野田~柏~印西がノンストップ直結! 新バイパス「千葉北西連絡道路」計画とは? 概略ルートも決定間近【いま気になる道路計画】
千葉県北西部の渋滞エリアに、新たなバイパス道路「千葉北西連絡道路」が計画されている。国道16号の混雑を解消し、中長距離ネットワークが強化される道路として期待が高まる同計画について、開通によるメリットや、現在の計画進捗について詳しく解説する。
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大渋滞の「国道16号」に悲願の新バイパスが誕生?

国道16号の混雑緩和を目的に「千葉県北西部」でバイパス「千葉北西連絡道路」が計画されている。
千葉県で計画されている「千葉北西連絡道路」は、渋滞が激しい国道16号のバイパスになり、野田市・柏市・我孫子市・白井市・印西市をつなぐ新たな道路ネットワークを担う高規格道路だ。
現在このエリアの主要軸である「国道16号」は、埼玉県側から千葉市方面までの物流ルートでありながら、千葉北西エリアから首都圏各方面へ出るためのアクセスルートでもあり、さらに近隣住民の生活道路でもある。そのため、この地域の交通がまるごと集中し、慢性的な混雑に悩まされている。
千葉県の統計によると、国道16号の交通量は首都圏屈指で、常磐道 柏IC付近では1日あたり約4万5000台、国道6号と交差する柏市の呼塚交差点では約5万1000台に達するという。また、その他の箇所でも、全線にわたって3万台以上が走る大動脈なのだ。
国道16号の重要性を表すのが、このエリアにおける「地域外交通」の割合の高さだ。埼玉方面や、県北西部外とを行き来する交通、さらに完全な通過交通も合わせると、野田市内では83.4%、常磐道~国道6号では74.5%、国道6号以南では80.1%にそれぞれ達している。
いっぽう、国道16号は生活道路も兼ねているため、信号交差点が多く存在する。高密度の交通流は赤信号によって目詰まりを起こし、渋滞の大きな原因になっているのだ。渋滞のひどさを示す指標「渋滞損失時間」を千葉県全体の平均と比較すると、常磐道以北では平均の「4倍」、柏市内の常磐道以南に至っては平均の「6倍」となっている。
このように、通過交通の集中によって地域の生活に支障が起きているほか、沿線に多く立地する物流拠点や大型商業施設にとっても、輸送における定時制確保に頭を悩ませているのが現状だ。
こうした課題を解決するため、「中長距離移動の交通流を生活交通と分離する」という方針で整備されるのが「千葉北西連絡道路」である。もちろん、整備するからには「信号待ちゼロ」となる高規格道路の構造が検討されることとなる。

千葉北西連絡道路の計画検討区間。赤丸が検討段階のルート帯。
千葉北西連絡道路の検討段階でのルートは、野田市北部から分岐し、国道16号の東側(利根川西岸沿い)を南東に進み、利根町の手前(JR布佐駅付近)で南下して、印西市の「北千葉道路」へ接続する。加えて北千葉道路からさらに南下し、佐倉市・四街道市を経て東関東自動車道へ接続する構想もあるが、まだ具体化の道筋は立っていない。
なお千葉北西連絡道路は、さらにマクロな視点で見ると、圏央道と外環道のあいだに取り残された都市圏をつなぐ「核都市広域幹線道路」構想の一部という位置づけにもなっている。
核都市広域幹線道路の一部は首都高速 埼玉新都心線、またその延伸計画である「さいたま見沼IC~東北道」として具体化しつつある。これに続く「千葉工区」の先鞭が、この千葉北西連絡道路というわけだ。
千葉北西連絡道路の「概略ルート」がいよいよ決定へ!

国道16号(柏市)の混雑状況。
さて、そんな千葉北西連絡道路は実現に向けて、どこまで進んでいるのだろうか。
まず2020年に「千葉北西連絡道路検討会」が設立され、実現に向けた課題整理などが始まったことで、機運が高まった。そして2021年には、国土交通省が策定した「新広域道路交通計画」において「調査路線」にリストアップ。2022年の第4回検討会で、実現に向けた基本方針が策定され、いよいよ具体化への第一歩となる「計画段階評価」を始めるまでに至った。
計画段階評価では地域アンケートなどを経て、概略ルートや構造を決定。それをもとに環境アセスメントと都市計画決定の手続きが進められ、それが完了すればいよいよ事業化を待つのみとなるのだ。
現在は、その計画段階評価のうち、オープンハウス(パネル展示を中心とした情報提供)や、1回目の地域アンケートが行われている真っ最中。回答期間は2025年6月末までとなっており、この結果をとりまとめて、いよいよ概略ルート・構造の「案」が絞り込まれることとなる。
ここでは通例、3案程度がピックアップされる。たとえばバイパスでも高架にするのか地下トンネルにするのか、どういったルート帯になるのかで案が分かれる。あるいは「今ある国道16号の交差点を立体交差にするだけで十分」という案もその一つに選ばれるかもしれない。
外環道~成田空港をつなぐ「北千葉道路」と合わせ、千葉県では新骨格とも言うべき道路計画が目白押しだ。千葉北西連絡道路はもちろんのこと、千葉県内の道路計画について、今後の動きをさらに注視していきたい。
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