高速道路で行く! お土産県境を探してみた。 静岡「うなぎパイ」編
静岡県浜松市の代表的なお土産である「うなぎパイ」。夜のお菓子として知られるこの「うなぎパイ」の県境はどこにあるのでしょうか。東名高速を使って徹底的に調査してみました。
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記事提供元/カエライフ
うなぎパイファクトリー
本日は、静岡県浜松市にある「うなぎパイファクトリー」に来ています。
東京から浜松までは高速道路で4時間くらい、朝8時に中野を出発したのにもうお昼ですよ。
ここは静岡の、特に浜松のお土産として知られるうなぎパイの製造工程を見学できる場所です。平日の昼間だというのに多くの人が見学に訪れています。
さて、なぜこのような場所に連れてこられたのでしょうか。確かにうなぎパイの見学ができるのはうれしいのですけど、東京から4時間ともなると、なかなか来ようという気にはなれません。そう、連れてこられたのです。何も分からないうちに連れてこられたのです。一体、なにが起こったのでしょうか。
編集部:patoさん、こんにちは。前回は桔梗信玄餅の記事をありがとうございます。
pato:ああ、あれですね……。検証系の記事ではなく、工場見学の紹介記事だとワクワクしていたら、県境を検証させられたやつ。
編集部:前回のこちらの記事がとても好評でして……。
pato:ありがとうございます!
編集部:我々、すっかり味を占めてしまいまして……。
pato:味を占めるな。
編集部:今回は浜松の銘菓うなぎパイでその県境を探ってもらおうと思ったのです。
ということで、完全に味を占めてしまった編集部により、4時間かけて浜松市まで連れてこられたというわけです。どうかしてる。
うなぎパイとは、春華堂が製造・販売する洋菓子で、静岡県浜松市の名産品として高い人気を誇っている。ウナギのエキスをパイ生地に練りこんで焼き、最後にたれを塗って仕上げたもので、「夜のお菓子」というキャッチフレーズで親しまれている。
ここ、うなぎパイファクトリーはうなぎパイの製造工程を見学できる新工場として2005年4月に浜松工業団地に開設された。
平日の昼間であっても家族連れやカップル、団体客までやってきてけっこうな賑わいを見せている。ちなみに工場見学は無料。
ちなみに工場見学記念に特別パッケージのうなぎパイがもらえる。なかなか太っ腹。
編集部:さあ、それでは工場見学に行ってみましょう!
うなぎパイが焼きあがる工程が小さな窓からのぞけるようになっている。そこではロボットが繊細に動きながらタレを塗りたくっていた。
編集部:patoさん、めちゃくちゃジッと眺めてますね。
pato:うなぎパイを食べたことある人なら分かると思うんですけど、うなぎパイってめちゃくちゃ壊れやすいんですよね。ですからそれを扱うロボットもかなり繊細に動いている。
製造工程はかなり繊細なので、ロボットが入って自動化されている部分がありつつも、最終的には人の手が入る場面が多い。
pato:たぶん、ここでちゃんと焼きあがっているか見極める必要があるので、ここには職人級の人が配置されているはずです。
pato:この工程、ずっと見てられる。
30分経過。
編集部:(本当にずっと見ているよ。なんなんだよこの人……)
pato:この工程ずっと見ちゃうな。この後の行程で包装されるんですけど、流れてくるうなぎパイを包装しやすいようにロボットが1列に並び変えているんです。ただ、壊れちゃまずいから、あのアームがめちゃくちゃ俊敏に動きながら、かつ繊細に「うなぎパイ」を並び替えてるんです。
編集部:なるほど。
pato:ただね、あのロボット、こうやって見ていると、たまに諦めるんです。一列に並べる場所に空きがないのか、処理するうなぎパイが大量に来ているのか、どういう事情があるのか分からないですけど、諦めるんです。そのままスルーしちゃう。スルーした「うなぎパイ」が貯まるとアラームが鳴って作業員の人が来るみたいですね。
その「諦め」がすごく興味深くて、だって、ロボットって基本的に命令に忠実じゃないですか。なにかを遂行させることは得意そうなのに、そこに「諦め」をどうやっていれているのか。
編集部:(なんだか面倒なことを言いだしたぞ……)
pato:その「諦め」って自我なんですよ。命令ではなく、自分の判断で諦めるわけですからね。つまりこの「諦め」によって次第にあの並べるロボットに自我が目覚めるわけです。それが最終的にはシンギュラリティを引き起こし、うなぎパイロボットと人間との最終戦争が引き起こされ、我々はロボットとAIに徹底的に管理される時代がやってくるのです。そうなったときにどう生きますか! ロボットの言いなりになるか、それとも反抗し、レジスタンスとなるか!
編集部:(めちゃくちゃ面倒な人だな……)
編集部:こちらでも包装された製品が割れたりしていないかチェックが入るみたいですね。
pato:みていると、けっこう弾かれている製品があるので、かなり繊細に作ってもそれでも割れたりするみたいですね。僕なんか、割れてるくらいなら普通に食べちゃいますけどそうはいかないんでしょう。
工場見学ゾーンが終わると、シアターみたいな場所がありました。その横に備えられた通路がなかなか興味深い。
編集部:patoさん、この細長い通路はなんなのかわかりますか?
pato:いや、単なる順路じゃないの?
編集部:なんと! ここは「うなぎの寝床」を模しているのです!
pato:なるほど。うなぎ尽くしなわけですね。
編集部:通路内では、クイズが出題されています。「夜のお菓子」というキャッチフレーズで有名な、その「夜のお菓子」とはどんな意味でしょうか。
pato:これは簡単ですよ。僕の大学時代の同級生に静岡出身の山村という友人がいましてね、そいつがことあるごとに言っていました。嘘だったら牛丼を奢るとまで言って豪語していました。
編集部:じゃあ、この問題は簡単ですね。
pato:製造工程にもあったように、うなぎパイにはウナギのエキスが混ぜられているわけですよ。ウナギといえば、こう精をつける感じじゃないですか。そう、精力がつくんです。そういう意味で夜のお菓子です。山村がそう豪語してました。
編集部:正解は、家族団らんのひとときに召し上がっていただきたい、という意味です。うなぎパイが販売された当初は高度成長期、労働時間が増えたり、共働きなどが増えてきたりして団らんの時間が失われつつありました。そこで、うなぎパイを食べて家族団らんを過ごして欲しい、そんな願いが込められています。こんな素敵な理由があるのに、なんですか、精力って? は?
pato:クソっ! 山村のヤロウ。
編集部:第2問です。うなぎパイに含まれる隠し味はなんでしょう?
pato:これも山村が豪語してました。合コンの席で豪語してました。答えは同じく静岡の名産品である「わさび」です!
編集部:正解はガーリックです。
pato:クソっ! なんなんだ山村! 嘘ばっかりじゃないか。
うなぎの寝床を抜けると、ちょっとよく分からないタイミングで2メートルくらいある巨大な「うなぎパイ」モニュメントが飾られていました。
pato:金色のパッケージのヤツが気になりますね。V.S.O.P.って高級なやつなんですかね。
編集部:うなぎパイの頂点を極めた最高級パイという触れ込みです。芳醇な高級ブランデーの香りがするそうです。
見学コースの途中には「UNAGI PIE café」という少し高級感の漂うカフェがあります。こちらではうなぎパイファクトリーならではの料理を楽しむこともできます。
落ち着いた店内。
pato:あっ!
pato:電灯までうなぎパイ。
編集部:本当に徹底してますよね。
編集部:カフェ前の手すりはウナギですし。
そんな、うなぎパイカフェで遅めの昼食をとることに。
pato:けっこう遅めの昼食になっちゃいましたね。取材時間がおしてるのでは?
編集部:(あんたがずっとロボット見ていたからだよ……)
食事やカフェのほかに独自の「”まるで”うなぎパフェ」などが人気らしい。5000円もするジャンボパフェもあるようなのだけど、食べきる自信がないので取材班一行は注文できなかった。3つの食事メニューを注文することに。
食事メニューについてくるサラダになぜかうなぎパイが付属してくる。
砕いてクルトンみたいにして食べるらしい。徹底している。
遠州灘産釜揚げしらすの和風オムライスを注文すると、店員さんが升に入った「しらす」を持参してくる。
「私が“しらしょー”って言いながらかけていきますので、一緒に掛け声をかけてくださいね。ちょうどいいところでストップをかけてください。」
どうやらしらすはかけ放題らしい。
「しらしょー」
編集部:しらしょー(消え入りそうな声)
pato:どうしたんですか。もっと声を出さないと
編集部:しらしょー(消え入りそうな声)
pato:もっとオムライスが見えなくなるくらいまで「しらしょー」って言えばよかったのに…。
pato:これは完全に美味ですわ。うなぎパイファクトリーに来たら絶対に食べたほうがいい。
見学コーナーのラストはお土産コーナー。他の店舗ではなかなか買えないような商品が勢ぞろいしています。
pato:おお、徳用うなぎパイだ。
編集部:割れがあったり、規格外だったりして外れたやつをお得な値段で販売しているようですね。個別包装もされていないのでかなりお安く手に入れることができます。
pato:職人が見極めていたやつですね。
編集部:このお徳用パックは春華堂直営店でしか販売していないようです。
編集部:こちらが、本物のウナギの白焼きとセットになった商品です。
pato:7,000円を超えている。これ、ほとんどウナギの値段でしょ。
pato:グッズも充実。
編集部:キャリーケースまであります。
pato:空港でこれ持っている人がいたらちょっとビックリしちゃうな。
うなぎパイファクトリーの外には、ジェラートなどを食べられるキッチンカーがあります。かわいいデザインで子どもたちに大人気。
ジェラートにぶっ刺さっているうなぎパイはノーマル、ナッツ、V.S.O.P.から選ぶことができます。ジェラートに「静岡産 紅ほっぺ」を使用したストロベリー味は期間限定です。
こちらの「チョコレートとうなぎ工場」も冬限定です。
編集部:さて、これでひと通り工場見学が終わったわけですが、このうなぎパイはもちろん静岡の名産品ですが、どこまで販売しているのか気になりませんか?
pato:いや、ならないですね。
編集部:そうですよね。気になりますよね。うなぎパイが販売されている県境、どこにあるのか気になりますよね。
pato:いや、ならないですね。
編集部:というわけで、ここ浜松から東名高速を使って東京まで戻り、その間のSAおよびPAでうなぎパイが販売されているか、それを調査してもらいます。
pato:なんでまた東名高速なんですか。
編集部:実は、うなぎパイと東名高速道路は密接な関係があるんです。昭和36年にうなぎパイが誕生し、それから東名高速道路が開通、物流が一気に良くなったことでうなぎパイも広がりを見せたんです。
編集部:昭和45年の東名高速道路が全線開通した時にはそれを記念して「ナッツ入り」を誕生させているくらいなんです。
pato:まあ、それは見学したんでわかるんですけど、別におみやげの県境を調べなくても良くないですか? あれ、クルマに乗ったり降りたり、地味に大変なんですよ。
編集部:もちろん、前回の桔梗信玄餅のときと同様、売っていない売店があればそこで検証は終了。そのまま東京に帰りましょう!
pato:うーん…。
編集部:大丈夫ですよ! うなぎパイは静岡の名産品です。われわれ編集部の見立てでは、静岡県内で終わりと思ってます!
pato:静岡ってめちゃくちゃほそなげえんだよ。うなぎの寝床じゃねえか!
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