一般道なのに時速80km! 栃木「鬼怒テクノ通り」の全線4車線化はいつ完成? 氷室陸橋の完成ももうすぐか【いま気になる道路計画】
栃木県が発表した「とちぎの道 開通宣言2025」において、今後3年以内に開通する栃木県の道路事業リストが掲載されている。そのなかでも注目を集める「鬼怒テクノ通り」の4車線化整備について、概要やメリット、工事進捗について解説しよう。
この記事をシェア
栃木の重要ネットワーク「鬼怒テクノ通り」とは

鬼怒テクノ通りの全体像。
2025年6月、栃木県は「とちぎの道 開通宣言2025」を発表した。これには、栃木県が実施する主要な道路事業のうち、今後3年以内に開通する事業がリスト化されており、そのなかには「鬼怒テクノ通り」の4車線化や立体化も載っている。
鬼怒テクノ通りは、「国道408号」のバイパスとして整備されてきた延長約14.1kmにおよぶ地域高規格道路。栃木県真岡市寺内から宇都宮市氷室町までをむすび、真岡南バイパス・真岡バイパス・真岡北バイパス・真岡宇都宮バイパスという4つの区間で構成されている。一般道ながら最高時速は80km/hに設定されており、すべての交差点は原則立体交差になる計画にある。真岡南バイパス以外は歩行者・自転車・軽車両の本線通行は禁止され、並行する側道を通行する形態となっていることが大きな特徴だ。
栃木県が2021年2月3日に策定した向こう5年間の県政の基本方針である栃木県重点戦略「とちぎ未来創造プラン」の中で、県内各地域の交流・連携を強化する重要なネットワークと位置付けられている。栃木県のなかでも非常に重要な道路である。
鬼怒テクノ通りがもたらすメリット

鬼怒テクノ通りと北関東自動車道。
鬼怒テクノ通りは、鬼怒川左岸の産業支援、渋滞緩和、災害に強いネットワークの強化、沿線環境の改善を目的に整備が進められている。
鬼怒川の左岸は、真岡第1~5工業団地や清原工業団地などが集まっている。総従業員数は5万人以上、製造品出荷額等は県内総額の約4割を占めており、これは栃木県内でも最大級の規模だ。鬼怒テクノ通りには工業団地への輸送効率を高め産業をより活性化する狙いがある。
そして、慢性的に渋滞が起こっている国道408号の渋滞緩和も狙いのひとつだ。4車線かつ立体交差のバイパスを建設することで、周辺道路を含め円滑な道路交通が確保される。時間の節約はもちろん、渋滞が減ると住宅街などの脇道に入る車両も減るため周辺住民の安全も向上する。
また、国道408号は第一次緊急輸送道路とみなされている。これは災害直後から緊急車両の通行を確保すべき重要な路線として国土交通省が定めたものだ。県庁所在地、地方中心都市および重要港湾、空港等を連結する道路が第一次緊急輸送道路となる。鬼怒テクノ通りによりダブルネットワークが確保され、国道408号の緊急輸送道路としての機能がより安定したものとなる。
最後に、沿線環境の改善も整備効果として挙げられる。渋滞が起こるとアイドリングや低速走行の時間が増え、そのぶん排気ガスが長時間放出される。渋滞が緩和すると環境負荷物質である排気ガスの放出が少なくなるため、環境改善にも繋がるだろう。
鬼怒テクノ通りの4車線化はいつ完成?

真岡宇都宮バイパス 「氷室陸橋」暫定供用の概要。
鬼怒テクノ通りは2023年に全線開通しているが、一部の立体化や4車線化などは残されたままだ。2025年6月に栃木県が発表した「とちぎの道 開通宣言2025」によると、鬼怒テクノ通りに関する開通予定は下記の通り。
- 2025年度6月:真岡宇都宮バイパス 氷室陸橋(清原工業団地南ランプ交差点)立体化(暫定開通済み)
- 2025年度来春:真岡南バイパス(真岡市茅堤~長田)4車線化
- 2027年度:真岡宇都宮バイパス 氷室陸橋(清原工業団地南ランプ交差点)立体化&4車線化
鬼怒テクノ通りと国道123号の交差点の立体部である「氷室陸橋」では、2025年4月に南進方面が、6月に北進方面の立体化が暫定開通。これにより上下線の立体化が完成したが、1つの立体部を双方向で1車線ずつ使用する形態となっている。2027年度までに立体部がもう1つできる形で工事が進み、上下線が分離した状態で4車線化が実現する。
真岡南バイパス(真岡市茅堤~長田)では、来春までに4車線化が完了する予定だ。2025年7月時点、真岡南バイパス(延長3.5km)のうち、残る1.4kmが2車線となっている。なお、とちぎの道 開通宣言2025に記載はないが、この区間には「真岡南IC 南ランプ交差点」の立体化も含まれる予定だ。
このように、鬼怒テクノ通りの4車線での完成はもう間近に迫っている。沿線は栃木県内でも最大級の工業地帯であることもあり、完成すれば地域のさらなる発展にも期待できそうだ。
記事の画像ギャラリーを見る