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クルマ最終更新日:2024.01.18 公開日:2024.01.18

ジムニーがルノーサンクに大変身? 元カーデザイナーがスゴイ! と思わず唸ったカスタムカー4選【東京オートサロン2024】

幕張メッセの“カオス”な雰囲気の中で、キラリと光るカスタムカーを見つけた! 2024年の東京オートサロンで、元カーデザイナーの渕野健太郎が注目したカスタムカーとは?

文・写真=渕野健太郎

写真=スズキ、ホンダ、三菱自動車

カスタムカーの目的はふたつある!?

東京オートサロンは今年も千葉の幕張メッセを会場に開催され、3日間で約23万人が訪れた

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今年もオートサロンへ行ってきました! 思えば会社員時代から仕事でほぼ毎年行っている気がしますね。私がデザインしたコンセプトカーを、さらにカスタムして出した年もありました。

オートサロンは「カスタムカー」の祭典ということで、会場は何でもありの“カオス”な雰囲気なのですが、ここでワタシ的にカスタムの目的を、大きく2つに分けてみます。

それは、クルマの「価値を高める」カスタムと、クルマの「価値を変える」カスタムです。

ほとんどのカスタムカーは、「価値を高める」カスタムだと思います。これは表現しやすいんですよね。例えばスポーツカーなら、車高を下げ、トレッドを広げ、エアロパーツを付ければ「走りの価値」をさらに高める事が出来ます。比較的想像しやすいのではないのでしょうか?

もう一方の「価値を変える」カスタムは、よりクリエイティビティが必要になります。例えば、本格的SUVの「ゴツい」イメージのクルマを「かわいく」見せる、というようなものです。これにより、そのクルマがもともと提供している「悪路も走破性が高そうな価値」を「親しみがあり、街乗りに楽しめそうな価値」に変えることができます。

ということで、この2方向で良いと思ったクルマを、メーカーの出展車を中心にピックアップしてみました。

「価値を高める」カスタムカー①<br>三菱 トライトン スノーシュレッダーコンセプト

三菱 トライトン スノーシュレッダーコンセプト

三菱自動車のメッセージは最近特に明快で良いですね!今回は「さあ、行こう。縦横無尽な冒険へ。」をテーマとして、ハードなイメージのSUVを並べていました。思えば戦後すぐからジープのライセンス生産を行い、パジェロでパリダカを戦ってきた歴史がある本格的SUVの老舗ですよね。

ベース車のトライトンはアドベンチャー感が強いデザインで、現代のトレンドにマッチしたピックアップだと思います。スタンスも良いですね。

そのトライトンを、よりハードなイメージに仕立てていたのが、この「スノーシュレッダーコンセプト」です。パッと見もカッコいいのですが、個人的に一番惹かれたのはボディ全体に泥汚れを表現していたラッピング(塗装かもしれませんが)です。このラッピングが絶妙に薄汚れた感じを出していて、またやり過ぎない感じも良かったですね。さらに造形で見せたいショルダーのピーク部は汚していなく、造形のメリハリが強調されているのも芸が細かいと思いました。

「価値を高める」カスタムカー②<br>ホンダ WR-V フィールドエクスプローラーコンセプト

ホンダ WR-V フィールドエクスプローラーコンセプト

WR-Vはこの会場で初めて見ました。安いと話題のクルマですが、デザインはとても良かったです。シンプルなのですが、しっかりとしたボリュームで、かつどこから見てもスタンスの良いシルエットでしたね。リア周り、特に寝てるCピラーの角度を見ると、もう少しグリルとヘッドランプが下がった方がフロントのマス感も軽くなって前後のバランス良いかな、とも思っていたのですが、実車を見ると丁寧に造形されたクルマだなと感じました。

そのベース車の良さを活かしつつ、最低限のアイテムでよりSUVらしい雰囲気を出したのがこの「フィールドエクスプローラー コンセプト」です。このやり過ぎない感じが良いですね。

ホンダはアドベンチャー方向のデザインは苦手なイメージがあるのですが、このクルマは程よい、どちらかと言うとファッション的な雰囲気で、ホンダの良さが出ていると思いました。

「価値を変える」カスタムカー①<br>スズキ スーパーキャリイ マウンテントレイル

スズキ スーパーキャリイ マウンテントレイル

スーパーキャリィとは乗員の後ろと天井の空間を拡大した、キャリィの派生車なのですが、このような軽トラは本来、趣味性とは正反対のクルマですよね。それをベースに、もはやバギーとも言えるまで思いっきり振り切ったのがこの「スーパーキャリイ マウンテントレイル」のいいところです。まさに「価値を変える」という感じですね。

ただ私は知らなかったのですが、特別仕様車で「スーパーキャリィ Xリミテッド」というちょっと趣味性に振ったクルマがすでにあるんですね。さすがスズキは抜かりないなと思ったのと同時に、今回は一番カスタムしやすいであろう「ジムニー」に手を出していないところも、「ジムニーは皆さんにおまかせ!」みたいな感じがして勝手に好感を持ちました(笑)。

個人的には「ソリオ」のカスタムを見たいですね。普段使いの機能性はめちゃくちゃ良いのですが、もっと趣味性に振ったデザインを欲している人も多いと思うんですよ。

「価値を変える」カスタムカー②<br>DAMD ジムニー 「little 5.」「little Δ.」

まるでルノーとランチア? 手前がDAMD ジムニー「little 5.」。後ろが「little Δ.」だ

サンクターボの特徴的なエアインテークもこの通り!

最後はメーカー系ではなく、カスタムを本職とするDAMDのジムニーです。今回はなんとルノー・サンク・ターボとランチア・デルタ・インテグラーレをジムニーで表現するというものでしたが、意外にしっくりきててすごく良かったです。

特にルノーの方がよかったですね。ランチアの方はボディ色のフロントバンパーによって顔の厚さが必要以上に強調されてたこともあり、ややチープに見えていると感じたのですが、ルノーの方はここが黒樹脂なのでベストなバランスだと思いました。また、車高も下げていると思うのですがあまり下げ過ぎず、OZのホイールを履かせたタイヤとボディのバランスが絶妙に良かったと思います。

しかし、ジムニーとルノーサンクでは特にリアゲートのシルエットが全然違うのによく思いついたなと感心しました。確かにジムニーの淡白な面質や、立ったフロントガラスは「あの頃」のクルマに近いものがありますよね。そこに目をつけたセンスの良さを感じました。

以上です。「カスタムの祭典」という性質上、私が一番良かったと感じたのはDAMDのジムニーでしたね。全体の印象で一つ言うとすると、メーカー以外のブースはもう少し出展車数を減らしてでも、ちゃんと「クルマを魅せる」ブースになっていたらいいなと思ったりしました。他にも魅力的なクルマがあったかもしれないのに、クルマがギュウギュウに並んでいると目につかないんですよね。まあそれが「カオス」な雰囲気になって、魅力ではあるのですけど。

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