地図アプリ「大江戸今昔めぐり」両国編
両国駅前の猫カフェ「江戸ねこ茶屋」の中。猫たちが気ままに動き回れるように、キャットウォークや猫階段が設置。この写真の白黒の猫ちゃんは、キャットウォークを駆け上がったり、フロアを闊歩したり、終始活発に動き回っていた。
期間限定(2018年8月31日まで)で、JR両国駅西口に出現した江戸版の猫カフェ「江戸ねこ茶屋」。今いる場所が江戸時代末期の古地図とリンクする地図アプリ「大江戸今昔めぐり」を使って、この猫カフェがある東京の下町・両国界隈をタイムスリップ散歩してきました。
JR両国駅西口から下町江戸散歩の出発。
東京の町中を歩いているときに、ひょっこり出くわす史跡案内板。
案内板の文言を読み進むうちに、「ここって昔は何々だったのか」とか「誰々が住んでいたんだな」とかその場所にまつわる歴史に思いを馳せ、いつのまにかちょっとしたタイムスリップ気分に浸ってしまう。
特に歴史マニアというわけではないのですが、あの史跡案内板からそんな妄想モードに入り込んでしまうことがよくあるんですよ。
今歩いているこのあたりが江戸時代は何だったのかが史跡案内板に出くわさなくても分かったら、散歩の楽しさがぐーんと広がると思いませんか?
それがスマホのアプリで簡単・便利に分かるんです!
そう、それが地図アプリ「大江戸今昔めぐり」、東京のお散歩タイムの必需品です。しかも無料なんですよ、みなさん利用していますか?
今回は、楽しく知的好奇心をくすぐるこの地図アプリを使って、東京の下町(両国近辺を中心に)をスマホ片手にぶらり検索散歩してみました。
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地図アプリでクーポンもゲットできる?
レトロな建物が印象的な「-両国-江戸NOREN」。地図アプリでクーポンがゲットできるって!?
両国駅の改札を出ると駅に連なるレトロ調の建物が目に入る。建物の中をのぞくと中央にドドンと土俵が鎮座している。
何ここ? 国技館はおとなりだよね。
ここは「-両国-江戸NOREN」という複合飲食施設なのです。建物は1929年に建造された両国旧駅舎を改装したもの。醸し出されたレトロ感はそのせいでした。
施設内は「江戸前ずし」「天ぷら」「そば」など、江戸で発達した料理やその流れをくむ東京の料理を提供する11の飲食店や観光案内所が入っていて、賑わっておりました。
JR両国駅と棟続きになっている「-両国-江戸NOREN」。かつては房総方面への始発駅として使われていた由緒ある建物。
中央下にあるのが土俵(レプリカ)。天井の鉄骨がレトロ感を演出。館内は江戸の町屋を意識した吹抜け空間が広がる。館内では江戸の伝統や文化が楽しめるイベントや催事も行われる。
ここで地図アプリ「大江戸今昔めぐり」の出番!
「-両国-江戸NOREN」があるこのあたりが江戸末期には何だったかをスマホで調べてみると・・・。
北海道にあった蝦夷福山藩松前伊豆守崇広(たかひろ)という人の屋敷だったことが分かりました。瞬時に分かって便利です、この地図アプリ。
ちなみにその松前崇広ってどんな人かというとですね・・・。
17代の蝦夷福山藩の藩主。幕府から、文久3年(1863)には寺社奉行に、元治元年(1864)には老中格として海陸軍総奉行に任命された殿様。
そもそもこのような要職は譜代大名から登用されるのが通例で、小藩であり、さらに外様大名である松前氏が任命されたことは異例のことだったらしいんです。外国語や西洋事情などに精通していて、大名の中でも西洋通、開港論者として知られていた幕末のできる重要人物だったんです。
さらに地図アプリをよく見てみると、あれれ、地図上に何やら赤いアイコンが表示されている。画面のアイコンをタップすると、この「-両国-江戸NOREN」の各店舗で使えるクーポンが表示された。「会計金額が10%OFF」になったり、「ドリンクが1杯サービス」になったり、お得なクーポンが各種ありました(有効期限は2018年9月30日まで)。
地図アプリ「大江戸今昔めぐり」をスマホで開くと・・・。地図中央のクーポンの赤いアイコンをタップすると画面下に「おトククーポン」へ誘導する画面が出てきた。
都内すべての酒蔵の地酒(日本酒30種)が、自販機感覚で楽しめる「自動利き酒マシン」が気になった。自分でおちょこをセットして、飲みたい銘柄のボタンを押せば、純米酒や純米大吟醸などが200~400円(どれも50ml)で提供される。マシン前の立ち飲みスペースで、都内で製造された名物おつまみとともに楽しめる。チェイサーの水も燗付けマシンも準備され、日本酒ファンには至れり尽くせりの場になっている。
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江戸時代調の猫カフェって何だ?
江戸時代調の猫カフェ「江戸ねこ茶屋」で、猫たちと心やすらぐひと時を。
さて「-両国-江戸NOREN」の建物を出ると、すぐ目の前に今度は平屋の建物が出現。
地図アプリを見てみると地図上には青い招き猫のアイコンが表示されている。 タップしてみると「江戸ねこ茶屋」と出てきた。
アプリの説明によれば、どうやら期間限定の猫カフェとのこと。とりあえず入ってみることに。猫カフェデビューの私は胸をときめかせながら入口へ。猫が病気にならないように靴底や手をアルコール消毒してから、格子戸作りの入口から入場です。
「江戸ねこ茶屋」のある場所も、地図アプリで見ると蝦夷福山藩松前伊豆守崇広の屋敷だった。 手前の白い建物が「江戸ねこ茶屋」、奥の緑色の屋根は「国技館」。
さて施設の中は・・・?
江戸の街並みが浮世絵の意匠によって再現されていました。細長い敷地の内部は、長屋や銭湯、遊郭などのゾーンに区切られているけれど、猫たちはそんなことにはお構いなく、あちこちを自由に歩き回ったり、寝入ったりしているのです。
そんな猫たちのご機嫌をうかがいながら、ゲストは、写真や動画を撮ったり(ただしフラッシュ撮影は禁止)、体をなでたり、一緒にお茶をしたりなど、しばし癒しの時間を過ごすのでした。遊んでいるうちに、ゲストの表情がみるみるトロンと柔和に変化していくのが印象的。猫の癒しのオーラ、半端ねぇ~!
ちなみにこの猫カフェで暮らしている猫の多くが、保護猫なんだそうです。
この施設では、各種猫グッズも販売。猫マニアならずとも、下町散歩の休憩時には立ち寄って一息入れたくなるのんびりスポットでした。
この「江戸ねこ茶屋」の【開催期間】は、2018年8月31日まで。
【営業時間】は、 11:00 ~ 20:00(最終入場は19:00まで)。
【料金(時間制60分)】は、一般1500円(前売1000円)、中学生・高校生1200円(前売800円)。
【延長料金】は20分毎、 一般・中学生・高校生とも500円。※小学生以下は入場不可。
猫カフェの内部は、江戸時代の街並みの雰囲気。猫たちは、その各ゾーンで勝手気ままな時間を過ごす。
板についた熟睡っぷりが愛らしい白猫ちゃん。よく見ると「しまい忘れた舌」がのぞいている。
人になでられても堂々としている三毛猫ちゃん。首だけ起こして、ずーっと周りの様子をうかがっていた。
猫カフェの猫たちは、甘えん坊の性格が多いのか、人と遊ぶことをあまり嫌がらないように見えた。カフェ内で販売される、「ねこアイス」(300円)や「ねこ茶漬け」(500円)を付け届けに使えば、より親密な間柄になれるかも。
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あの「江戸東京博物館」は●●の跡地だった!
「江戸博」や「すみだ北斎美術館」のあるあたりは、こんな場所だったのか!
江戸の町には、いったいどのくらいの数の猫が住んでいたんだろう?
そんなとりとめのないことを考えながら、江戸ねこ茶屋を出て東側に。「江戸東京博物館」あたりに歩を進めてみました。
ここでまた地図アプリを起動すると、今、江戸東京博物館のある近辺って、古地図上だと同程度の大きさの巨大な堀みたいなものがあったことが分かる。
しかも古地図には「御米蔵」って書いてある。
何だろうと思って、ちょっとネットで調べてみると、この本所の御米蔵っていうのは、俗に「御竹蔵」とも呼ばれ、蔵の建物の間に隅田川から導かれた舟入の堀が設けられていたことが分かった。
江戸時代はもっぱら舟運が大量物流の主力だったから、各地からの米をここに集めて保管したり、ここから武士たちに給与として配られたりしていたんだな。
さらに東側に向けて散歩を進めると、銀色のアルミパネル外壁が印象的な「すみだ北斎美術館」のある緑町公園にたどり着いた。
また地図アプリを使って、ここが何だったのかを調べると・・・。
青森県は陸奥弘前藩の津軽越中守順承(ゆきつぐ)のお屋敷だったことが判明。 そうか、今は弘前城の桜で有名になったあの弘前藩の江戸屋敷だったんですね、このあたり。
巨大な「江戸東京博物館」の建物。そうか、江戸時代はここに米が集められていたのか。
「すみだ北斎美術館」と「緑町公園」。江戸の怪談・本所七不思議に「津軽の太鼓」って話があるのだけれど、その津軽と関係があるとのこと。
この地図アプリ「大江戸今昔めぐり」では、東京都内23区のほぼ全域が網羅されている。 使ってみた印象は、大げさに言うと、埋まっている江戸期の歴史を、地図アプリを使って掘り起こす感じがして楽しいものでした。東京の散歩のときにはぜひ利用してくださいね!
蔵前橋通りに架かる報恩寺橋から東京・下町のランドマーク「東京スカイツリー」を眺める。
外部リンク
2018年7月23日(JAFメディアワークス IT Media部 上條 謙二)