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最終更新日:2023.06.21 公開日:2023.04.26

昼間の工事規制がなくなる!? 高速道路を支える最新の工事技術がスゴイ!

全国で老朽化が進んでいる高速道路。建造物の劣化による事故のリスクに対処するため、 大林組は橋梁での床版を取り替える工事の新工法をNEXCO中日本と共同開発している。 従来の工法のように、架設が完了するまで上下線のいずれかの通行止めなどを行う必要がなくなったという新工法について、紹介する。

文=くるくら編集部 資料=大林組

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新工法のおかげで通行止めが減った?

トレーラーに乗っているのが新工法の要となる移動式床版架設機「ハイウェイストライダー」。写真=大林組

 日本の重要な交通インフラである高速道路は、竣工から数十年が経過し、老朽化が進んでいる。これを放っておくと橋梁の崩落や路面の陥没などのリスクが高まるうえに、交通整備などのコストも発生してしまう。

このようなリスクに対処するため、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社では、現在「高速道路リニューアルプロジェクト」という大規模更新・修繕事業に取り組んでいる。これは、工事を行う際に最新の技術を駆使して、建設当初と同等以上の耐久性をもたせるという計画だ。この最新の技術の中には、効率化や強度の向上に加え、周辺地域や道路利用者への影響も配慮した工法も開発されているので紹介したい。

建設業を中心に不動産開発、環境事業、海外事業などを展開している大林組は、橋梁での床版取替工事の新工法「DAYFREE(デイフリー)」をNEXCO中日本と共同で開発。従来の床版取替工事では規模が大きく、架設が完了するまで上下線のいずれかの通行止めなどを行う必要があり、特に昼間は交通渋滞を引き起こす原因となっていた。これに対してDAYFREEでは、交通量が少ない夜間に1車線規制で施工を進め、昼間は車線規制を解除して普段通りに道路を利用することが可能となっている。

左が従来の床版取替工法。上下線のいずれかが通行止めや、対面通行などの規制が必要だった。

昼・夜間での交通規制の流れ

DAYFREEを支える技術

DAYFREEは、トレーラーで半断面(2車線道路の1車線分のサイズ)の床版を架設する移動式床版架設機「ハイウェイストライダー」と、超高強度繊維補強コンクリートを使用したプレキャスト板「スリムNEOプレート」での接合という2つの要素で成り立っている。

■ハイウェイストライダー
 従来の床版撤去や架設には大型クレーンを使用していたが、クレーンの設置、撤去に時間がかかるうえ、サイズが大きく片側車線規制内を実現できない。そこで、トレーラーで搬入が可能な大きさで、支柱を伸縮させることで設置や撤去の時間を短縮できる門型クレーンとして開発された。床版の1枚あたりのサイズはおよそ2.0m×5.0m、重さは6.9t、施工は一夜間で床版2枚分の4mずつ進捗する。

試験施工時における、ハイウェイストライダー設置後の姿。

トレーラーに搭載しているハイウェイストライダーを設置するまでのイメージ。

■スリムNEOプレート
 昼間から車が通るためには、架設した床版同士の接合部に強度が必要だ。従来の鉄筋コンクリート構造では、コンクリートの打設後に所定の強度を出すため、最短でも2~3日の硬化時間を要していた。そこで、大林組が高い強度を持つプレキャスト板(工場で成型済みの板)を開発。床版の接合部に設置することで、すぐに防水・舗装工に移行できるようになった。

架設された床版接合部の構造。プレート下面に残る隙間には、道路を共用しながら床版下面から超高強度繊維補強コンクリート(スリムクリート)を充填する。

縦向きの白い2本のプレキャスト板がスリムNEOプレートで、中間にあるのが床版。スリムNEOプレート自体が高い強度を持つため、設置後すぐに防水・舗装工程に移行できる。

夜間規制のみで進む工事に感謝!

交通規制期間や回数の削減に、交通インフラの長寿命化に貢献してくれるDAYFREE。全国の高速道路が建設から数十年経過し、あちこちで工事が行われる中、なるべく私たちの日常での利用に影響が出ないよう配慮された取り組みには感謝しかない。

ハイウェイストライダーは現在、中央道・弓振川橋の床版取替工事を終え、東名多摩川橋で床版取替工事の最中だ。もし工事中に通る機会があれば、規制区間の短さや資材・人員など、規模を最小限に抑えた工事を意識してみると、新しい発見があるかもしれない。

中央道・弓振川橋(上り)で行われた床版取替工事の様子。新工法により、夜間の片側車線規制のみで工事を完了できた。

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