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最終更新日:2025.05.22 公開日:2025.05.22

首都高 日本橋区間の地下化はいつ完成する? 工事の進捗と今後の展望【いま気になる道路計画】

日本橋の上空を高架で通過しており、都心部の交通を支える重要な役割を果たしているといいます。

東京都心を走る首都高速都心環状線「日本橋区間」では、老朽化対策と景観改善を目的として地下トンネルへ切り替える「日本橋区間地下化事業」が進められています。同事業はどれほどの進捗で、いったいいつ完成し、どんな整備効果が見込まれているのでしょうか。

日本橋の上空を高架で通過しており、都心部の交通を支える重要な役割を果たしているといいます。

文=大門道子

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「日本橋区間地下化事業」とは?

首都高速 日本橋区間地下化の完成イメージ図。

首都高速 日本橋区間地下化の完成イメージ図。

首都高速都心環状線の「日本橋区間」は、東京都中央区に位置し、日本橋の上空を高架で通過しています。この区間は1日あたり約10万台の車が通行する重要な幹線道路でありながら、近年は構造部の老朽化が深刻化。支承部の疲労き裂やコンクリート床版のひび割れなど、さまざまな損傷が確認されています。

そこで進められているのが、都心の街並みに調和したインフラを整備する「日本橋区間地下化事業」です。高架橋を地下トンネルに切り替えることで、安全性向上とともに歴史的景観の回復を実現。国家戦略特区における都市再生プロジェクトの一環として、国際金融都市・東京にふさわしい景観を目指しています。

地下化事業は八重洲トンネルからスタート

首都高速 日本橋区間地下化の事業概要。

首都高速 日本橋区間地下化の事業概要。

地下化されるのは、首都高 神田橋JCT付近から江戸橋JCT付近までの約1.8kmのうち、1.1kmに及ぶ区間。工事は八重洲線の八重洲トンネルから始まり、日本橋川の水流や地上構造物への影響を抑える特殊な工法が導入されています。川底に遮水板を敷いたうえで、その下を掘り進めることで、治水への影響を最小限に抑える工法です。

また、事業区間内には常盤橋や江戸城の石垣などの史跡があり、それらに影響を与えないように配慮しながら工事が進められるといいます。

八重洲線は10年間の通行止め! 新ルート整備へ

高速八重洲線の長期通行止めと東京高速道路(KK線)の廃止概要。

高速八重洲線の長期通行止めと東京高速道路(KK線)の廃止概要。

2025年4月5日20時からは、首都高速 八重洲線(神田橋JCT~西銀座JCT)が2035年度までの長期通行止めに入りました。これにより、八重洲出入口や丸の内出口などの利用ができなくなっています。また同日より、東京高速道路 KK線(東銀座出口を除く)も廃止されました。

この措置により、高架橋の撤去や新たな地下ルートの整備が本格化。将来的には「新京橋連結路」と八重洲線を組み合わせた新たな都心環状ルートが整備される予定です。これに伴い、KK線の跡地は歩行者中心の公共空間として再生・活用される計画となっています。

【首都高速 日本橋区間地下化事業に伴う通行止めや廃止】
■2025年4月5日(土)20時~2035年度まで通行止め
・首都高速 八重洲線(北行き・南行き)神田橋JCT~西銀座JCT
・首都高速 八重洲出入口、丸の内出口
■2025年4月5日(土)20時に廃止となった区間
・東京高速道路 KK線(北行き・南行き)京橋JCT付近~汐留JCT付近
・新橋出入口、土橋入口、西銀座入口、新京橋出口
 ※東銀座出口は除く

開通は2035年度、高架橋撤去は2040年度へ

地下化の完了後は、江戸橋JCTの渋滞が緩和される。

地下化の完了後は、江戸橋JCTの渋滞が緩和される。

首都高速によると、日本橋区間地下化事業は2035年度の地下トンネル開通を目指して進められています。並行して、常盤橋地区のシールドトンネルの構築や、向島線接続部の高架橋工事も順次実施される予定です。地下化完了後には、日本橋川上空の高架橋を撤去し、歴史ある景観を取り戻すフェーズに移行します。

高架橋の撤去完了は2040年度を予定しており、整備完了後には都心の交通ネットワークが再編されます。都心環状線の連結路は廃止され、新京橋連結路と八重洲線を組み合わせた新ルートが交通の主役となり、江戸橋JCTの渋滞緩和に寄与する見込みです。​

また、整備の進行に伴い、計画の見直しや変更が生じた際には、速やかに公表される体制が整っており、長期事業としての透明性も確保されているようです。

このように首都高の日本橋区間地下化事業は、単なる老朽化対策を超えて、都市再生や景観改善、歩行者中心の街づくりといった多面的な目的を持つ大規模プロジェクトです。完成までの道のりは長いものの、交通インフラの再編とともに東京の都市像を変えるインパクトは非常に大きいものです。今後も最新情報に注目しながら、日本橋の未来に向けた変化を見守っていきたいところです。

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