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最終更新日:2023.09.08 公開日:2023.09.05

無信号の横断歩道にご用心! 道路のダイヤマークに注目

横断歩道は歩行者優先であり、運転者には横断歩道手前での減速・停止義務がある。しかし、"信号機のない横断歩道"で歩行者が横断しようとしても一時停止しないクルマはまだいる。全国の交通安全運動でもこの一時停止の有無に対する取締りが強化されている。

文=岩井リョースケ(KURU KURA)

ダイヤマークと横断歩道の関係を理解しておこう。(c)AntiqueJP - stock.adobe.com

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横断歩道前の取締りが強化されている?

信号機のない横断歩道を渡ろうとしている人がいるのに、停止しないクルマ。そして、横断歩道がない場所で無理な横断をする歩行者。このような光景を目にする機会は依然として多い。

警察庁の調べによると、2018年から2022年までの5年間で、クルマと歩行者の衝突による交通死亡事故は4678件。そのうち約7割の3295件は歩行者が横断中に起きたものだ。さらに横断場所の内訳を見てみると、横断歩道以外の場所で横断中に2150件の事故が、そして横断歩道を渡っていても1145件の事故が起きている。このため、最近は横断歩行者等妨害等違反の取締りが強化されている。

「自動車対歩行者」の事故類型別歩行者死亡事故件数(2018~2022年)。資料=警察庁

内閣府が発表した今年の9月21~30日の「秋の全国交通安全運動」では、以下の3点が重点ポイントになるという。

(1)子どもと高齢者を始めとする歩行者の安全の確保
(2)夕暮れ時と夜間の交通事故防止及び飲酒運転等の根絶
(3)自転車等のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底

特に、歩行中の児童の死亡・重傷事故では登下校が約4割を占め、日の入り時間が急激に早まる秋口以降は夕暮れ時や夜間に重大交通事故が多発している。

交通量が多く、事故が多発しやすい道路以外にも、住宅地や児童の登校ルート上にある無信号の横断歩道での取締りがかなり増えているのには、このような背景もあるようだ。実際に横断歩行者等妨害等違反の取締り件数は年々増加しており、2022年は2018年よりも約1.9倍も増えている。

全体の違反取締り数と、横断歩行者等妨害等違反の取締り件数。資料=警察庁

ダイヤマークがある=この先、横断歩道あり!

この先、横断歩道又は自転車横断帯ありを意味するひし形のマーク。(c)U4 - stock.adobe.com

■無信号の横断歩道をあらかじめ知るには

通い慣れた道なら信号機のない横断歩道がある場所は記憶しているが、慣れない道で無信号の横断歩道が突然目の前に現れ、横断しようとする人がいないか慌てて確認した、という経験はないだろうか?

このように横断歩道の存在に気付けず、横断歩道を通過した経験があるなら、道路上に描かれている“ひし形のマーク”に注目して欲しい。よく見かけるこのマークは、“横断歩道又は自転車横断帯あり”を意味しており、「ダイヤマーク」と呼ばれている道路標示のひとつだ。

ダイヤマークは必ず縦に2つ並んで道路上に描かれており、最初のダイヤマークは横断歩道の50m手前に標示され、2つ目は30m手前に標示されている。見通しの良い道路であれば無信号の横断歩道の存在を遠くからでも視認できるが、カーブや急勾配の坂道では横断歩道が直前まで見えないこともあるので、このダイヤマークを見つけたら、横断者がいる可能性を意識して減速する習慣をつけよう。

■歩行者に気付きつつも停止せず通過するクルマ

あるいは、横断しようとしている歩行者の存在に気付いているにも関わらず、減速せずに通過してしまう人もいるかもしれない。そんな人は、以下の罰則について再確認し、2022年だけでも33万件以上の違反取締りがあった事実をしっかりと自分事として受け止めてほしい。

■道路交通法上の罰則

横断歩道等における歩行者等の優先を行わなかった場合、罰則として3月以下の懲役又は5万円以下の罰金、普通車は9000円の反則金と、基礎点数2点が発生する。また、横断歩道のない交差点においても歩行者の優先は変わらず、こちらも違反した場合は前者と同じ罰則等が発生するので注意が必要だ。

①と②はどちらも横断歩道を表す標識。③は自転車横断帯、④は横断歩道・自転車横断帯を表す。すべての標識の中でこの4種のみ形状が五角形なので覚えやすい。

気を付けるのは歩行者も一緒!

冒頭でも触れた通り、横断中の事故において、横断歩道以外の場所で起きた事故が全体の約7割を占めている。そして、歩行者側にも走行車両の直前・直後横断や横断歩道外横断、信号無視などの法令違反が確認されている。事故を防ぐには、歩行者も規則を遵守し、無理な横断をしないことが大切である。

歩行者は横断歩道や信号機のある交差点が近くにあるところでは、その横断歩道や交差点で横断するようにしたい。当然だが「歩行者横断禁止」の標識のあるところでは、横断することはできない。

歩行者が無信号の横断歩道を渡る際に、接近するクルマがあれば挙手で横断の意思を伝えるなどすると、ドライバーにも分かりやすくより安全だ。さらに、停止してくれたクルマに対しては会釈などで感謝の意を伝えると、より心地良いコミュニケーションができるだろう。

画像左が歩行者横断禁止を表し、似たような標識として歩行者通行止めがある(画像右)。

秋の全国交通安全運動 2023年のポスター。画像=内閣府

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