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最終更新日:2025.01.08 公開日:2025.01.08

期待の国産原付ミニカー「Lean3」に試乗! コスパと実用性に優れた次世代3輪モビリティの実力とは?【試乗レビュー】

ベンチャー企業「Lean Mobility(リーンモビリティ)」が開発した次世代3輪モビリティ「Lean3(リーンスリー)」に試乗! 維持費や実用面に優れ、注目が高まる「原付ミニカー」規格車両として開発中のこのモデルには、どのような特徴があるのだろうか?

文=安室淳一

大型バイクのような一つ目のヘッドライトは、リーンモビリティの代表 谷中氏のこだわり。各パーツが中央に集まっていくデザインによって、車幅をタイトに見せる効果を狙ったとのこと。

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街乗りの可能性を広げてくれる原付ミニカー

2024年10月に開催された、先進車両が集まるイベント「ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024」の会場で一際注目を集めていたモビリティがある。それがトヨタ自動車出身の谷中壯弘(あきひろ)氏が立ち上げたベンチャー企業「リーンモビリティ」が開発中の「Lean3」だ。このモデルはフロント2輪・リア1輪の3輪車両で、近未来を感じさせるスタイリングと、独自の制御システム「アクティブ・リーン・システム」を搭載していることが大きな特徴だ。

Lean3の車両規格は“原付ミニカー”扱いで、最高速度60km/hで走行できる。また車検や車庫証明は不要で、税金なども原動機付自転車並なので、通常のクルマよりもグッと維持費を抑えることが可能だ。運転には普通自動車免許が必要だが、原付一種のような走行ルールがないため、通常のクルマのように走れることもメリットだ。

このモデルについて代表の谷中氏は「昨今は各地で都市化が進み、人口が集中したことで短距離や少人数移動が多くなり、通常のクルマと小型のクルマをミックスして使うことが必要であると考えます。また、クルマ自体が動いているよりも停まっていることが多いことから、“置いておく性能”を高める必要もあると考えました。そこでサイズダウンを行い、全幅970mmにしたことで通常の駐車場スペースに2台分を停められよう設計しました。これにより、クルマを維持する上でコストのかかる駐車費用を抑えられます。

もちろん運転に関しても通常のクルマに乗る感覚を意識しながら開発を進めています。曲がる際に車体は傾きますが、独自の機構によって転倒を防いでいるので、誰もが安心して乗ることができるようになっています」と語る。

左から車両デザインを担当したフィアロコーポレーションのデザインディレクター平田滋男氏と、リーンモビリティ代表の谷中壯弘氏。谷中氏は前職を含めて20年以上も小型モビリティの開発に携わり、C+podやC+Walk、そしてi-ROADの開発なども担当。また平田氏は車両メーカーのデザイナー(マツダ RX-8のデザイン等)を経て、その後も様々なカーデザインに携わっている人物。

未来的な外観と新感覚の走り

Lean3の外観は、これまでにない斬新なスタイリングで未来のモビリティを想像させてくれる。作りも重厚で、ドアを閉める際も通常のクルマと同様の感覚が味わえるうえ、ボディの質感も高いので、所有感もしっかりと満たしてくれるだろう。

エクステリアはボディ側面に入った長めのラインにより、伸びやかに見せるデザイン。フロントはボトムに張り出しを与え、リアはオートバイのようにボトムを絞った形にして、前後のバランスを取りつつ独特の存在感を放つスタイリングに仕上げられている。

今回は試乗スペースの関係上、あまりスピードを出すことができなかったが、静かでスムーズな走り出しと、アクセルを踏み込むことで力強い加速の一片を体感することができた。またコーナリングの際、オートバイの様な車体を傾けて曲がる新鮮な感覚もあった。

一方、インテリアはスッキリとした印象だ。カラーはモノトーンで統一され、操作類もシンプルでミニマム。車内に乗り込むとスリム&コンパクトな見た目に反し、圧迫感はなく、後部座席にも乗ってみたがそこまで窮屈さは感じない。※国内仕様は1人乗りで後部座席なし

車内では包み込まれるようなコックピット感が気分を上げてくれる。操作はクルマと同じハンドルタイプで形状はD字型。ハンドルの左側にパワーのON/OFFボタンとハザードスイッチ、右側にタッチパネル式のデジタルメーターとエアコンスイッチが装備されている。

Lean3のドアは左側にある。試乗車は台湾市場向け仕様であるため後席が用意されていた。日本の原付ミニカー規格では2人乗りできないので、ラゲッジスペースとして仕様が変わる予定だ。

操作はハンドルの左側にあるスイッチを押すと電源がオンになり、スタンバイOK。アクセルを軽く踏み込むとEVらしく静かにスーッと走り出す。試乗スペースが狭かったため速度域は限られていたが、それでも直線では力強くスムーズな加速も感じることができた。

ハンドルを切ると車体が傾きながら走行(リーン走行)することにはじめは驚きと戸惑いを覚えたが、次第にその挙動に慣れてくると、レジャー施設のアトラクションのような楽しい感覚に変わった。

またブレーキを踏むことで自然と車体の傾きが正常の位置に戻る制御もドライバーに安心感を与えてくれる。特にリーン走行中に強くブレーキをかけても転倒しない挙動は新鮮そのもの。2輪のオートバイなら確実に転倒するであろう状態でもLean3なら車体が起き上がるのだ。

Lean3に乗って感じたこと、それはクルマでもバイクでもない魅力を備えたモビリティであるということだった。

Lean3のフロント2輪に「アクティブ・リーン・システム」が搭載されている。これはサスペンションとステアリングをコントロールし、車両の傾きを最適に制御しながら走行する技術のこと。写真の状態から急ブレーキをかけても転倒せず、逆に車体が起き上がるから驚く。

発売は2025年後半、安心して乗れる車両を目指す!

今後の展望に関して谷中氏にたずねてみると、「自動車事業としてはまだ道半ば。クルマを企画してから、開発・認証・部品開発・検査・販売、そしてアフターサービスまで、それらすべてを準備できてはじめて自動車事業のスタートですから。現状はまだ量産の手前なので、これからステップをしっかりと踏んで、次に繋げていきたいと思います。

価格はまだ未定ですが、皆さんが手の出しやすい価格という部分は意識をして決めていきたいと思います。生産台数も最初は年間数千台からはじめて、2030年には3〜5万台を目指したいです。

販売も直接お客様に購入してもらうような仕組みにする予定なので、一気に販売ルートの拡大はできませんが、購入していただいた方に心配をかけないようにメンテナンスもできる体制を整えながら進めていきたいと思います」と真摯に答えてくれた。

Lean3の発売は2025年の後半に予定されている。利便性と楽しさを備えた新たな時代の乗り物として期待しつつ、次のアナウンスを待ちたい。

Lean3にはエアコンが搭載されているため、リアに換気ダクトがある。それを空冷エンジンのフィンのようなデザインが覆っている。

SPECIFICATIONS
リーンモビリティ リーン3|Lean Mobility Lean3
ボディサイズ:全長2470×全幅970×全高1570mm
ホイールベース:1800mm
最小回転半径:3.6m
駆動方式:後輪インホイールモーター
一充電走行距離:100km
充電時間:AC100Vでは約7時間、AC200Vでは約5時間
最高速度:60km/h(海外仕様は80km/h)
※諸元値は開発中のために暫定値

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