山陰道の整備率は約6割。鳥取・島根・山口の東西軸はどこまでできている?【いま気になる道路計画】
鳥取県・島根県・山口県の東西軸として整備中の「山陰道」。2024年度には島根県で開通を予定する区間もあるが、全体の整備率は約6割にとどまる。山陰道の整備はどこまで進んでいるのか。各県の進捗を詳しく見ていこう。
鳥取・島根・山口の東西軸「山陰道」の進捗は?
「山陰道」は、鳥取県鳥取市を起点に島根県北部を経て山口県下関市の終点に至る、高速自動車国道と一般国道自動車専用道路が一体となって構成される全長約380kmの高規格道路だ。鳥取県鳥取市から島根県益田市までは国道9号と並行。益田市からは、山口県萩市や長門市の中央部と下関市の東部を経て小月に向かう。
現時点での整備状況を見ると、全線の約6割にあたる221kmが開通済みで、約3割にあたる104kmが事業中となっている。未事業化は全体の約1~2割で、大部分が山口県、一部が島根県に残存している。
それでは、山陰道の各県の進捗を見てみよう。
【鳥取県】
鳥取県内における山陰道の区間は、鳥取道の鳥取ICから米子道の米子JCTを経て県境の米子西ICまでで、山陰道の中では最も延長距離が短く全体の2割程だ。開通済みの区間は75kmに及んでおり、「北条道路(はわいIC~大栄東伯IC)」(延長13.5km)ができれば、晴れて県内全線開通を迎える。
当初、2026年度の開通を目指していた「北条道路」だったが、北条IC以西でトラブルが発生。地中から石、木根、さらにがれきやゴムくず(タイヤなど)といった地中障害物が出現するなど、複数の課題が山積している。
そのため、国土交通省中国地方整備局の倉吉河川国道事務所は、北条IC~大栄東伯ICについて2026年度の開通予定を見送ることにした。現在、北条IC(仮)~大栄東伯ICの区間は工程精査中で、新たな開通日は未定となっている。
【島根県】
島根県内における山陰道の区間は、米子西ICから戸田ICを経て山口県の県境までで、3県の中では最も延長距離が長い。現在126kmが開通済みで47kmが事業中の他、一部は現道を活用する区間として未事業化のままだ。
事業中の出雲・湖陵道路(出雲IC~湖陵IC仮)と湖陵・多伎道路(湖陵IC仮~出雲多伎IC)は2025年3月2日の開通が決定。三隅・益田道路(石見三隅IC~遠田IC)も2025年度の開通を予定しており、特に工事が遅れているという情報はない。
【山口県】
山陰道の整備で鳥取県と島根県に遅れている山口県。県内の区間は島根県の県境から長門市付近までは沿岸部を通り、そこから南下して中国道の小月ICまで繋がる計画となっている。山陰道全体からみて3割程の延長だ。
現在、萩・三隅道路(三隅IC〜萩IC)と長門・俵山道路(俵山北IC〜長門湯本温泉IC)の20kmは開通済み。
事業中は43km。東側は一部の区間、西側は開通済みの区間をつなぐかたちで事業化している。後は事業化されていないためルートも不明となっている。
中国地方整備局は、県内の山陰道を整備することで、益田市から下関市の小月までは現在の159分から98分、長門市から下関市の小月までは現在の50分から28分と、大幅な所用時間の短縮を見込むとしている。それだけに地元では早期の全線開通を望む声が多くあがっている。
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