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最終更新日:2023.06.19 公開日:2023.03.24

開通が待ち遠しい!新名神高速道路「大津大石トンネル」の工事に新技術が導入された。

鹿島は、岐阜工業とシンテックと共同で、トンネル工事を一部自動化する新技術を開発。新名神高速道路にある大津大石トンネル工事に初めて導入したことを発表した。

文=高田ひかる

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工事が進む「大津大石トンネル」

滋賀県大津市にある新名神高速道路では、道路を6車線化する工事が行われている。これは、周辺路線で度々起きていた渋滞の緩和と、事故や災害時に道を確保することを目的としている。新名神高速道路では現在、上り線の「大津大石トンネル」の掘削作業を行っている。大津大石トンネルは、3車線の大断面トンネルで、掘削幅16.6m、高さ9.1m、掘削断面積は130㎡ある。坪数に直すと、およそ40坪となる。

「大津大石トンネル」の課題

大津大石トンネル工事は、NATM(ナトム)と呼ばれる工法で工事が進められている。それには、約6つの工程がある。
①掘削する。
②岩石を運びだす。
③アーチ状の支えを取り付ける。
④コンクリートを吹き付ける。
⑤トンネル内部のアーチ全体にボルトを打ち込む。
⑥防水シートを貼り、アーチにそって型を組み、仕上げのコンクリートを流し込む。乾いたら完成。

大津大石トンネルで課題となったのは最後の工程で、トンネル内部を仕上げのコンクリートで固める作業だ。3車線の大津大石トンネル工事は、2車線トンネル工事の約2倍量のコンクリートが必要だった。そのため従来通りの工法では、コンクリートの流し込みが長時間となる恐れがあり、作業員の負担の増大が懸念されていた。

トンネル工事を変える新システム

鹿島は岐阜工業とシンテックと共同で新技術を開発し、大津大石トンネルの工事に導入した。開発されたシステムは、「全自動トンネル覆工(ふっこう)コンクリート打設システム」という。これは、トンネル工事の最後の工程となる、仕上げのコンクリートの流し込みを全自動で行うシステムだ。鹿島は、その中でも中流動コンクリートを使用した全自動システムを今回開発した。これまで、中流動コンクリートを使用して施工するためには、型に流し込んだ後に軽微な振動を与えてコンクリートを均一にする必要があり、人の手による作業が欠かせなかった。

この新システムを導入することで作業を自動化することができ、従来と比べて作業時間は平均約15%向上した。また、作業員の技量や熟練度に頼った従来の工法に比べて、品質面でもばらつきが小さかった。鹿島は今後、この新システムを実工事へ広く導入し、将来的には型枠の設置など、すべての作業工程を自動で行う統合システムの構築を目指すという。

新しい技術が使用された、新名神高速道路「大津大石トンネル」の工事終了は、2025年2月を予定している。

 

新名神高速道路「大津大石トンネル工事」
工事場所:滋賀県大津市大石東町~大石龍門町
発注者:西日本高速道路 関西支社
施工者:鹿島建設
工事諸元:トンネル延長上り線695m、下り線917m、設計掘削断面積127.3㎡、内空断面積103.8㎡
工期:2019年5月~2025年2月

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