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最終更新日:2022.09.27 公開日:2022.09.27

本格化するバイク電動化の動き。ヤマハ、カワサキに続きホンダもロードマップを発表

2022年9月13日にホンダは、2030年には世界で販売するバイクの約15%にあたる年間350万台を電動バイクで販売する、という目標を発表した。あわせて、2025年までにグローバルで電動バイクを合計10モデル以上投入する。バイクの電動化に関する目標値はヤマハとカワサキが発表済で、今回のホンダの発表により、今後はその動きが加速すると思われる。

くるくら編集部=小林 祐史

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ヤマハ、カワサキに続きホンダも発表。バイクの電動化が本格化!

ホンダがバイクのカーボンニュートラル化を加速 写真 = ホンダ

 ホンダは2022年9月13日に、2030年には世界で販売するバイクの約15%にあたる年間350万台を電動バイクで販売する、あわせて2025年までにグローバルで電動バイクを合計10モデル以上投入することを発表した。四輪事業に続き「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けた同社の二輪(バイク)事業における具体的なロードマップとなる。

 同時に内燃機関の進化にも取り組む。その一例が、すでに南米市場で投入されているガソリンにエタノールなどを混合したフレックスフューエルに対応したモデルを、インド市場にも2023年から投入することだ。今後は、このようなカーボンニュートラルに貢献する燃料に対応した内燃機関モデルの開発・投入にも取り組むとも発表している。

ICE(ガソリンエンジン)と電動の両面でカーボンニュートラルを目指すホンダ 写真 = ホンダ

 バイクのカーボンニュートラルや電動化に関するロードマップという点では、2021年にヤマハとカワサキがすでに発表を行っている。具体的な両者の最終目標には、ヤマハが2050年までに約90%の電動化。カワサキが2035年までに先進国向けの主要車種を、電動もしくはハイブリッド仕様や水素エンジン等に置き換える。これらと今回のホンダの発表により「バイクの電動化」という動きが今後、本格化しそうだ。

ホンダの10モデルの具体的な内訳は?

ホンダが2025年までに予定している電動バイクラインナップ 写真=ホンダ

 今回の発表でホンダは、2025年までにグローバルで10モデル以上の電動バイクを投入する計画と発表している。その10モデルが、どのようなバイクであるかも発表されたので紹介しよう。

 まずはパーソナル(個人)向けのコミューター電動バイクを、アジア・欧州・日本で2モデルを展開する。これは、日本郵便やベトナム、タイの郵便配達で導入されているホンダ ベンリィe:II等で培ったビジネスバイクシリーズの電動化技術をベースにしたモデルとなると思われる。つまり航続距離は短いが交換式バッテリーによって、充電時間なしで連続走行を可能にするモデルとなるだろう。

コミューターEV 写真=ホンダ

 同時に中国・アジア・欧州・日本の4市場向けに2024年から2025年で、最高速度が時速25km以下の電動自転車(EBクラス)と、時速25~50km以下の電動モペット(EMクラス)で、パーソナル向けの5モデルを展開するとしている。こちらに関してホンダは「よりコンパクトで求めやすい電動バイク」と説明している。

中国・アジア・欧州・日本で投入されるEB・EMクラスの5モデル 写真=ホンダ

 さらにホンダが「FUN領域」と呼ぶ、最高速度が時速50km以上のパーソナル向け電動バイク(EVクラス)ではスポーツモデルを展開。それをアジア・欧州・日本市場に2024年から2025年までに3モデル投入し、加えてKIDS向けも1モデルを投入する。この3つのスポーツモデルの基本骨格となるプラットフォームの開発が現在進行中。この基本骨格から派生する3モデルは、発表されたシルエットからロードスポーツ、ツアラー、アドベンチャー等といったようにカテゴリーの異なるものだと思われる。またKIDS向けは、ガソリン車で排気量80cc以下の入門向けのオフロードバイクを電動化したものになるだろう。

EVクラスでは大型スポーツモデルが3モデル展開。さらにKIDS向けの1モデルが加わる 写真=ホンダ

 このようにコミューターEV、コミューターEM/EB、FUN EVの3本柱で、ホンダは2025年までにグローバル市場で電動バイクを計10モデル以上展開する。

電動化に向けたインフラの充実

次世代バッテリーとして期待が寄せられる全個体電池 写真=ホンダ

 しかし電動バイクの展開を実現させるには、バッテリーや充電インフラも重要な問題となる。その対策の1つとしてホンダは、四輪で開発中の全個体電池をバイクへ導入することも目指す、と今回発表している。

 そして充電インフラに関しては、現在アジア各国のパートナー企業とともに交換式バッテリーの規格共通化を推進している。これは充電ではなく「交換」によって、充電する時間を短縮して利便性を高めようという動きだ。

ベンリィe:、ジャイロe:等に搭載されるホンダの交換式バッテリー 写真=ホンダ

 一方日本では、石油元売りのENEOS(エネオス)とカワサキ、スズキ、ヤマハと共同で、バイク向けバッテリーシェアリングサービス事業を展開する株式会社Gachaco(ガチャコ)を設立し、2022年秋から事業を開始する。こちらも充電ではなく交換で航続距離を確保するサービスになる。

 このようなバイクの製品とバッテリーの交換・充電インフラを含む「カーボンニュートラルを目指す」ためのロードマップを発表したホンダは、最後に「電動でも操る喜びと使う喜びをお届けするとともに電動ならではの新価値を持つ商品を提供していく」と述べ、バイクという乗り物の魅力を継続させる宣言をした。

2025年は電動バイク元年になるか?

 ホンダの今回の発表の前に、ヤマハとカワサキがバイクの電動化に関する発表を行っている。まずヤマハは、2021年7月にバイク製品全体における電動化の比率を、2030年までに約2.6%を目指し、2035年までに約20%、2050年までに約90%という目標を発表している。

 それに続いたカワサキが2021年10月に、2035年までに先進国向けの主要車種の動力を、電動やハイブリッド等に置き換えると発表。その始まりとして、2025年までに電動・ハイブリッドの動力を搭載した10のモデルを投入するとした。さらにカワサキは2022年8月に開催された鈴鹿8時間耐久レース内で行われたイベントで、開発中の電動バイクとハイブリッドバイクのデモ走行を披露している。その外観は同社の中型ロードスポーツモデルに近いものだったが、排気音の少ない静かな走行音だった。

 ホンダ、ヤマハ、カワサキが2021年から2022年にかけてカーボンニュートラルや電動化に向けた具体的なロードマップを発表した背景には、四輪だけではなくバイクにもガソリン車の新車販売禁止の動きがあるからだ。身近なものでは東京都が2020年12月に発表した「脱炭素社会の実現」では「乗用車(四輪)は2030年までに、バイクは2035年までに、東京都内で新車販売されるもののガソリン車をゼロにすることを目指す」という発表が行われている。このようなことからも四輪だけでなくバイクにも「カーボンニュートラルを目指す」に待ったなしの状況が差し迫っているのだ。だからこそ、この数年で各バイクメーカーは、具体的な電動化へのロードマップを発表し始めているのだ。


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