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最終更新日:2018.11.14 公開日:2018.11.14

国交省と経産省が、「自動バレーパーキング」の実証開始。自動運転化に向けた取り組みの中身とは?

 国交省と経産省は11月13日、東京・台場にある民間駐車場で「自動バレーパーキング機能」の実証実験を開始したと発表した。合わせて同日、実証実験の模様を報道に公開した。この取り組みは、トヨタや三菱、アイシンなどが参画し、日本自動車研究所が主導して実施する。

 バレーパーキングとは、ホテルやレストランなどで、駐車を係員が代わりにやってくれるサービスのこと。日本ではあまり馴染みがないが、欧米ではよく見かけるサービスだ。今回の実証実験は、このバレーパーキングを、車に装備されている「運転支援機能」を利用して自動で行ってしまおうという試みだ。

 今回の試みで想定されているのは、まず訪れたユーザーが、自動バレーパーキング駐車場の降車場で車から降りる。降りたところでスマホから管制センターへ(写真上)、管制センターから車に入庫を通信で指示。合わせて、駐車枠やそこまでの経路などを配信し、車は無人のまま走行を開始する(実証中は安全のためドライバーが乗車)。そのまま自動で指定場所に駐車して完了となる。出庫の場合も同様に、ユーザーがスマホから出庫を指示すると、指定の時間に乗車場へ自動運転で車が来る、というもの。管制センターは出庫の優先順位を決めたり、他のエリアから来る車の合流などを管制制御するという役割もある。駐車場の路面には、車が自律的に動くためのマークが敷設されている。どこにどうやって行くのか考える役割を駐車場側に持たせることで(写真下)、車側の機能としては「軽く」て済むというメリットがある。

 今回の取り組みが実現すれば、従来からのすべて人が行う駐車場に比べて、駐車場渋滞がおよそ20%解消されると見込んでいる。ユーザーにとってもメリットは多く、基本的に降車場で降りるため「駐車場に入るのに1時間待った」とか「駐車枠が見つからなくて飛行機に乗り遅れた」ということはなくなるだろう。

 ドイツでは、メルセデスベンツやBMW、アウディなどプレミアムブランドがサプライヤーとともに同様の実験を行っている。北米では公道を自動運転で走行することを認める州も出てきた。日本でもいろいろな形で実証実験が始まっているが、事故が起きた際の補償やドライバーの責任の問題など結論が出ていない課題は数多く、実験といえども国内の公道で自動運転技術の向上に取り組むことは容易にはできない。

 今回の実証実験では、「運転支援機能」搭載車の自動駐車機能を利用し、それをフルクローズド環境下で管制制御することで、「自動運転」を実現させた。「一般的な普通車など、比較的皆さんの手に届きやすい車両を使って実験しています」と実証実験の説明員は語る。アウディなどのハイエンドな「自動運転機能」を搭載したプレミアムカーでなくても、普及車でも管制制御によって機能をカバーすれば自動運転が実現可能であるとする。

 もちろん、課題は多く、実証中は何度かエラーが出てうまく自動駐車ができない場面があった。また、果たして駐車場の運営者がこの仕組みを取り入れるのか、ビジネスモデルとして成立するかどうかも不透明だ。だが、世界中で自動運転化に向けた競争が加速する中、ただ手をこまねいているわけにはいかない。技術立国日本としての面目躍如なるか――今後、自動運転化に向けた同様の取り組みが、加速度的に増えていくのは間違いない。

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