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クルマ最終更新日:2018.12.03 公開日:2018.12.03

トヨタのミニバンが安くなる? トヨタ車体へ事業移管の狙いとは

トヨタの販売台数を牽引するミニバン。ノアやアルファードなど、ラインナップ中多くのミニバン作りをトヨタ車体に移管するという。目的は「早く、安く」だ。ユーザーにとっては歓迎すべき動きだが、その中身はどういったものなのか―

 トヨタは11月28日、「バン事業」をこの11月からトヨタ車体へ移管すると発表した。移管するのは生産だけではなく、企画や開発も含まれる。これまでもトヨタ車体ではこれら業務に取り組んできたが、あくまでトヨタから「委託」された業務だった。これを移管することで、トヨタ車体が主体となってバン事業の意思決定の迅速化や開発工数・費用の低減を加速、競争力を強化していこうとの狙いだ。要は「任せることで、ヒット商品を早く、安く作る」とも捉えられそうだが実は少し違う。

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 ここでいう「バン事業」の対象車種は、大型ミニバンにも関わらず国内販売台数上位にランクインするアルファード(写真上)/ヴェルファイアや、こちらも販売上位の売れ筋中型ミニバンファミリーの、ノア(写真下)/ヴォクシー/エスクァイアが含まれる。

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 そもそもトヨタ車体は、1945年にトヨタ自動車工業(現:トヨタ)の刈谷工場が独立し、トラックボディ専門メーカーとして発足した。つまりはトヨタにとっては身内中の身内という関係だ。それ以降、ハイエースやランドクルーザー(写真下)、コースターなどの開発や生産を手掛け、完成車両メーカーとして活動してきた。2000年以降は、こうしたフレーム系四輪駆動車やマイクロバスだけでなく、前述のミニバンの開発や生産も担い、17年にはおよそ70万台もの車両を世に送り出している。「大きくて強そうな車はみんなトヨタ車体?」と思ってしまうような陣容だが、ともかくトヨタの中核を担う車を作っているわけだ。

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 今回の移管の動きだが、この端緒となった出来事がある。16年4月に、トヨタでは「カンパニー制」が施行された。カンパニー制とは、組織を製品群ごとに小括り化し、それぞれのカンパニー(グループ)で企画や開発、生産を一気通貫で担当するというものだ。この流れの中で誕生したのが「CV Company」である。CVは商用車の意だが、このカンパニーにトヨタ車体が参画していた。この1月には、ミニバン系車両についても新たにトヨタ車体が行う枠組みとなっていた。こうした流れがあったので、今回の移管についてもスムーズに行われることだろう。

 トヨタ車体では「これまでの蓄積により原価低減を進める。スピード感をもって車をお届けする」としている。トヨタでも「両車の得意分野でそれぞれの強みを発揮し、「もっといいクルマづくり」を強化する」と意気込みを覗かせる。果たしてトヨタの車が、この効果によって本当に安くなるのか、注目したいところだ。

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