クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

Cars

最終更新日:2022.12.01 公開日:2022.12.01

ポルシェ 911がスーパー・オフロードマシンに!? 「911 ダカール」が登場。

なんだこれは! ポルシェが発表した新型911は、なんとオフロード仕様で登場。「911 ダカール」とは一体どんなクルマなのか。モータージャーナリストの小川フミオが解説する。

文=小川フミオ

記事の画像ギャラリーを見る

砂漠を走るポルシェ911

ポルシェ 911 ダカール|Porsche 911 Dakar

 自動車ファンが涙を流して喜びそうなモデルを、ポルシェが手がけた。2022年11月に米ロサンジェルスで開催された自動車ショーで発表されたユニークな「911 ダカール」だ。

 砂漠のレース「ダカールラリー」のイメージを活かしたモデルという。353kW(450ps)の最高出力を発生する6気筒ツインターボエンジンに、4WDシステムの組み合わせ。ロードクリアランスも上げ、「全地形対応」と謳われるタイヤを装着している。

 ポルシェとダカールラリーの結びつきといえば、当時はパリ−ダカールラリーと呼ばれていた砂漠の苛酷なラリーにおいて、1984年に総合優勝した953、そして、86年にやはり総合優勝した959がすぐ思い浮かぶ。

 ポルシェもそれを意識しているようだ。「この特別なモデルは、ポルシェ911のコンセプトが持つ無限大の可能性を示すとともに、1984年パリ−ダカールラリーにおけるポルシェ初の総合優勝も想起させます」とプレスリリースに記している。

 今回の911 ダカールも、当時のマシンのロスマンズカラー(スポンサーだったタバコブランドのRothmansのイメージカラーでペイントされていた)を思わせるカラーリングが特徴的だ。

「ラリーデザインパッケージ」という、このオプションを選ぶと、車体にはRothmansならぬ「Roughroads」の文字が入り、また、1から999までのレースナンバーを選ぶこともできる。このあたりは、たのしい遊び心だ。

 なにより、ピュアスポーツカーの911をSUVに仕立てたという点で、類のないコンセプトだ。84年の953は、世界ラリー選手権での活躍を視野にいれ911に手を入れた歴史的なモデルであったことを想起させる。そこもクルマ好きの心をくすぐる。

オンロードもオフロードも速い!

 エンジンは、ツインターボチャージャーによって、最高出力353kW(480ps)、最大トルク570Nmのパワーをもつ3リッター水平対向6気筒。8段ツインクラッチ変速機を介して4輪を駆動する。

 組み合わせる、足まわりは「ダカール」の名のとおり、オフロード走行を意識したもの。ポルシェによると「911 カレラのスポーツサスペンション仕様車を50mm上回る車高」といい、標準装備の車高調節システムもそなえる。これによって、標準モデルに対してさらに30mm、最低地上高を上げられる。「SUVに匹敵」するロードクリアランスが謳われている。

「ニュルブルクリンクのノルドシュライフェと同じようにダイナミックに走行することができます」とポルシェ。リアアクスルステアリング、911 GT3から採用されたエンジンマウント、PDCCアンチロールスタビリティシステムも標準装備で、時速100kmまで3.4秒で加速というから驚く。

 最高速度は「全地形対応タイヤのため」時速240kmにとどまるそうだけれど、オールテレインタイヤ装着でここまでの最高速を可能にすることもまた、もうひとつの驚きだ。タイヤは、専用開発されたピレリ・スコーピオン「All Terrain Plus」。サイズは、フロントが245/45ZR19、リアが295/40ZR20となっている。

 ドライビングモードも、911 ダカール専用。ステアリングホイールの回転式のセレクターで、「ラリーモード」と「オフロードモード」をえらぶこともできる。「ラリーモードは、起伏のある緩い地面に最適なモード」とポルシェではする。後輪の駆動力を重視した4WDとなる。オフロードモードは「難易度の高い地形や砂地でトラクションを最大限に引き出します」という。このモードを選ぶと、車高が自動的に上がる。

 911 ダカールは、「911」の名を持つだけに、オフロードでのスポーツ走行を可能にしているのが大きな特徴だ。上記2つのモードにもローンチコントロールがそなわり、「約20パーセントの車輪の空転を許容し、緩い地面での抜群の加速を可能にします」(ポルシェ)とされる。

2500台の限定モデル

 外観上も、911 ダカールの凝りかたはハンパじゃない。CFRP製固定式軽量リアスポイラーと、911 GT3から採用されたエアアウトレットをもつCFRP製フロントラゲッジコンパートメントリッドを装備。

 同時に、車体前後には赤色で塗装されたアルミニウム製けん引バーを備えたことをはじめ、クリアランスの大きなホイールハウス、フロントとリアそしてサイドシルにはステンレススチール製のプロテクションが設けられている。

 オプションとして、ルーフバスケットも選べる。42kgの耐荷重をもち、燃料や水筒、折りたたみ式シャベル、トラクションボードなどのラリー装備を積載することができるそうだ。

インテリアに目を移すと、フルバケットシートが標準装備。リアシートはない。いっぽう、審美性もきちんと考慮されていて、標準仕様は、シェイドグリーンと呼ばれる色のデコレーティブステッチを施した「Race-Texトリム」となっている。

 軽量ガラスと軽量バッテリーによる軽量化によって、車重は「911 カレラ4 GTS(PDK仕様)よりわずかに10kg重い」(ポルシェ)1605kgに留まっている。

 ステアリングホイールの位置は左右いずれからも選べ、価格は3099万円。「1984年パリ−ダカールラリーの優勝車をイメージしたスタイリングのラリーデザインパッケージ」は433万7000円のオプション。2500台限定で、2022年11月17日から日本国内では受注が開始されている。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(1月5日まで)
応募はこちら!(1月5日まで)