はじめよう、クルマのある暮らし。

Traffic

最終更新日:2025.05.02 公開日:2025.05.03

埼玉~東京間の要所、新大宮上尾道路。一部区間の2027年開通へ向けた現状と展望は?【いま気になる道路計画】

新大宮上尾道路の宮前IC付近。2024年10月31日撮影。

2025年4月現在、埼玉県と東京都をつなぐ国道17号では慢性的に渋滞が発生している。そんな渋滞を緩和すべく、国道17号に並行する「新大宮上尾道路」の建設工事が行われている。工事はどれほどの進捗で、いったいいつ開通し、完成したらどんな効果が見込まれているのだろうか。

新大宮上尾道路の宮前IC付近。2024年10月31日撮影。

文= 藤井宏治

資料=首都高速道路株式会社、国土交通省大宮国道事務所

この記事をシェア

新大宮上尾道路は国道17号に並行する自動車専用道路

新大宮上尾道路の位置図。

新大宮上尾道路の位置図。

新大宮上尾道路は、さいたま市西区の与野JCT(仮称)から北に延びる約25.1kmの自動車専用道路だ。国道17号に並行する「新大宮バイパス」と「上尾道路」の上に片側2車線の高架構造で作られ、設計速度は時速80kmとされている。

現在事業化、つまり着工中の区間は与野JCTから上尾南出入口(仮称)までの約8.0kmの区間である。途中は大宮、宮前南、宮前の3箇所に出入口(すべて仮称)が設けられる。

上尾南出入口から桶川北本ICまで延伸すれば首都高が圏央道に直結する予定。しかし、当該区間を含む上尾南出入口以北の構想自体は存在する一方、着工時期はまだ具体的に決まっていない。

新大宮上尾道路による渋滞緩和がもたらすメリット

新大宮上尾道路の建設は国道17号の渋滞の緩和が目的だ。国道17号は東京都中央区から埼玉県さいたま市を経由し新潟市中央区まで続く、日本を縦断する一般国道。埼玉と東京を行き来するために便利な道路であるだけに利用者が多く、慢性的に渋滞が起こっている。

新大宮バイパスの混雑の様子。

新大宮バイパスの混雑の様子。

新大宮上尾道路による国道17号および新大宮バイパスの流れの改善には、地域経済、防災、交通安全のそれぞれに大きな効果があると期待されている。

新大宮バイパスでは朝夕の混雑時にクルマの速度が時速10kmを下回る場所がある。渋滞時は追突事故が発生しやすくなり、実際に旅行速度の著しい低下が原因と考えられる追突事故の割合は約6割と他の幹線道路と比較しても多く発生しているという問題があった。新大宮上尾道路が開通すれば渋滞が緩和され、交通事故のリスクも下がる見込みだ。

さらに、地域産業へのプラス効果も大きい。埼玉県の圏央道沿線では企業進出が進んでいるものの、都心方面へのアクセスの悪さが課題になっていた。新たな道路整備によって物流がよりスムーズになり、圏央道沿線から都心部への移動時間が短縮されることで、地域の産業活動にも良い影響が及ぶとみられる。

また、防災面での強化も重要なポイントだ。国道17号の付近にあるさいたま新都心は広域防災拠点に指定されている。つまり、大きな災害が起きたときに救援活動や物資輸送の拠点になる場所だということだ。しかし、さいたま新都心へはこれまで圏央道から直接アクセスできる広域道路が整備されていなかった。新大宮上尾道路が完成すれば、信越・東北方面の主要な拠点からもアクセス性が向上し、災害時の物資輸送のスピードも飛躍的に高まる。

このように、新大宮上尾道路は埼玉県中心部における交通の流れを変え、地域全体の安全性や経済力、防災力を底上げする大きなインフラになることが期待されている。

開通時期はいつ?工事の状況はどう?

首都高速道路が2022年7月に発表したIR報告書によると、与野JCTから上尾南出入口までの約8.0kmは2027年3月に完成予定と記載されていた。しかし、最新となる2024年7月に発表されたIR報告書では、その記載がなくなっているため完成時期は後ろ倒しになる可能性もあるだろう。

2024年3月末時点の用地取得の状況。

2024年3月末時点の用地取得の状況。

また、2024年5月に公表された新大宮上尾道路NEWS第4号によると、道路建設のために必要な土地を所有者から譲り受けるプロセスである用地取得は35%が取得済みとされている。

同資料によれば、宮前地区で2021年より本線高架橋を支えるための基礎工事が開始され、2023年には東京側の基礎5基のうち1基の工事が完了し、2基の掘削工事が進行中だ。また、2024年3月からは宮前インターチェンジ北側の基礎2基の工事も着工されている。

与野ICにおける付替工事の様子。

与野ICにおける付替工事の様子。

新大宮上尾道路の高架工事は、首都高速を高架に接続する工程が含まれる。そのための空間の確保のために、現在の与野ICを付け替える工事を実施している。2024年11月に新設与野入口の夜間一括架設が実施され、2025年4月現在でも着々と工事が進行している。

新大宮上尾道路の開通は単なる道路整備にとどまらず、埼玉県に地域経済、防災、交通安全の面で多くのメリットをもたらすものとなるだろう。現在は与野JCTから上尾南出入口までしか事業化されていないが、北に延長されて桶川北本ICまで延長された場合は首都高速が圏央道に直結し、さらに利便性が上がるだろう。今後も新大宮神尾道路に関する最新情報に注目し、プロジェクトの早期完了に期待したい。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

次回は5月7日からスタートです!
次回は5月7日からスタートです!