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最終更新日:2023.06.19 公開日:2019.02.23

飛行機で預け荷物に付けられる「HEAVYタグ」

飛行機で移動する際、預け入れ荷物に「HEAVYタグ」が付けられたことはありますか? 仕事で重い機材などを運ばなければならないカメラマンのキャリーケースには、このタグが付けられるのは日常茶飯事のようです。ところで、このタグはどんな役割をしているものなのでしょうか。

仕事柄、移動が多いカメラマンという職業。飛行機を利用する機会も多々ありますが、機材が多くなりがちなカメラマンの悩みのタネは、荷物の重量です。カメラをはじめとする基本的な機材は、極力飛行機内に持ち込むようにしていますが、それでも預け入れ荷物はかなり重くなってしまいます。そんな時、よく荷物にくくりつけられるのが”HEAVY”と書かれたタグ。今回はそんな「HEAVYタグ」のお話です。

飛行機に持ち込める荷物について

最初にここで飛行機に持ち込める荷物の量や重さについて説明しておきましょう。飛行機を利用する時、乗客の荷物は機内に持ち込む場合もカウンターで預ける場合も、それぞれにサイズと重量の制限が設けられています。例えば機内に持ち込める荷物は国内線、国際線問わずおおむね7kg~10kgの荷物を1個。荷室に預け入れられるのは、国際線のエコノミークラスの場合で、1つあたり23kg~32kgの荷物を2つ程度。超過分は有料となる航空会社が多いようです。また格安航空会社(LCC)の場合、預け入れられる荷物は全て別料金という場合もありますので注意が必要です。

写真はデルタ航空のタグ。エコノミークラスの受託手荷物(空港で預けて到着地の空港で受け取る荷物)の重量制限は1個あたり50ポンド(23kg)。タグへの記載を見るとわずかにオーバーしています。僕の場合、今でこそ常に携帯用の秤を持ち歩き、荷物の重さを管理しながら利用しています。しかし、昔は航空会社のおおらかさに甘えることもしばしばありました。そんな時代の思い出と言えば、このHEAVYと書かれたタグだったりします。

こちらはシンガポール航空のもので、27kgと記載されたタグ(当時の制限は20kg)。これはかなり昔の話で、現在のシンガポール航空は、最もリーズナブルな席でも1個あたり30kgでもOKです。今なら特に問題はありませんが、規制緩和前には20kgの制限がありました。これで超過料金を支払わずに済んだのは、当時の係員の温情あふれる判断以外に考えられません。

HEAVYタグが付けられるのは何のため?

これはJAL(日本航空)のタグ。国際線エコノミーの場合、1個あたり23kgですが。JALのステイタス会員だと32kgまで許容されます。よって会員の僕の場合セーフなのですが、しっかりタグは付きます。つまりこのタグは、基本料金オーバーのサインではなく、どうやら「この荷物は重いよ!」と伝えるだけのタグのようです。

中には、荷物の重さが未記入のタグもあります。写真はKLMオランダ航空。こちらはエコノミーの場合1個あたり23kgまでですが、荷物の重さが未記入なので「重い荷物である」という以外の情報は記載されていません。単なる記入漏れでしょうか?

しかし、タイ国際航空のHEAVYタグにはそもそも記入欄すらありません。それにしてもこの荷物を持ち上げるイラストはどこの会社も同じですね。

ちなみに、場所によっては航空会社専用のものではなく、加盟しているアライアンス共通のタグを使用する場合もあります。この写真はタイ国際航空利用時につけられたスターアライアンスのタグ。こちらにも記入欄はありませんが、余白に重量が記入されています。

HEAVYタグの謎を航空会社に聞いてみた。

とある航空会社で聞いたところ、この「HEAVYタグ」は前述のように「この荷物は持ち主のシートやステイタスに基づく規定を超えた重量ですよ!」ということを強調するものではなく、カウンターで預かった荷物を飛行機に積んだり下ろしたりする際に「これ重いから持ち上げる際は気をつけてくださいね!」とか「重い荷物なので積み上げる際は軽い荷物の上に置かないでね!」といった伝達事項の意味合いが大きいようです。割れ物が入っている場合などに自己申告するとつけてもらえる取扱注意(FRAGILE)のタグが付いた軽い荷物の上に、HEAVYタグが付いた荷物をドーンと積み上げるのは乗客としても勘弁してほしいですし。(僕の場合どちらのタグもついていることが多いのですが)。

結論としては、HEAVYタグは我々乗客の荷物の安全と、空港のグラウンドハンドリングスタッフをはじめとする荷物を取り扱う全ての人の健康(特に腰)に配慮したサインだったようです。

2019年2月22日(自動車カメラマン・高橋学)

高橋学(たかはしまなぶ):フォトグラファー。1966年北海道生まれ。スタジオに引きこもって創作活動にいそしむべくこの世界に入るが、なぜか今ではニューモデル、クラシックカー、レーシングカーなど自動車の撮影を中心に活動中。日本レース写真家協会(JRPA)会員。

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