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最終更新日:2019.02.21 公開日:2019.02.21

軽キャンパーがいっぱい!後編【ジャパンキャンピングカーショー2019】(8)

2月1日から3日まで開催された「ジャパンキャンピングカーショー2019」(幕張メッセ)。レポート第8弾は、軽キャンパーを紹介する後編。今回はバンテックとフィールドライフから3車種ずつ、計6車種を紹介する。

出展された軽キャンパーのベース車両として最も多かったのが、スズキ「エブリイ」。6割近くを占めていた。

 各車の紹介に入る前に、軽キャンパーのベース車両の、2019年のトレンドについて触れておきたい。軽キャンパーは商用車が選ばれることが多く、これまではスズキの軽バン「エブリイ」を筆頭に、同じくスズキの軽トラック「キャリイ」、ダイハツの軽バン/ワゴン「ハイゼットカーゴ」と軽トラック「ハイゼットトラック」が大半を占めていた。これらは架装しやすいということを主な理由として選ばれている。

 しかし今回は少々変化があったことが感じられた。展示された軽キャンパー40台弱のうち、6割近い20台強が「エブリイ」に集中していたことがまず目立った(日産「NV100クリッパー」、マツダ「スクラムバン」、三菱「タウンボックス」のOEM3車種も含む)。

 そしてレポート記事その2でお伝えしたように、ベース車両としてニューフェイスのホンダ「N-VAN」が台数を増やしつつあり、今回は参考出展も含めて6台が展示された。「ハイゼットトラック」も6台(OEM車のトヨタ「ピクシストラック」を含む)だった。「キャリイ」と「ハイゼットカーゴ」に至っては、これらをベースとした軽キャンパーが作られていないというわけではないのだが、今回に限っては出展車両としては見かけなかった。

ホンダ「N-VAN」。2018年に発売された同車は、軽キャンパーのベース車両として注目度が上がってきており、今回は参考出展を含めて6台が展示された。

ダイハツの軽トラック「ハイゼットトラック」。2018年5月のマイナーチェンジで、ダイハツの最新・安全運転支援システム「スマートアシストIII」を軽トラック用に調整した「スマートアシストIIIt」を搭載。予防安全性能が増したことから、今後、再び軽キャンパーのベース車両として選ばれることが増えてくることも予想される。

 「エブリイ」に集中している理由として考えられるのが、衝突被害軽減(自動)ブレーキなどの安全運転支援システムの有無だ。「エブリイ」は2015年にフルモデルチェンジして現行の6代目となったが、その時点でメーカーオプションながら安全運転支援システムを搭載したのである。それに対し、同じスズキ車だが「キャリイ」は、2018年5月のマイナーチェンジで前後進の誤発進抑制が搭載されたのみで、衝突被害軽減ブレーキはなし。ダイハツの2車種は、安全運転支援システムを一部のグレードに初めて搭載したのが2017年からで、若干遅かった。

 キャンピングカーはその構造上、キャンパーシェルによって重心が高くなり、また横風に弱くなるなど、走行時の安定性がどうしても低くなってしまう。そうした不安を払拭するため、各ビルダーは安全運転システムを搭載した車種をベース車両とすることで、予防安全性能の高さをアピールしている。

 そうした中、長年のノウハウがあって架装のしやすさという面と、安全運転支援システム搭載グレードをいち早く設定したことから、ここ数年は「エブリイ」が新型軽キャンパーのベース車両として選ばれることが増えたのではないかと推測される。今後は、ダイハツの2車種も安全運転支援システムを搭載するようになったことから、再びベース車両として選ばれるケースが増えていくのではないかと思われる。

【ジャパンキャンピングカーショー2019の軽キャンパー系記事はこちら】
(2)軽キャンパー市場に新風! ホンダ「N-VAN」が大人気
(6)軽キャンパーがいっぱい!前編
(7)軽キャンパーがいっぱい!中編

大手ビルダー・バンテックはニューモデル「ルネッタ」など3車種を出展

バンテックの軽キャンパーとしては最新モデルとなる、「エブリイワゴン」のPZターボ・グレードをベースとしたバージョンの新型「ルネッタ」。「エブリイワゴン」は商用車(貨物車)である「エブリイ」の乗用車版だ。

「ルネッタ」の車内をテールゲートから。就寝定員は2名。ただし、バンテックの軽キャンパーは車内上方にオプションのプルダウンベッドを備え付けられるので、大人2名に加えて、子どもであればあと1名は就寝できそうだ。

 国内大手ビルダーの1社であるバンテック(埼玉県)は、優雅さを求めた”大人の”軽キャンパーを謳った「ルネッタ」の最新バージョンを展示した。今回の「ルネッタ」は、「エブリイワゴン(ハイルーフ仕様)」のPZターボ・グレードがベースとなっている。

 「ルネッタ」は標準装備がシンプルで、ユーザーの好みや予算などに合わせて各種インテリアや装備をすべてオプションとして追加できるようにしてある。今回の展示車両は、FFヒーター、プルダウンベッド、ベッド補助マット、車載ポータブルレンジ、TVアーム&TV用チューナーなどが追加されている。展示車両の価格は347万7000円(税別)だ。

「Raps2」。エクステリアにはあまり手を入れていないため、「Raps3」もほぼ同じ外見をしている。

こちらは「Raps3」の車内。車内もほぼ同じ構成で、リアの左右に室内収納庫(キャビネット)が備わっているオーソドックスなスタイル。「2」と「3」の違いは、ベース車両のグレードが異なることと、標準装備にテーブルとオートステップが含まれているかいないかの差だけだ。基本的にシンプル構成の軽キャンパーであり、そこにユーザーがどんなオプションを追加するかを決められるので、自分なりの理想がある中級以上向けといえよう。

 「エブリイ」ベースの「Raps」シリーズは、「2」と「3」が出展された。同シリーズは「ルネッタ」同様に標準装備がシンプルで、車両価格を抑えてある点が特徴だ。「2」のベースとなったグレードはPCリミテッドで、標準装備は室内収納庫と外部電源のみ。展示車両はオプションとしてFFヒーターを追加しており、価格は211万9619円(税別)。乗車定員は4名、就寝定員は2名。

 「3」は「ルネッタ」と同様に乗用車「エブリイワゴン」のPZターボ・グレードをベースとしている。こちらは室内収納庫と外部電源に加え、テーブルとオートステップも標準装備となっている。展示車両はFFヒーターをオプションとして追加しており、価格は237万3600円(税別)。乗車定員は4名、就寝定員は2名だ。

フィールドライフは「ココ」シリーズなど軽キャンパー4車種を出展

「ココ バン」。シンプルな装備とし、乗車人数や目的によってレイアウトを容易に変更できるようになっている。ルーフに大型吸排気ベンチレーターが設けられている。

「ココ バン」の車内。後部左右にあるキャビネットの間を渡すようにしてテーブルを設置できる。

 今回、全キャンピングカー中で最高額となる2000万円近いセミフルコンバージョン「シリウス 6.7 イマジン」(レポート記事第5弾『こんなに高いの!? グランピングカーのお値段がすごかった!』で紹介)を展示したフィールドライフ(群馬県)。同社は軽キャンパーを日本で初めて製造したビルダーであり、20年以上の経験を有する。今回は4車種の軽キャンパーを出展した。

 そのうちの3車種はスズキ「エブリイ」ベースで、「バロッコ」のみがダイハツ「ハイゼットトラック」ベースだった(「バロッコ」は別記事『【ジャパンキャンピングカーショー18】大人気の軽キャンパー、その中身に迫ってみた!【後編】』で紹介)。

 「エブリイ」ベースの2車種は「ココ」シリーズの「ココ バン」と「ココ ワゴン」。「ココ バン」は大型テーブル、フラットベッドマット、収納庫、マガジンラック、LED照明、80Ahのサブバッテリーなどを標準装備とする。インテリアや装備などは、キャンピングカーとしての利用だけでなく、普段使いでも利用しやすいよう配慮して設計されている。レイアウトを目的に合わせて容易に変更できる点も特徴で、ひとり旅用、ふたり旅用、4人乗車用にセットできる。展示車両は電子レンジ、大型吸排気ベンチレーター、FFヒーター、10.2インチTVセットなどのオプションを追加し、価格は242万5800円(税別)。乗車定員4名、就寝定員2名。

「ココ ワゴン」。ポップアップルーフ内に子どもなら2名が就寝可能。FFヒーター、外部電源、フレキシブルソーラーパネル、網戸などのオプションが用意されている。

「ココ ワゴン」の車内。フラットベッドマットはオプション設定。ベッドサイズは全長1800mm×全幅1200mm。薄型ながら寝心地を重視した3層構造となっている。ベッドはセカンドシートを倒したのちに展開する。

 「ココ ワゴン」は、”街乗りメインの軽キャンパー”というコンセプトで開発された。「エブリイ ワゴン」(PZターボ)ベースでは、初となるポップアップルーフを装備したことが特徴だ。ポップアップルーフ内のテントの布地は100%UVカットかつ耐水圧1000mmの防水性。全長は1800mmあり、子どもなら余裕でふたり寝られる。そのため、就寝定員は大人2名+子ども2名となっている。

 展示車両は全長1800×全幅900mmのフロア用フラットベッドマットと、カーテンセットにサブバッテリーシステムをプラスしたパッケージオプション「ココパックNo.5」が追加されており、価格は297万2000円(税別)。ちなみにパッケージオプション「ココパック」シリーズは複数あり、ユーザーの目的に合わせて選べる。

「コング」を後方から。バックドアの内側ににはテントが、外側にはサイクルキャリアが取り付けられていた。どちらもオプションだ。

10Lの給排水タンクとシンク、カセット式コンロ、テーブル、収納庫、走行充電が可能な80Ahのサブバッテリー、リアヒーター、LED照明などが標準装備となっている。

 アクティブなアウトドア派向けとして開発されたのが、8ナンバー軽キャンパーの「コング」だ。ポップアップルーフや、単なるシンクではなくて調理スペースもあるキッチン(ダイニング)スペース、走行充電が可能な80Ahのサブバッテリーなど、装備を充実させた内容となっている。こちらも就寝定員は大人2名+子ども2名。

 オプションとしては、外部でシャワーとして使える引き出し式の蛇口、ルーフに設置できるフレキシブルソーラーパネル、350Wインバーター、自転車を2台まで搭載できるサイクルキャリア、スライドドアやバックドアなど全面にセットできる網戸などが用意されている。展示車両はサイクルキャリアやオリジナルカーテンセット、バックドアテントなどを追加しており、284万4200円(税別)だ。

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