名神高速道路の一宮JCTでファスナー合流大作戦
NEXCO中日本は、東海北陸道から名神高速道路の上り線に合流する一宮ジャンクションの渋滞緩和の取り組みとして、「ファスナー合流」を促すラバーポール区間を延伸する改良工事を実施すると発表した。
ファスナー合流を促す改良工事
NEXCO中日本 名古屋支社は、東海北陸道(E41)が名神高速道路(E1)の上り線(東京方面)に接続する一宮ジャンクションで、「ファスナー合流」がしやすくなるように、加速車線と本線を隔てるラバーポール区間を延伸することを発表した。運用開始は2019年12月上旬の予定だ。
高速道路では一般的に、渋滞時に加速車線から本線へ合流する際に、加速車線の途中から合流せず、最後まで行ってから、加速車線の先頭で合流することが推奨されている。ファスナー合流とはその際、合流するドライバーと本線を走るドライバーがお互いを確認しあって、1台ずつ交互に合流する方法を意味する。交互に合流するさまが、「ファスナー」が閉まっていくように見えることから命名された。同じ合流の方法を、2019年8月に名古屋高速は公式ツイッターで「ジッパー法」と呼んで、渋滞時の合流方法として普及啓発をしていた。
このファスナー合流は、アメリカのミネソタ州運輸省が行った実験によると、渋滞全体の長さを最大40%短縮し、高速道路のインターチェンジの混雑が緩和したという。
※参考:米・ミネソタ州運輸省「Zipper Merge」 https://www.dot.state.mn.us/zippermerge
加速車線の先頭のみが本線に合流
NEXCO中日本 名古屋支社の調べで、一宮ジャンクションは東海北陸道の加速車線のまちまちの地点から合流していることが、名神高速道路の流れを悪化させている原因であることがわかった。そこで加速車線と本線を区切るラバーポール区間の延伸や路面標示を変更して、ファスナー合流を促す構造への改良工事を決めたという。
この改良工事により、合流できる区間が約350メートルから約210メートルとなる。合流できる区間が先頭車両のみとなることで、ファスナー合流が促されて、合流付近の流れがスムーズになるとNEXCO中日本は見込んでいる。
ルール無用の合流は渋滞を悪化させる
ところで、合流区間の本線側を運転していると、すぐに本線へ合流しようとする車を見かけることがある。渋滞の場合、そのような車が本線に合流できないと加速車線の流れを止めることになる。そうなれば、その先の加速車線がデッドスペースになる。やがて、後ろの車が路側帯側から追い越すという無秩序な状態を引き起こし、ひいては渋滞をさらに悪化させることになる。
ラバーポール区間でも「すぐ」に合流はダメ
一宮ジャンクションのラバーポール区間が終わったからといって、すぐに合流するのは望ましくない。それではルールなく合流しているのと大差はない。
加速車線のドライバーは、ラバーポール区間のあるうちから本線の流れを確認する。ウインカーをつける。ラバーポール区間が終わったら後方の安全を確認する。そして加速車線の先頭で合流する。このような運転が望まれるのだ。ラバーポール区間は「本線の流れを確認する」ための区間であると認識し、ラバーポール区間が終わっても、加速車線の前方から本線に合流するようにしたい。