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最終更新日:2024.04.16 公開日:2024.04.15

首都高「ETC専用」が9割に!? 2030年度には地方も含めた全線がETC専用化へ!

「ETC専用」の料金所が徐々に増えてきた最近の首都高速道路。先月発表された計画では2025年度中に9割まで拡大するという。ETC専用入口導入の効果と、今後の計画はどうなっているのか、確認してみよう。

文=岩井リョースケ(KURU KURA)

資料=首都高速道路

首都高のETC専用入口。写真=首都高速道路

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首都高料金所のETC専用化は効果があったのか?

首都高速道路株式会社は、首都高でのETC専用化を推進するため、3月末に国土交通省や関係地方公共団体らとともに「第1回 首都高速道路ETC専用化連絡調整会議」を開催した。この会議では、ETC専用化が開始されてから2年間で起きた変化や、導入の進捗状況に、利用者の声などが共有された。

■数値で見るETC専用化の効果
2020年2月に首都高で初めてETC専用入口を設けて以来、2022年4月までに計35カ所でETC専用入口を設置。1日あたりの通行台数は、日交通量の約15%にあたる約15万台が利用している。

ETC専用化は安全性の向上に大きく寄与している。ETC専用料金所を設置して以降、ETC車と現金利用車の混在が減ったことで流れがスムーズになり、接触事故が25件から14件まで減少(※)。また現金利用車による一旦停止が減ったことで、追突事故は27件から18件まで減少したという。これは率直に素晴らしい効果と言えるだろう。
※ETC専用化前後の1年8か月の期間に集計

ETC専用入口(馬場入口除く)34か所でのETC専用化前後での事故発生件数。ETC専用化前は2018年4月から2019年12月まで、ETC専用化後は2022年4月から2023年12月まで集計

ETC専用レーン利用者のこれまでの反応は?

では、ドライバーたちの使用感はどうなのだろうか? 2023年にETC専用入口に対する顧客満足度調査が実施されたので、回答した9372人の利用者たちの意見を確認してみよう。

まず、ETC専用化について、「満足している」が64.0%、「どちらでもない」が24.8%、「不満」と感じている人は8.1%という結果となっている。肯定的な意見は、スムーズに通れることや、渋滞緩和に繋がっていること、人件費のコストカットになる、といったコメントが挙がっている。逆に否定的な意見は、緊急時に係員がいないので不安だと感じた人や、代車やレンタカーなどでは利用できないと感じた人、周知が足りず、ルールが分からないと感じた人の意見もあったようだ。

実際、ETC専用入口への“誤進入”は、現在も1カ月あたり1.5万台にも上るという。その大半はETC専用入口を初めて利用する人や、レンタカー利用者だそうだ。普段から運転する人にとっては、路面や看板に描かれた“紫色”が視野に入っていれば、それがETC専用を意味していると気づくはずだが、外国人利用者を含め、見慣れない人には判断が難しいということだろう。

ETC専用化に対する利用者の声。9372名に対し、2023年8月18日~9月15日にかけてWeb調査にて満足度調査を実施。

首都高速ではこのように誤進入した場合の対応として、料金所に「サポートレーン」を併設している。インターフォンやカメラで利用者の連絡先・免許証を確認後、ドライバーは後日「支払チラシ」を受取り料金を支払うことになっている。(参考記事:最近、高速料金所に現れた「ETCサポート」って何だ? 知らないと困る「サポートレーン」の用途とは。

しかし、誤進入の事後処理は複雑(カードの期限切れ、挿し忘れ、現金で払えると勘違い、外国人相手、常習犯などで対応が異なる)であるため、係員への負担が大きくなる問題も新たに浮上しているという。この問題に対し、首都高速道路では、路面への紫色のカラー舗装や、横断幕、看板などでの案内や、遠隔オペレーションの円滑化に向けた取組みを実施し、今度はさらに不正通行の取締まりも強化していく予定だ。

視認性を高めるよう工夫された街路のカラー舗装や、横断幕・仮看板のイメージ

ETC専用化は順調……じゃなかった?

最後に、国土交通省と高速道路会社6社による、ETC専用化のロードマップ(2020年12月時点)を見てみよう。導入は順調に進んでいるのだろうか?

首都高では2025年度中に、現在の35か所から160か所程度(全179か所のうち9割)まで導入を予定している。本来であれば、すでに現時点でかなりの数のETC専用入口が増えているはずなのだが、2022年4月から2024年4月現在に至るまで、実はまったく増えていない。それはなぜか?

2020年12月に公表された、ETC専用化のロードマップ。首都高では2か所の料金所が閉鎖したため、2024年4月時点では正しくは179か所となる。

実は、首都高の資料によると、ETC専用入口160か所(計380レーン前後)の整備には半導体が約1200万個必要で、これらの納期が遅れていることが原因だという。最も不足しているのは「PCAリニアIC(料金所カメラに使用)」と「PCAレギュレータ(車両検知器に使用)」で、これらが約1.4万個ほど遅れているそうだ。

これらの半導体は、最新の半導体とは異なる「レガシー半導体」であるため、高性能な半導体よりも逆に生産数が絞られていたそうだ。しかし、ようやく今年の9月に納入が開始される見通しが立ったという。つまり、最短でも2024年9月以降から2026年3月にかけて、残り120か所以上の首都高入口がいっきにETC専用化されるということだ。

首都高以外の高速道路でも、2025年度までには8割程度までETC専用化が進み、2026~2030年度には地方も含めた全線がETC専用化される予定だ。交通の円滑化や管理コストの削減につながるETC専用化が、予定通り実現できるのか、注目しておきたい。

2024年3月22日時点の、高速道路会社6社のETC専用入口導入箇所数。

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