消滅可能性都市が赤パンツの販売拠点になった理由
宮城県の最も南に位置する丸森町と「赤パンツ専門店」をオンラインで運営するザミラ株式会社が、11月20日に新商品を発表する合同記者会見を行うという。消滅可能性都市としてユニークな町おこしを行っている丸森町と、赤パンツこの異色コラボはなぜ誕生したのだろうか。
消滅可能性都市と赤パンツの異色コラボとは如何に?
斬新な要素の詰まった「赤パンツ」とは
今回発表される赤パンツは「memento」と名づけられた新製品。製品のポイントは以下の5点。アンダーウエア業界でも斬新な要素が詰まった赤パンツだという。
1.前後がない仕様
「memento」はどちらも前の仕様となっており、着用時に迷うことがないという。繊維製品組成表示もサイドに付いており、おさえの部分は前後統一して付けているので、前後ろがなく、どちらで着用しても前向き。着用時に前後を判断する時間や労力を少しでも削り、重要な事に集中することができるという。
2. 独自のフリーサイズで多くの方にフィット
「memento」はフリーサイズ。ウエスト約71cm~約121cm、ヒップ約88cm~約138cm(※サイズにすると約28インチ(S)~約48インチ(4XL))までのサイズに幅広く対応。立体編み機を使用して糸を編んでいる構造のため、大柄な人でもきつくならず、細身の人でもブカブカにならないという。サイズを気にせず購入できるため、プレゼントにも最適だ。
この脅威の伸縮性によって、Sサイズから4XLサイズまで対応するという。
3.穿くだけでやる気がアップしそうな美しい赤!
昔から染料を多く使用する濃い色のほうが、薄い色に比べ高貴な色と言われている。また、還暦のお祝いに着る事で魔除けの力があると信じられている赤いちゃんちゃんこなどを筆頭に、赤色には古来よりさまざまな伝説があり、気持ちを高ぶらせる色とも言われている。それらを踏まえ、当製品は単色でも上品で気品の高い赤に仕上げられている。
4.ラテン語から引用したネーミングにはユニークな仕掛けも
ラテン語で”memento mori”という言葉がある。直訳すると「死を想う」という訳だが、客観的な事実として「誰にでも死が訪れることを忘れてはならない」という意味を持つ。製品の内股部分には「memento mori」(死を想う)という内容と「memento vivere」(生を想う)という意味のメッセージをプリント。独自のアンビグラムという手法を使用し「memento mori」を180度回転させることで「memento vivere」という文字になり、上下どちらでも読める仕様になっている。この仕掛けには「死を意識することで、パフォーマンスを向上させてほしい」という製作者の想いが込められている。前後を気にせず穿くことができるため、日によっては「memento mori」になり、日によっては「memento vivere」と読むことができるという。
なんと、ロゴが入っている位置はココ! なお、この文字はアンビグラムという手法により「memento mori」もしくは180度回転させることで「memento vivere」と読めるようになっている。
5. ウエストゴムのない独自のフィット感
「memento」はイタリアの立体編み機で製造することにより、ウエストゴムを使用せず伸びてもしっかりと戻る糸を使い、ほぼシームレス(縫い目なし)な構造を実現。肌ストレスの少ない仕様になっている。また、ウエストゴムが無いことで血管を締め付けず、ふわふわで柔らかな感触を持ったで優しい素材になっている。
毎日身につけるものであり、大切な部分を守る存在であるパンツ。自分のためだけの衣服なので気を抜きがちだが、パンツこそ自分のためにこだわることができるアイテムでもある。上記の5つのポイントを見ても「パンツにはこだわって欲しい」という製作者の思いがひしひしと伝わってくる。
消滅可能性都市と赤パンツの共通点とは?
代表取締役の高野真一氏(右)と豊田拓弥氏。2人は2018年4月に京都市から宮城県丸森町に移住し、5月に会社を立ち上げた。
今回紹介している赤パンツを生み出した企業が、なぜ宮城県・丸森町に拠点を置いたのか。消滅可能性都市(日本創成会議・人口減少問題検討分科会の推計による)とされている丸森町。消滅可能性都市とは、少子化や人口移動に歯止めがかからず、将来消滅する可能性がある自治体を指す。中でも人口が1万人を割る市区町村は「消滅可能性が高い自治体」と位置づけられている。丸森町は2018年現在、人口1万人を超えているものの、移住・定住サポートを積極的に推進。気候やライフスタイルなど、北欧との共通点を見出して提唱するユニークな町おこしを「まるまるまるもり」プロジェクトを実施している。
これは、丸森町が一般社団法人MAKOTO、株式会社ラナエクストラクティブらの企業と連携して行っているもの。「町の資源、環境に対してビジネスアイデアを持つ起業家」を町外から募集。起業家が町に暮らしながら新しい仕事を生み出し、より丸森町らしいライフスタイルを創り出すプロジェクトとなっている。
消滅の可能性のある、いわば末路を意識した町を再び発展させたいという想いは、前述の”memento mori”の思想にも共通するところがありそうだ。11月20日の合同記者会見では、そのあたりも明確になることだろう。会見が楽しみだ。