首都高中央環状線の「イカの耳」は上野線の延伸を想定したものだった! 幻の「1号線II期」構想とは? 【いま気になる道路計画】
首都高速1号上野線の終点・入谷出入口は他のどの路線とも接続していない。実は、この高速1号上野線を延伸してその先の中央環状線と接続する「1号線II期」という構想があるという。将来的な接続を想定して、中央環状線には「イカの耳」も準備されている。これは、近い将来、事業化も期待できそう?
中途半端な首都高速1号上野線……入谷から先は?
「首都高速1号上野線」は江戸橋JCT-入谷出入口間の供用延長たったの4.4kmの路線で、国道4号、通称「昭和通り」の真上を高架構造で北上する経路をとっている。
この高速1号上野線の起点である江戸橋JCTは都心環状線と接続しているが、終点である入谷出入口は他のどの路線とも接続していない。しかも上野駅前を過ぎてすぐの入谷という、なんとも中途半端なところで途切れている。
首都高を利用するドライバーであれば、一度は「その先の中央環状線とはつながらないのか」と思ったはずだ。そうすれば、台東区や荒川区の高速道路の利便性も大幅に向上するだろう。
実は、構想の域ではあるが、高速1号上野線の延伸計画「1号線II期」は存在している。
都心環状線と中央環状線を上野線でつなげる「1号線II期」とは?
高速1号上野線の延伸計画「1号線II期」の構想は、現在の終点である入谷出入口から国道4号を東に逸れて北西に進み、中央環状線の扇大橋-千住新橋間までをつなぐルートを想定している。そのため、接続箇所となる扇大橋-千住新橋間には「イカの耳」も確認できる。
「イカの耳」とは、高速道路の本線から分岐した車線が「ブツッ」と途切れたところのことで、将来、他の路線と接続できるよう、あらかじめ準備しておいたもの。何故イカの耳なのかというと、上から見ると本線から分岐したところはイカの耳で本線はイカの足のように見えることから、そのように言われることがある。もっとくわしく知りたい人は「首都高に巨大なイカ!? 高架橋の「イカの耳」はどこにつながっている?」を読んでもらいたい。
イカの耳もあるんだし……「1号線II期」はいつできる?
では高速1号上野線と中央環状線はいつつながるのか? 構想自体はできているし、イカの耳もある。そろそろ工事の進展があってもいいのでは? と思うのだが、現時点で「1号線II期」に関する進展はいっさいなし。首都高の「ミッシングリンク」のひとつであり「構想の路線」のままである。首都高の見解では、1号上野線を延伸する「1号線II期」は「都市計画などの手続きはまだ行われておらず、計画の具体化は、今後、国や東京都によって検討されることが期待されるとしている。
実際、道路網計画の進展を見込めない路線のイカの耳は緑化されているところもある。イカの耳をつくったからといって、必ず事業化するわけではなく、昭和、平成、令和と時代を経て、高速道路網計画も、実現には至らず、事業凍結してしまうこともあるのだ。
高速1号上野線の「1号線II期」が実現すれば、川口線とつながり、都心から東北道方面のアクセス向上を見込める。さらに、高速1号上野線と中央環状線のアクセス路として機能している国道4号の千住大橋付近の渋滞の緩和も期待できる。今後、老朽化する首都高の更新と合わせて、事業化に漕ぎ着けることを期待したい。
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