深川・留萌自動車道が3月28日に開通!ホタテ・甘エビ産業に追い風。
国土交通省北海道開発局は、深川・留萌自動車道の留萌大和田IC~留萌IC間を3月28日(土)15時に開通すると発表した。これにより同道路は道央道と繋がり、札幌や旭川をはじめとする道内各地へのネットワークが強化され、ホタテや甘エビを中心とした海産物輸送の速達性向上や留萌市から旭川市への救急搬送の時間短縮が見込まれる。
深川・留萌自動車道が全線開通
国土交通省北海道開発局は1月24日(金)、深川・留萌自動車道を3月28日(土)15時に全線開通すると発表した。
今回延伸されるのは、留萌大和田IC~留萌ICまでの4.1kmの区間。これにより、深川・留萌道は深川JCTを起点として留萌ICまでを結ぶ総延長49kmの高規格幹線道路となる。ちなみに北海道で計画されている高規格幹線道路として初の全線開通。1998年4月に深川JCT~深川西ICが開通してから全線開通まで、22年の期間を要しての開通である。
同局によると、深川・留萌道の開通で留萌市から深川市までの所要時間は約20分短縮。旭川市までは約30分の短縮になるという。
なお、留萌大和田ICはハーフICのため、深川方面から来た車のみ一般道に降りられる。そのため、留萌大和田ICから本線へ進入しても留萌IC方面への通行はできない。留萌ICから本線へ進入した場合も留萌大和田ICで降りることはできない。
ホタテ・甘エビなどの海産物輸送に追い風
同局は、深川・留萌道の開通効果として、海産物輸送の速達性の向上、沿線地域から旭川市内に位置する高次医療施設までの救急搬送時間の短縮などを挙げた。それぞれの効果を見てみよう。
ホタテ稚貝の生存率が向上
深川・留萌道の開通は留萌産ホタテ稚貝の輸送に効果がある。留萌産ホタテ稚貝は、全国シェア47%を占めている。新星マリン漁協(北海道留萌市)で水揚げされたホタテ稚貝はこれまで、約400km離れたホタテ生産地の野付漁協(北海道野付郡)まで約8時間50分かけて輸送。朝7時に留萌を出発しても到着までほぼ丸一日かかり、翌朝まで待って放流しなければならなかった。
深川・留萌道が全線開通すると野付漁協までの輸送時間が約3時間も短縮となり、ホタテ稚貝を水揚げ当日に放流できるようになる。これにより、稚貝の生存率が向上し、ホタテの生産量の増加が期待できるのだという。事実、深川・留萌道の延伸と比例するように野付(別海)と根室のホタテ生産量は約20年間で2倍以上となった。
甘エビの輸送時間が短縮
また、深川・留萌道の開通は留萌産甘エビの輸送にも効果がある。留萌産の甘エビは、全道における漁獲量の72%を誇っているが、深川・留萌道の整備前は、水揚げ当日の新千歳空港最終便までに輸送が間に合わず、翌日の東京市場でのセリに出荷できなかった。また、最終便に間に合わない場合は、冷凍加工して道内へ出荷するため1kg当たり300円程度価格を落とさざるを得なかった。
深川・留萌道の整備後は、輸送時間が約1時間の短縮となり、水揚げ当日の新千歳空港最終便に間に合う。すると翌日の東京市場でのセリに間に合うため、商品価値を落とすことなく販売できるのだという。同局によると、これまでも留萌産甘エビは東京市場に出荷されていたが、輸送時間の短縮により出荷の送達性の向上や安定化に繋がるという。深川・留萌道と東京市場は遠く離れているが、開通による影響が東京の食卓にも好影響を与える可能性があるのだ。
また、道外における主要産地の水揚げが少ない時期に、留萌産の甘エビは水揚げが多いため、東京市場においての甘エビの安定供給にも寄与する。
救急搬送の時間短縮
深川・留萌道の開通は、近年増加する留萌市立病院から旭川市内の高次医療施設までの救急搬送にも効果がある。
これまで留萌市立病院から旭川赤十字病院までの搬送時間は104分だったが、深川・留萌道が開通すると35分の短縮となるのだ。
このように、深川・留萌道が全線開通することで海産物輸送の速達性の向上、救急搬送時間の短縮などのさまざまな効果が出る見込み。多方面から期待の集まる深川・留萌道の開通は3月28日(土)15時を予定している。