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運転免許の自主返納は何歳が多い? 本人・家族が知っておくべき年齢以外の判断基準とは

高齢ドライバーによる交通事故の報道が増えている。自身や周囲の人から見て、その人の運転に不安を感じたときが運転免許の自主返納のタイミングと言われているが、実際には何歳くらいで返納している人が多いのだろうか?

文=岩井リョースケ(KURU KURA)

資料=警察庁

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ドライバーとして大ベテランであると同時に、身体機能や認知機能が低下している高齢ドライバー。(c)naka - stock.adobe.com

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免許返納年齢は70歳がひとつの分岐点?

運転免許の自主返納制度は1998年に導入され、今年で25年目になる。近頃は高齢ドライバーによる交通事故の報道をよく目にするようになり、高齢ドライバー本人や家族にとっても免許返納を意識させられる機会が増えているのではないだろうか。そこで今回は、運転免許を自主返納している平均年齢や、免許返納を行うことで得られる特典について説明する。

■免許返納の目安
免許返納に年齢の規則はないが、警察庁が発表している2022年における免許返納件数を比較してみると、
64歳未満:1万9700件
65~69歳:3万4200件
70~74歳:12万1370件
75~79歳:9万9603件
80~84歳:9万9307件
85歳以上:7万4296件
計44万8476件

このように、70~74歳が最も多い結果となっている。この理由として、70歳になると新たに高齢者講習を受講する義務が加わり、75歳になると記憶力や判断力の低下を確認する認知機能検査も必須となる。さらに、認知機能検査を通っても、違反歴によっては運転技術検査も受けなければならない。このように免許更新がより複雑化することから、身体機能が衰えていると自覚した人が、1度目ないし2度目の免許更新のタイミングで返納するケースが多いようだ。

■年齢以外の判断基準
また、75歳以上になるとハンドルやブレーキの誤操作による交通事故は、一般ドライバーのおよそ2倍近く増える。このため、警察庁は自主返納のタイミングとして、以下の項目をあげている。これらの状況に本人や周囲の人が気付いたら、免許返納を検討してほしい。

・視野が狭くなり、信号や標識が見えにくくなった
・右左折のウインカーの間違いや、出し忘れ
・歩行者、障害物、他の車両に注意が向かない
・カーブをスムーズに曲がれない
・車庫入れで壁や塀をこすりやすくなった

“面倒”が理由ならもったいない。免許返納後の「運転経歴証明書」はぜひ申請を

運転免許の返納時に、手数料の支払いと書類を提出することで「運転経歴証明書」を受け取ることができる。これは、運転免許を返納した日からさかのぼって5年間の運転経歴を証明するもので、公的な本人確認書類として永年利用することが可能。また、2019年から運転免許の失効者に対しても交付されることになっている。他にも運転経歴証明書を所持していれば、自治体ごとにタクシー、バスの運賃割引や商品券などの特典も受け取ることが可能だ。

しかし、2022年においても免許返納者のうち、2割近くの人が運転経歴証明書を受け取っていないことが分かっている。手数料は1100円で永年利用できるものなので、持っておいて損はないハズだ。

運転経歴証明書と所持特典。画像は警察庁「運転免許証の自主返納に関するリーフレット」から引用し作成。

2013(平成25年)~2022年(令和4年)における運転経歴証明書の交付件数

自主返納をしたくてもできない人たちがまだまだ多い

高齢者が増え続けるなか、自主返納件数は世の中に浸透したものの、2019年の60万件というピークを過ぎてからは、減少傾向にある。70歳も超えれば心身の衰えは誰もが自覚していることだろうが、それでも返納できない理由がそれだけあるということだろう。筆者の親も75歳を超えているが、地域内に駅やスーパー、公共交通機関、病院などがない中山間地域に住んでいるため、気安く免許返納を勧められず、複雑な心境にある。16歳以上なら免許不要の特定小型原付、デリバリーサービス、ライドシェアといった、あらゆるサービスが登場しているが、高齢者本人が使いこなせるか、そのサービスを利用したいと思えるのか、そもそもそのようなサービスの存在を認識しているのか……。地方・郊外に住み、運転に不安を感じる高齢者が安心して運転免許を自主返納できる環境づくりの促進が必要だ。

都道府県別、2022年の自主返納件数。資料=警察庁

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