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クルマ最終更新日:2017.10.03 公開日:2017.10.03

EV市場に新たな強豪が参戦。あのオシャレ家電のダイソンが根本的に違うEVを開発中らしい。

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ダイソン社の代表作たるサイクロン式掃除機とCEOのジェームズ・ダイソン氏。写真は2002年のもの© picture-alliance / dpa

 掃除機で有名な英ダイソン社が、固体電池を使用したEV(電気自動車)を2020年までに発売すると発表した。

 この見出しだけを見ると、異なる分野の企業がEV事業に乗り出したと響くかもしれない。同じような例として、アップル社やGoogle社などIT企業が自動運転車の開発をはじめたこと、日本の人材派遣企業アスパークが開発中のスーパーカー「Owl」などが挙げられる。

ダイソンは1980年代からサステナビリティを思慮

 しかし、ダイソン社創立者のジェームズ・ダイソン氏がtwitterに発表したEV生産にいたる経緯を読むと、ダイソンは長年、排ガスによる環境問題とクルマの排気システムの開発に取り組んできたことが分かる。

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ダイソン氏がTwitterに声明したEV製造への経緯。90年代の排気システムについてのスケッチも見られる。© Dyson

 Twitterに添付された文書によると、ダイソン氏がEVに着手するようになったのは1988年、アメリカ国立労働安全衛生研究所が発表したディーゼルエンジンの排ガスと実験用マウスの死亡の関連性の研究書に触発されたためである。

 その後ダイソン氏はサイクロンフィルターの研究を始め、自動車の排気システムに装着し、微粒子をキャッチするフィルターを開発した。1993年にプロトタイプが完成したが、誰もこの技術に反応を示さなかったという。

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環境問題に対する思いをダイソンが表明

 「大気汚染という地球規模の問題解決に取り組むことは、常に私の大きな望みでした。しかし数年前、自動車メーカーはスタンスを変えるつもりがないことに気づきました。そこで自社で新しいバッテリー技術を開発することを決意したのです」。
 ダイソン氏が今回発表したEV産業への参入は、いわゆる一夜の決意ではなく、長年抱いてきたクリーンエネルギー車への夢の一歩でありリベンジでもある。

 ダイソン社は既に2015年に固体バッテリーを研究開発していた米Sakti3社を買収しており、今回の開発プロジェクトには20億ポンド(約3020億円)が投資され、すでに技術者をはじめとして400人がEVプロジェクトに関わっている。英Telegraph誌によると、その中にはアストンマーチンやテスラからの幹部クラスの人員もいるという。

ダイソンもテスラと同じ方向に?

 気になるクルマについては、「自動車産業における新技術の競争は激しく、車両の特徴は秘密にしておく必要があります」と伏せられているが、独自技術を結集し「他とは根本的に違うEV」を生み出すとダイソン氏自身が述べている。
 これについて米Business Insider誌は、「EVの開発に乗り出すことで、ダイソン氏はテスラのCEOイーロン・マスクと事実上、同盟した。2人とも多くのEVを販売することを第1のモチベーションとはしていない。むしろ自動車は大気汚染や気候変動といったより大きな問題の要因となる大規模なデザイン上の問題と考えている」といった見方をしており、テスラのような高級EV路線をダイソン社が打ち出す可能性も考えられる。

2017年10月3日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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