年半後、2025年2月に最終案が決定。現在は都市計画決定と環境アセスメントの手続きが進められている。これが終わればいよいよ事業化を待つだけとなる。

気になる概略ルートは、高松西IC・高松檀紙ICからまっすぐ北上し、海沿いで東に進路を変えて、高松駅・高松港へ到達するというものだ。途中のインターチェンジは、鶴市町・郷東町・瀬戸内町周辺・高松駅周辺に設置される計画となっている。

香西地区ではJRの貨物ターミナルに隣接し、臨海部でも物流拠点を効率よく網羅するルートとなる。また人口集積地を比較的避けることで、生活交通による影響を小さくしている。

ちなみに他のルート案としては、高松街道に沿って峰山をトンネルで抜けるもの、中央通りを改良するものがあったが、地域アンケートの結果や便益性、施工性などを勘案して除外となった。

こうして、高松空港から高松中心部まで、まずは「西側区間」の全線事業化が現実のものになろうとしており、ますます便利になる交通網に目が離せない。

直近ではこの「高松西IC~高松港」工区の事業化が2026年春になるのか、2027年春となるのか、さらに先となるのかが主なトピックとなるだろう。行政手続きの進捗次第となるが、引き続き注目していきたい。

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