令和の若者だって「ポルシェ」が欲しい! クルマ好きの大先輩・渡辺敏史さんと911を買いに行く。【後編】
20代のサラリーマンでも憧れのポルシェライフは可能だろうか。新車はもちろん認定中古車にも手が届かなくても、諦めるのはまだ早い! 正規ディーラー「ポルシェセンター浜田山」が若者に提案する人生経験としての“クルマ遊び”とは? 今回はその後編をお届けしよう。
やっぱり欲しいのは「911のMT」
──ちなみにユカワくんの欲しいのは……。
ユカワ 叶うならやっぱり911のMTですかね。
五十嵐 それは一番高い組み合わせですね(笑)。
──俺だって欲しいよ、それ(笑)。
ユカワ そうですか……。たとえばボクスターやケイマンでMTだといかがですかね?
五十嵐 年式や程度、走行距離や装備にもよりますから、一概に価格相場を提示するのは難しいんです。一例をあげると先日販売したボクスターのベースグレードは2019年型でしたが、MTで800万円くらいでした。
──ポルシェに限らずだけど、スポーツ系のモデルってどうしてもMTが高くなりがちなんだよね。新車時の販売台数が少ない上に中古になると求める人が多いから、市場原理でバンバン高くなってしまう。
五十嵐 MTの総数が減ったのはPDKの登場も大きいでしょうね。PDKの説明は省きますが私は、世界最高峰のATだと思ってます! 走りのストレスが一切ないどころか、全開加速もサーキットのラップタイムも人が変速操作するMTよりも明らかに速い。それもあってMTは趣味性の高いものとして更に珍重されるようになっているんですね。
ユカワ そうなると、ますますMTが欲しくなりますね。
──それって、アナログレコードとかカセットテープとかで音楽聴くような感覚?
ユカワ それもないわけではないですけど、自分が憧れたポルシェの風景に、MTをゴキゴキ操作する姿っていうのが入ってるんですよね。それにMT操作できた方がカッコいいし楽しそうだし。
──なるほどねぇ。確かにレコードやカセットも、針を落としたりテープをひっくり返してガチャンとボタンを押し込んだりと、聴くための儀式的なものがあるよね。そう考えると将来、CDやMDがクローズアップされることはないのかなぁ。
五十嵐 でも実際、ポルシェのスポーツモデルはMTで乗りたいというお客様もいらっしゃいます。そういう方に向けてインポーターもMTの選択肢を少しずつ増やしていますし。
──いっときはPDKしか買えないってこともありましたもんねぇ。
「野良ポルシェ」って何だ!?
ユカワ でも二十代にとっては、新車はともあれ、認定中古車のハードルもやっぱり高いんですね、ポルシェって……。
五十嵐 これはどんな趣味でもそうだと思いますが、たとえばポルシェに乗ることで得られるもののひとつとして、同好の士との出会いっていうのがありますよね。我々は今、そういう出会いの場も含めて、様々な機会をお客様に提供しようという体験価値の創造に力を入れています。
──そうだ、忘れてたけどこちらのポルシェセンターはCORNES(コーンズ)が運営しているお店なのよ。
ユカワ コーンズって確かフェラーリのお店もやってるところですよね。
──他にもランボルギーニやロールス・ロイス、ベントレーとか、名だたる海外ブランドを扱っているんだけど、昨今はクルマの性能がえらいことになってきて、パフォーマンスを味わうには公道じゃ無理、クローズドコースでないとアクセル底まで踏めないってクルマも多くなってきたんだよね。
五十嵐 そうなんです。我々は以前から、例えば富士スピードウェイを貸し切っての走行イベントや、『CORNES Day』と銘打った祭典も開催しています。最近は、更なるお客様のクルマ満足度の向上も目指していまして、会員制のクローズドコースなどを作ったり、ガレージをご用意したりと、他のクルマ屋さんには真似できないようなカーライフを支えるサービスを広げています。
ユカワ えーっ、サーキット作ったんですか。すごいなあ。
五十嵐 ありがとうございます! そのクローズドコースの 『THE MAGARIGAWA CLUB』は、併設されるパドックもご利用いただけますが、全ては会員様のみの非公開の施設なんです。ただ、『CORNES Day』の祭典については、我々のお客様はどなたでもエントリーいただけます。たとえば、うちに入庫履歴があればご参加OKということです。
──えっ、それはたとえばポルシェセンターではなく街中の中古車店で買ってきた「野良ポルシェ」でもOKということですか?
五十嵐 浜田山での整備履歴があれば大丈夫です。
──おーっ、なんか一気にハードルが下がった感じじゃない、これって?
予算200万円からはじめるポルシェライフ
ユカワ たとえば普通のお店で200万円くらいでボクスターとかを手に入れると、とりあえず治すところとか当然出てくると思うんですが、そこを予算と相談しつつ、こちらで修理してもらうみたいなお付き合いでも大丈夫なんですか?
五十嵐 はい。そういった苦労も全て引っくるめてクルマ遊びを人生経験としていただけると次に繋がるという想いがあります。我々は、社のスローガンとして「心躍る瞬間!“クルマってホント楽しい”」を掲げています。愛車との出会いの場、購入されてからの維持も含めたクルマに関わること全てのカーライフを、今まで以上にどれだけ豊かな時間にしていただけるか。その想いの果てが『THE MAGARIGAWA CLUB』であったり、『CORNES Day』なんです。
ユカワ 今日は取材にかこつけてお店も見せていただいたんですが、想像していたよりもフラットでフレンドリーだったので安心しました。
──安心って……。入ったら最後、みたいなイメージだったの?(笑)
ユカワ いやー、でも四桁万円のクルマを扱うお店なんて、自分の経験値では計り知れないんで……。
──自分も仕事柄で色んなお店に行くけど、まぁ今でも黒豹の置物くらいはあったりするなぁ。
五十嵐 うちはどの店舗にも黒豹はいないのでご安心ください(笑)。やはり知って見て憧れて、いつかは手にしたい! 乗ってみたい! と夢を持っていただいて、そういうお客様の心持ちこそが我々の仕事の原動力ですから、そのタッチポイントである店舗はオープンなものでなければならないと思っています。
──なんだったら、こういうモデルをこういう予算と条件で探してますくらいのことを五十嵐さんにお願いしておくくらいのこともありだったりするんですかね?
五十嵐 そうですね。あまりに無茶な注文はお応えできかねますが(笑)、まずはご希望をお伺いする方が近道かもしれません。当店のスタッフは、ポルシェの専門家ですがクルマのプロが揃っておりますので、まずはクルマのことならお気軽にお声掛けください!
ユカワ ポルシェのお店ってだけで敷居が高すぎて腰が引けてましたけど、今日はそうでもないことがわかってよかったです。憧れの姿がちょっとくっきり見えるようになりました。
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