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公開日:2025.07.18

外環道~圏央道の中間に「新たな環状道路」が実現!? 夢の「核都市広域幹線道路」計画って一体なに?【いま気になる道路計画】

東北道 浦和IC付近の様子。

首都圏で新たな高規格道路「核都市広域幹線道路」の計画が進められている。外環道(東京外かく環状道路)~圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の中間にできるという「新たな環状道路」の開通によるメリットや、現在の進捗状況について解説していこう。

東北道 浦和IC付近の様子。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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外環道と圏央道の中間に「新たな環状道路」

圏央道と外環道の中間エリアで構想されている「核都市広域幹線道路」

圏央道と外環道の中間エリアで構想されている「核都市広域幹線道路」

首都圏で計画されている高規格道路「核都市広域幹線道路」は、外環道と圏央道の中間を抜ける「新たな環状道路」だ。

具体的には、外環道は「都心から約15km」、圏央道は「都心から約40~60km」に位置する環状道路として計画されたもの。そして核都市広域幹線道路は、「それらの中間に並行するように位置」するように計画された幹線道路である。

全体構想では、神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県を相互に連絡する道路として計画されている。

もちろん、一度に環状道路全体を建設するわけではなく、個々のローカルなバイパス計画を策定する際、この全体構想の一環としてそれぞれのバイパスを位置づけていくような形になっている。

例えば、埼玉県~千葉県における国道16号がちょうど圏央道と外環道の中間の交通流を一手に担っている道路といえるだろう。慢性的な渋滞に悩まされている国道16号沿線にとって「信号ゼロの高規格バイパス」を求める声は根強い。千葉県内では「千葉北西連絡道路」計画が核都市広域幹線道路に位置づけられ、野田市や柏市、印西市まで信号ゼロで通過できる道路の具体化に向け検討が進められている。

埼玉新都心線を約4.5km延伸!

核都市広域幹線道路(埼玉新都心線~東北道付近)の概要

核都市広域幹線道路(埼玉新都心線~東北道付近)の概要

さて、そのなかで「核都市広域幹線道路」の具体化へ向けて進んでいる区間がある。それは、「首都高 埼玉新都心線」を東へ延伸し、東北道(東北自動車道)まで直結するという計画だ。現状の埼玉新都心線は、埼玉大宮線 与野ICから直通し、大宮駅を経由して、さいたま見沼ICで途切れている。それをさらに東に約4.5km延伸すれば、東北道に到達するというわけだ。

大宮・浦和エリアといえば、とにかく東北道に流入するためのアクセスが不便なのが課題となっている。県道の「さいたま春日部線」は旧態依然として渋滞が激しく、国道463号「越谷浦和バイパス」は4車線道路であるものの、まだまだ信号待ちによる朝夕の混雑が目立つ。さらに圏央道も外環道も交通量が増加し、特に外環道の渋滞損失は、最大で「埼玉県平均の2.5倍」に達するというデータもある。

また同エリアには、37,000人を収容可能な「さいたまスーパーアリーナ」のほか、埼玉新都心の行政・ビジネス機能が集約しており、全国からのアクセス性向上が求められている。

もしこの核都市広域幹線道路(埼玉新都心線~東北道付近)が実現すれば、同エリアにとって悲願の「信号ゼロ」の高速アクセス道路が誕生することとなる。このように重要性の高い区間であるため、検討会においても、ここが「優先検討区間」に位置づけられている。

東北道のどのあたりに繋がるのかは検討中であり、計画時点では岩槻IC~浦和ICのおおまかな領域に終点の範囲が描かれている。可能性としては、岩槻ICと浦和ICの中間あたりにIC付きのジャンクションが新設される見込みが高いだろう。ここにICが開通すれば、約64,000人の収容力を誇る「埼玉スタジアム」にとって至近距離となり、アクセス利便性が大きく向上することになる。

大宮・浦和エリアから「信号ゼロ」で東北道直結

渋滞が激しい大宮・浦和エリア~東北道の東西軸

渋滞が激しい大宮・浦和エリア~東北道の東西軸

気になる進捗だが、事業化プロセスの第一歩となる「計画段階評価」が現在進行中だ。これは地域アンケートやヒアリングを経て概略ルートや構造を決定するもので、概略ルートが決まれば、次に都市計画決定と環境アセスメントの手続きがあり、その後いよいよ事業化を待つのみとなる。

一般的に、地域アンケートは2回行われ、最初は地域の課題を抽出し、2回目で3つ程度の概略ルート案が出され、その後にルートが最終決定することとなる。

今回の埼玉新都心線~東北道では、最初のアンケートが2023年11月に終わったところだ。それをとりまとめ、いよいよ概略ルート案が提示されるのかと思いきや、まだ目立った進展は見えてきていない。

しびれを切らしたのか、埼玉県さいたま市は2025年6月、国あてに要望書を提出。概略ルート案を早期に公表するよう求めた。

要望書の中では「埼玉県の圏央道以南地域においては、東西方向の幹線道路で速度低下が顕著であり、交通容量の不足、慢性的な交通渋滞が発生しております」と現状を訴えたうえで、同時に進行中の埼玉高速鉄道の延伸計画(浦和美園から岩槻方面)と併せて、「相乗効果が最大限に発揮されるよう、事業を推進すること」と要望している。

果たして、埼玉新都心線~東北道をつなぐ概略ルートはどんな形に最終決定されるのだろうか。ますます便利になる埼玉県南部エリアから目が離せない。

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