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最終更新日:2023.06.14 公開日:2021.06.14

吉田 匠の『スポーツ&クラシックカー研究所』Vol.07「番外編」英王室御用達のSUV「ランドローバー・ディフェンダー」は、なぜ世界中で愛される車になったのか(中編)

モータージャーナリストの吉田 匠が、古今東西のスポーツカーとクラシックカーについて解説する連載コラム。第6回は番外編として、イギリスが世界に誇るSUV専門ブランドの「ランドローバー」をご紹介。同社の代表的モデルのひとつ「ディフェンダー」の歴史と共に、前中後編の3回に分けてお届けする。今回はその中編。

文=吉田 匠 写真=ジャガー・ランドローバー

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前編はこちら

1952年に登場したシリーズⅡ、88インチホイールベースのピックアップ。ボディサイドのプレスラインが入るなど、デザインはシリーズⅠより洗練された。

道なき道から乗り手を守る

ランドローバーは基本的な構造は変えぬまま細部を洗練進化させて、シリーズⅠ,シリーズⅡ、シリーズⅢと発展していき、その間に6気筒エンジンも追加されていた。最盛期のランドローバーにはホイールベース88インチ、109インチ、110インチの基本3つのシャシーが用意され、そのそれぞれに多種多様なボディのバリエーションがあったのも大きな特徴だった。最後の110インチはキャブオーバーのトラック風スタイルだが、ある時期のカタログを見ると、合計38種類ものボディバリエーションが用意されていたのには驚く。

シリーズⅡの時代にはフォワードコントロール、日本式にいうキャブオーバーのトラック風もシリーズに加わった。

シリーズⅡ後期のⅡ-Aからヘッドライトが左右フェンダー先端に移り、さらにグリルがやや装飾的なデザインになったのがシリーズⅢ初期型の特徴。これは88インチモデル。

グリルがブラックアウトされたシリーズⅢ後期型の109エステートワゴン。これはレンジローバーと同じV8エンジン搭載の1977年モデル。

ボディが大型化され、エンジンがV8になっても、川を渡る能力は健在。これはおそらくソリハル工場に隣接したテストコース内の川を走るカット。

世界的なSUVブームの元祖、レンジローバーの誕生

この間の1970年、ランドローバー社は現在世界中のメーカーが続々と登場させている高級SUVの元祖である、初代レンジローバーを世に送り出す。ボックスセクションの梯子型フレームに4輪リジッドのサスペンションという基本構成はランドローバーを踏襲するが、スプリングはリーフからコイルに替わり、車高調整システムも装備されて快適な乗り心地を提供、エンジンはパワフルな3.5リッターのV8を搭載して、四駆システムもセンターデフを備えるパーマネント4WDを採用していた。

アルミ製のボディは2ドアに上下2分割テールゲートを備え、ランドローバー系列よりぐっとモダンなステーションワゴン的デザインで仕上げられた。さらにインテリアもシンプルなデザインながら上質な仕上げを施されて、魅力に溢れたクロスカントリーヴィークルに仕上がっていた。つまり、見てよし、乗ってよしのクルマだったわけで、まずは英王室をはじめとするセレブリティに愛用され、やがて世界中で人気を博することになる。

このレンジローバーのメカニズムはやがて、上級モデルを手始めにランドローバーにも搭載されることになる。V8エンジンとパーマネント4WD、リーフではなくコイルスプリングを用いたリジッドアクスルのサスペンションなどがそれだ。

1990年になると、もともと車名だったランドローバーの名をブランド名に昇格させ、新たにディフェンダーという車名を与えられることになる。ディフェンダー=Derenderにはサッカーでお馴染みのように、防御する人、守備の選手といった意味があるから、車名としては「道なき道から乗り手を守る」といった意味合いになるのだろうか。

後編へ続く

前編はこちら

1970年にランドローバー社から発表された画期的な高級クロスカントリーヴィークル、初代レンジローバー。今日の世界的なSUVブームの元祖となったクルマである。

ランドローバーのブランド誕生65周年たる2013年に、歴代のモデルが参集した。右から4台目のひときわモダンなモデルが初代レンジローバー。

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