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最終更新日:2025.06.06 公開日:2025.06.06

圏央道 千葉区間が2026年度に全線接続へ! 大栄JCT~松尾横芝ICの工事計画や進捗は?【いま気になる道路計画】

圏央道 大栄JCT付近の工事状況。2024年12月撮影。

圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は東京都心を中心に半径40~60kmの地域をぐるっと取り囲むように構築された、全長約300kmの自動車専用道路だ。2025年1月時点で約270km、つまり全体の約90%が開通している。今回は圏央道の数少ない未開通区間である、千葉県 大栄JCT~松尾横芝ICの工事進捗や開通のメリットを解説する。

圏央道 大栄JCT付近の工事状況。2024年12月撮影。

文=藤井宏治

写真・資料=国土交通省 関東地方整備局、NEXCO東日本

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圏央道 大栄JCT~松尾横芝ICの概要とメリット

圏央道の概略図。

圏央道は全体の約90%が開通済み。千葉区間と神奈川区間が残る未開通区間である。

圏央道は2025年1月現在、全長約300kmのうち約90%が開通しており、残る10%である千葉区間と神奈川区間の開通が待ち望まれている。その千葉区間にあたる大栄JCT~松尾横芝ICの長さは約18.5km。成田空港と千葉県東部、さらには茨城・埼玉方面を直結する重要ルートとみなされている。

圏央道の未開通区間 大栄JCT~松尾横芝IC。

圏央道の未開通区間 大栄JCT~松尾横芝IC。

この区間が開通する大きなメリットは成田空港へのアクセス強化、渋滞の解消、および半島性の解消が挙げられる。

成田空港へのアクセス性が向上することで、北関東や房総エリアへの移動がよりスムーズになる。これにより、観光やビジネスの利便性が高まるのはもちろん、空港を起点とした物流ネットワークの強化にもつながる。とくに圏央道沿線には物流施設や工業団地が集積しており、交通の効率化は地域の産業活動をさらに後押しすると期待されている。

さらに、新たなICの整備によって、沿線では物流拠点の開発や企業進出が進み、地域経済の活性化にもつながる。こうした動きは、雇用の創出や地価の上昇、税収の増加といった波及効果を生む可能性も高い。

当該区間の開通により、東京湾アクアラインと一体になり首都圏と成田空港を環状につなぐ道路ネットワークが完成する点も見逃せない。これにより、たとえば神奈川方面から成田空港へ向かう際に都心部を経由する必要がなくなり、移動時間の短縮や都心の交通負荷の軽減にもつながる。

また、半島性の克服は千葉県が力を入れて取り組んできた課題のひとつだ。千葉県のみならず、半島は三方を海に囲まれて平地に恵まれない等の制約があり災害時に孤立しやすい。圏央道が整備されることで、広域避難や物資供給のルートとしての信頼性が増す。

このように、大栄JCT~松尾横芝ICの整備は単なる道路延伸ではなく、地域の社会インフラ・観光・経済に幅広いインパクトをもたらすプロジェクトである。

大栄JCT~松尾横芝ICの工事進捗は?

芝山トンネル貫通式の様子。

芝山トンネル貫通式の様子。

大栄JCT~松尾横芝ICにはふたつのICが設置される予定にあり、これらはすでに圏央成田IC、多古ICという名称に正式決定されている。全区間の開通は2026年度、大栄JCTから多古ICは1年前倒しした2025年度の開通が目標とされている。

前倒しの目標が立てられるくらい、工事も順調である。道路を作るには必要な土地を権利者から取得する用地取得が必要だ。用地取得が困難で計画が進まない公共事業も多い中、大栄JCT~松尾横芝IC間は2024年12月末時点で用地取得率100%を達成している。

また、脆い地盤から採掘が困難といわれていた難所の芝山トンネルは2024年2月に貫通しており、2025年5月時点では覆工コンクリートの施工工事が進められている。この区間だけでなく、すべてで土木工事や橋梁工事、トンネル工事が順次進行中である。

用地取得と芝山トンネル貫通という大きな節目をすでに迎えており、工程遅延のリスクはかなり低下している。最大のボトルネックはすでに解消されているといってもいいだろう。

成田空港とのアクセス強化や災害時のルート確保など、開通によって得られる恩恵は多岐にわたる。大栄JCT~松尾横芝ICが開通して千葉県東部がより便利で活発な地域へと変化していく2026年度が待ち遠しい。

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