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最終更新日:2019.09.26 公開日:2019.09.26

19年開通予定の首都高・小松川JCTと渋谷入口

毎年、全国各地で高速道路が新たに開通し、利便性が向上している。そんな建設中の高速道路に注目し、近日中に開通予定の新路線やJCT、ICを紹介する。今回は首都高編ということで、小松川JCTと渋谷入口を取り上げる。

建設中の小松川JCTを中川下流側から撮影。中川を渡っているのが首都高7号小松川線で、その上を急勾配かつ急カーブしているのが首都高C2中央環状線と接続する連絡路。今回掲載した建設中の小松川JCTは、すべて2019年9月25日に撮影した。

 首都高では現在、3か所で工事が進む。今回は、その中から2019年内に開通が予定されている、首都高7号小松川線とC2中央環状線を接続する小松川JCTと、首都高3号渋谷線(下り)の渋谷入口のふたつを取り上げる。どんな特徴があるのか、開通することでどのようなメリットがあるのかを考えてみよう。

千葉方面と埼玉方面の往来がしやすくなる小松川JCT

中川の東岸、中央環状線(外回り)⇒7号小松川線(下り)の連絡路のすぐ脇にて撮影。

 路線図などで見ると7号小松川線と中央環状線は交差しているため、相互に接続しているように見えてしまう。しかし、7号小松川線から中央環状線に入ることはできず、その逆もできない。単に道路が立体で交差しているだけなのだ。今回新設される小松川JCTは、せっかく交差しているのだから両高速を接続し、利便性を上げることを目的に建設されている。

 ただし小松川JCTは全方位で接続するタイプではない。7号小松川線(上り:都心方面行き)⇒中央環状線(内回り:都内北部・埼玉方面行き)、中央環状線(外回り:湾岸方面行き)⇒7号小松川線(下り:千葉方面行き)のみの接続となる。千葉方面と埼玉方面の往来をよりしやすくすることが狙いなのだ。

小松川JCT並びに小松川出入口および中環小松川入口の模式図。首都高速広報資料より。

小松川JCTがもたらすメリット

 7号小松川線を利用する形で千葉方面と埼玉方面を往来しようとすると、従来なら箱崎JCTやC1都心環状線などを通る、混雑必至のルートしかなかった。

 仮に小松川JCTから都心環状線経由で板橋JCT(中央環状線と首都高5号池袋線が交差するJCT)まで向かうとすると、ピーク時の所要時間は約41分。それが小松川JCTから中央環状線で板橋JCTに向かうと、所要時間は約21分と見積もられており、20分も短縮できてしまうのだ(※1)。これが東北道へのアクセスなら、両ルートの差はさらに大きくなる。

※1 開通前・後の所要時間共に、ETC2.0プローブデータ(2018年10月)平日ピーク時(7時台)の平均所要時間より算出された

 また、従来のC3東京外環道(外環)と都心ルートに加えて第3のルートを設けることで、千葉方面と埼玉方面を結ぶ高速道路のネットワークが強化される点も大きい。さらに、7号小松川線と中央環状線を利用して千葉方面と埼玉方面を行き来しようとした場合、一度高速を降りて、葛飾区および江戸川区の一般道を利用しないとならなかった。小松川JCTが開通することで、そうした周辺道路の混雑緩和も期待されている。

建設中の7号小松川線(上り)⇒中央環状線(内回り)の連絡路の下から撮影。小松川出口の付け替えと中環小松川入口の建設のため、7号小松川線の両脇の一般道も拡幅が行われている。

中央環状線に新たな出入口が設置されてより便利に

 また小松川JCTの建設に合わせ、中央環状線用の「中環小松川入口」も新設される。7号小松川線(上り)の小松川入口に隣接する形で新たにランプが建設中だ。これまで江戸川区中央・北部地域から中央環状線(内回り)を利用するには葛飾区南部の平井大橋入口を利用するしかなかった。しかし中環小松川入口を利用できるようになると、アクセスのしやすさが拡大する。

 中環小松川入口に加え、小松川JCTが開通することでそのすぐ東側の7号小松川線(上り)一之江入口も中央環状線(内回り)にアクセスできるようになる。江戸川区内の中央環状線(内回り)へのアクセス圏域(※2)は28.1%拡大し、ほかの入口を含めると64.8%になることとなった。

※2 アクセス圏域:首都高では、高速入口から半径2km以内のアクセスしやすいエリアのことをアクセス圏域と呼んでいる

7号小松川線の小松川出入口(画像右側)のすぐ横に新設中の中環小松川入口(左側)。

中環小松川入口と小松川入口の完成イメージ。入口を間違えないよう、中央環状線大橋JCTのように色分けを行って注意喚起を行う計画だ。首都高速広報資料より。

 出口については7号小松川線と中央環状線の両方から利用できるよう、こちらは付け替え作業が行われている。従来の小松川出口は7号小松川線の上下線の間に設けられていたが(右車線から出る形)、左車線側に移動させることで、両方の高速のクルマが降りられるようになる。

新たに建設中の小松川出口。左に写っているのが既存の小松川出口で、小松川JCTの開通後、ここは廃止となる。

小松川出口の模式図。中央環状線(外回り)を走ってきたクルマも、7号小松川線(下り)を走ってきたクルマもどちらも利用できるようになる。首都高速広報資料より。

小松川JCTの全景と下からでは見えないところも掲載

 魚眼レンズで撮影されたと思われる小松川JCTの全景や中環小松川料金所、連絡路などの画像も掲載。2019年7月の時点で撮影されたもので、この時点で橋桁はすべてつながり、舗装路面を支える床版(しょうばん)も敷設が終わっているようで、竣工がそう遠くないことがわかる。

 小松川JCT、中環小松川入口および小松川出口は2019年内に開通予定だ。

小松川JCTの全景。首都高速広報資料より。

7号小松川線の上方から中央環状線(外回り)⇒7号小松川線(下り)の連絡路を撮影したもの。右下側が千葉方面。首都高速広報資料より。

中環小松川入口の先に新設された中環小松川料金所。首都高速広報資料より。

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続いては首都高3号渋谷線(下り)の渋谷入口を紹介!

3号渋谷線(下り)の入口不足を解消する「渋谷入口」

首都高3号渋谷線(下り)渋谷入口の完成イメージ。首都高速広報資料より。

 首都高3号渋谷線は、意外と下りの入口が少ない。5つの出入口があるが、下りの入口は池尻のみ。渋谷や六本木から東名高速へのアクセスや、中央環状線を経由しての中央道や羽田空港、横浜方面などへのアクセスができなかったのだ。

 そこで渋谷駅東口の渋谷二丁目交差点に建設されることになったのが、3号渋谷線(下り)の渋谷入口である。ここからなら東名高速へのアクセスもしやすく、中央環状線も利用できるようになる。これまでは都心環状線を利用していた目的地で中央環状線を利用することで、所要時間が短縮される可能性も高い。例えば渋谷から羽田空港へ向かう場合、都心環状線経由だと約33分かかるが、中央環状線経由なら約27分で行けるようになる(※2)。混雑しがちな都心環状線を回避できるので、利便性が大きく上がるのだ。

※2 開通前・後の所要時間共に、ETC2.0プローブデータ(2018年10月)平日ピーク時(18時台)の平均所要時間より算出された

首都高3号渋谷線(下り)渋谷入口・工事の様子(2019年7月時点)。首都高速広報資料より。

渋谷駅周辺の一般道の混雑緩和にも期待大

首都高3号渋谷線(下り)渋谷入口が利用できるようになることで期待される、交通混雑解消の可能性を表した模式図。同時に、青山・渋谷・六本木エリアからの渋谷入口を利用するためのルートも紹介されている。首都高速広報資料より。

 そして渋谷駅周辺の一般道の混雑緩和も大いに期待されている。渋谷駅周辺は、東口の渋谷警察前の交差点で青山通り(国道246号)と六本木通り(都道412号)が合流し、さらにそのすぐ西側の渋谷駅東口交差点では明治通り(都道305号)が交差。大動脈が集中するため慢性的な混雑が発生しており、中でも夕方は混雑がひどい。17時台に渋谷駅を出発する路線バスは約140本あるが、それらの定時運行に支障を来してしまっている状況だ。

 渋谷入口が利用できるようになると、池尻入口を目指して玉川通り(国道246号)を西進していたクルマなどが3号渋谷線に転換し、渋谷駅周辺の慢性的な混雑が緩和されると期待されている。渋谷入口もまだ詳細な日程は発表されていないが、2019年内の開通予定だ。

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