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最終更新日:2024.08.15 公開日:2024.08.14

なぜ「ちょっと古いクルマ」は心地よい?──クルマとファッションと若者を繋ぐ『Car City Guide(CCG)』で愛車探し。

いまInstagramを中心に若者3人が立ち上げた『Car City Guide(CCG)』が人気を集めている。ディーラーでも専門ショップでもない、いまどきなクルマの選び方とは? 「カー・マッチングサービス」を中心に事業を行なっている彼らの活動について、興味深い話がたくさん聞けたのでさっそく紹介しよう。

文=渕野健太郎

写真=河野マルオ

『Car City Guide』って何だ?

『Car City Guide(CCG)』が入るショップ『HIIKI』の前で。ディレクターを務める中村真さん(中央)とホタカさん(左)。そしてプランナーの中川拓海さん(右)が出迎えてくれた。

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──本日はよろしくお願いします。まずCCGの活動について教えてください。

中村 まず『Car City Guide』(https://www.carcityguide.info/)というメディアがあって、その中にいくつかサービスがあるという感じです。そのひとつがクルマのマッチングサービスで、クルマを売りたい人と買いたい人をお繋ぎするというものですね。その他は、クルマで行けるスポットの紹介や、それにまつわるコラムなどを発信しています。また、この店は様々なグッズ販売のほかイベントスペースにも活用していて、最近はキーホルダー作りのワークショップを開催しています。

──このような新旧の様々なプロダクトを扱う雑貨店は、東京でも感度が高いエリアで見かける印象がありますが、雑貨と「クルマ」が繋がっている感覚が面白いですね。

中村 クルマも雑貨も、同じプロダクトの延長線という感じです。クルマだからと“大袈裟”に捉えてはいないですね。

──お店のある用賀周辺は、東京の住宅街の割には広めの駐車場多く、クルマユーザーにとっては便利なエリアだと感じました。この場所に決めた理由はありますか?

中村 この場所は特にこだわって決めたわけでないですが、家と近いところに拠点が欲しかったんです。デザイン事務所もやっているので、当初は半分事務所、半分お店という計画でしたが、いつの間にか9割お店になってました(笑)

CCGのメンバーが活動する拠点でもあり、セレクトショップでもある「HIIKI」の店内。

クルマをモチーフにデザインしたCCGオリジナルTシャツのほか、メンバーが買い付けたアイテムが並ぶ。

──CCGの活動は非常に面白い試みだと思いますが、この事業を立ち上げたきっかけは何かあったのでしょうか?

ホタカ 「クルマの趣味」というと、専門性が高い人たちだけが個々で楽しんでいる印象がありました。どこか排他的と言いますか……。もともと3人ともクルマが好きで、また美大のデザイン系出身ということもあり様々な表現が出来るので、クルマ好きだけでなくファッションなどに興味を持つ若い世代とクルマを繋ぐ役割を考えました。

──3人とも美大なんですね! 私もそっち系なのでなんとなく親近感湧きました(笑)

中村 CCGの3人のうち2人はプロダクトデザイン、もう1人は建築デザインの出身です。元々、それぞれ別の会社に勤めていたのですが、コロナ禍中は3人それぞれのクルマで遊んでいたんです。クルマでしか出掛けられなかったですから。そんな最中、都内でもクルマで遊ぶことって意外と出来るんだな、と実感したのが立ち上げのきっかけです。最初にコンセプトワークをしっかりして、方向性をがっつり決めました。

中村 真さん

中川拓海さん

ホタカさん

普段使いのクルマは「ムード」にこだわる

──CCGのインスタを見ると、おしゃれなクルマの写真がたくさん上がっていますよね。これまで乗っていたオーナーと新しいオーナーがクルマと共に写っているのはとても印象的です。多くは90年代前後のいわゆる「ヤングタイマー」的なクルマ達だと思いますが、売買できるクルマは限定しているんですか?

中村 オーナーさんの顔を見せるというのは特にこだわっているところですね。車種は何でもというわけではないのですが明確には決めていません。インスタ(@car_city_guide)を見てくれている方がほとんど20〜30代が中心なので、必然的に手が届くクルマになっている感じですね。お金、見た目など様々なことを考慮すると、あの年代に落ち着いているのかもしれません。これまでトラブル的なものもなく、本当にいい人たち、いいクルマに巡り合っていると感じます。

──やはり皆さん少し古めのクルマに一番魅力を感じるんですかね?

中村 そうですね、でも私は新しいクルマも大好きですよ。よく試乗に行ったりしますし、EVもすごく興味があります。しかし、価格が高いから検討に上がりません。お金があったら欲しいなと思うクルマは多いです。新車に興味がないから、というわけではないんです。一般的な若い世代はみんなこんな感じじゃないですかね。

──ちなみに皆さんはどんなクルマが好きですか?

中村 スポーティーで速いクルマはもちろんF1なども大好きですが、普段使いのクルマは「ムード」にこだわりますね。乗ったときに「こういう気持ちになりたい」という感覚で選んでいます。今は手離しましたが、以前はVW ゴルフ1のカブリオレに乗ってました。

ホタカ 「身の丈から出過ぎず」でも「自分の生活を豊かにしてくれる」ようなクルマですね。今はMGのMGB GTと、アウディ A4オールロードに乗っています。

中川 「自分に似合う」クルマと言いますか、「自分とイメージが離れすぎない」クルマが良いですね。少し前に売ってしまいましたが、2代目ホンダ・シティの前期型に乗ってました

CCGの2周年を記念した出版されたオリジナルZINE。彼らがオススメする都内6つのドライブスポットや、使いやすい道路やパーキングが集約された23区の地図が掲載されている。

CCGのオリジナルステッカーも。

いま若者に必要なのはクルマにまつわるサービスの充実

──難しい話題になりますが「若い世代」に向けて、どうクルマを訴求すれば良いと思いますか? また、CCGとして今後やっていきたいことを教えてください。

中村 クルマに興味のない人もたくさんいますが、クルマが嫌いというひとはあまりいないと感じています。あると便利ですしね。でも駐車場など、どうしてもお金がかかりそうと考えてしまいます。今の、クルマを持つ事への「大袈裟」な感じを、様々なサービスでハードルが下がれば良いですね。

──クルマそのものよりも、クルマにまつわるサービスの充実が重要という事ですね。

中村 はい。またCCGとして今後やっていきたことは、まずはクルマで集まれるイベントを開催したいのですが、究極としては宿泊施設を作って、“移動体験”ごと作りたいです。おすすめのクルマで、こういうルートで、ここに泊まって……というガイドですね。CCGの活動の延長線上にある夢です。

ショップの前で彼らの愛車、アウトビアンキ A112と。

「若者のクルマ離れ」と言われて、すでに10年以上経っているでしょうか? 私がメーカーのカーデザイナーだった時は、Z世代の調査は行うものの、どこか訴求を諦めている風潮がありました。しかし今回の取材を通じて、若い世代にもまだまだクルマを訴求できる余地があること、また、そのカギはクルマにまつわる「サービスの充実」だと感じました。

また「新車は好きだけど手がでない」という感覚は、私のような40代後半世代も、若い頃はまさに同じだったと思います。ボロボロの中古でもいいからとにかくクルマを手に入れて楽しみたい、という感性が意外と変わっていない、懐かしい想いもしました。

3人の、落ち着いた人柄の中にも夢が溢れる姿を見て、これからの自動車文化にも期待が持てそうです。

INFORMATION
Car City Guide(CCG)
https://www.carcityguide.info/
@car_city_guide

HIIKI
東京都世田谷区上用賀1-7-16
13:00-19:00(不定休)
@hiiki_jp

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