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最終更新日:2024.06.03 公開日:2024.06.02

普通のポルシェじゃ物足りない? 「シンガー」がレストアした過激な911が最高すぎる!

クラシックなポルシェ911のレストアを手掛ける、米のシンガー・ヴィークル・デザインが日本に上陸を果たした。現代の技術で旧車を過激に蘇らせるレストモッドの魅力とは? 小川フミオがリポートする。

文=小川フミオ

写真=Singer Vehicle Design

ポルシェ934や935をイメージしたDLSターボ(左)と、930ターボをイメージしたターボスタディ。どちらも964がベースでボディはCFRP製。

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ベースは964型の911

米のシンガー・ヴィークル・デザインが、2024年5月、日本上陸を発表した。地上最強の911レストアラーとも言われる彼らが手がける車両は、F1の開発チームまで参加し、新車時をはるかに上回る、とてつもない性能を誇る。

シンガー・ヴィークル・デザイン(以下、シンガー)が日本に持ち込んだモデルは2台。「ターボスタディ」と「DLS(ダイナミクス&ライトウェイティング・スタディ)ターボ」と名付けられている。ベースになっているのは、964型と呼ばれる、1989年から94年まで作られた911。

ターボスタディは、シャシーから徹底的に手を入れ、ボディは軽量炭素繊維のオリジナルデザイン。リアに搭載されるのは、3.8リッター空冷水平対向6気筒エンジンで、インタークーラー付きターボチャージャーを2基備え、450HPあるいは510HPのパワーを誇る。

DLSターボもベースは964型。3.8リッター水平対向6気筒エンジンには4バルブ化されたヘッドが載せられ、電気式ウェイストゲートと水冷インタークーラーをそなえた2基のターボチャージャー搭載。最高出力は700HPと、ターボスタディの上をいく。6段マニュアル変速機、カーボンセラミックブレーキもそなえる。

東京の発表会におけるロブ・ディキンスン氏(中央)、マゼン・ファワズCEO(左)、コーンズモーターズの林誠吾代表取締役社長兼CEO。

DLSターボは車内にロールケージも備わり、ほとんどサーキット仕様。F1のウイリアムズ・アドバンステクノロジーが提供する技術ノウハウも採用している。そもそも、1970年代にレースで活躍したポルシェ911ベースのレースモデル、グループ4の934やグループ5の935をイメージして開発されているのだ。しかし、街乗りしたいひとのために、小さなスポイラーを備えたボディパーツとも交換可能だ。

2009年の創業以来、2024年でようやく通算生産台数300台に達したというシンガー。高価なだけでなく、希少性も高い。納車を待つ顧客のリストはかなり長いそうだ。だいたい3年ぐらいが目安らしい。

注文する際は、ドナーカー(レストアのベースになる車両)を用意する。自分が乗っている車両に手を入れてほしいという顧客もいれば、964型を市場で探して、それをシンガーの仕様に仕立ててほしい、という顧客もいるようだ。いずれも対応してくれる。

サーキットもストリートもお任せあれ、というDLSターボ(写真:筆者)。

シンガーは911をリイマジンする

なぜ、964型にこだわるのか、という質問に対して、創業者のロブ・ディキンソン氏は下記のように答える。

「サスペンション、ブレーキ、ステアリングシステムはしっかりしていて、空冷エンジンの911のなかでもっとも土台としてポテンシャルが高いから」

ディキンスン氏が強調したのは、シンガーはメーカーでなくレストアラーだし、ビジネスに関してはポルシェとまったく関係ない、ということ。そして、自分が思うように手を入れる好意は「リイマジン」。つまり、こうであったらいいな、と自分の理想の964型を作りあげることだそう。

ディキンスン氏ら経営陣は、シンガーの価値を希少性にも置いている。なので、各モデルに生産台数の枠を設けている。まあ、ターボスタディで110万ドル、DLSターボで270万ドルという費用を払えるひとが、はたしてどれだけいるか、という事実もある。それでも、シンガーの評価は年を追うごとに高まっているようで、世の中すごいことになっている。

シンガー・ヴィークル・デザインの製品に興味あるひとは、同社のホームページ(日本語サイトあり)で申し込む。さらなる作業(ドナーカー探しやシッピングなど)は、日本でパートナーになったコーンズモーターズが面倒をみてくれる。

INFORMATION
シンガー・ヴィークル・デザイン
https://singervehicledesign.com/ja/

DLSターボのインテリアはオリジナルの雰囲気を大事にしつつ、現代的にかつ贅沢に仕上げることも可能。

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