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クルマ最終更新日:2018.05.22 公開日:2018.05.22

バッドガールズと派手なカーチェイスが見もの。タランティーノのB級映画へのオマージュ「デス・プルーフ」

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殺人鬼「スタントマン・マイク」が操るシボレー・シェビーII・ノバ。(C)2007 The Weinstein Company, LLC. All rights reserved.

 『デス・プルーフ in グラインドハウス(以下『デス・プルーフ』)』は、2007年にクエンティン・タランティーノ監督が『キル・ビル』2作で、世界的ヒットを記録した後に制作した作品である。映画オタクであるタランティーノの「グラインドハウス」へのオマージュたる作品に仕上がっている。

B級映画の巣窟だったグラインドハウス

 グラインドハウスとは、1960~80年代にアメリカの大都市周辺に数多く存在した映画館のこと。主に、ホラー、性を売りにするもの、カー・アクション、マカロニ・ウエスタン、香港カンフーなどのB級映画を2~3本立てで上映していた。

 グラインドハウスで上映されていた低予算映画は、フィルムが多くても20本程度しかプリントされなかった。それが米国内のグラインドハウスで使い回されたため、フィルムに傷、飛び、ブレが生じるのが珍しくなかったという。『デス・プルーフ』の中には、そういったフィルムの荒さやブレなどがわざと入れてあり、監督自身も夢中になって見たという、当時のアメリカのカルチャーを再現したいという想いが伝わってくる。

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「デス・プルーフ」発売中。 Blu-ray 1,886円(税別)/ DVD 1,429円(税別)。 発売元:ブロードメディア・スタジオ 販売元:NBCユニバーサル  (C)2007 The Weinstein Company, LLC. All rights reserved.

 「バッドガールズと派手なカーチェイス、みんなが大好きな映画だよ」とタランティーノがコメントしているように、物語はいたってシンプル。”耐死仕様”(デス・プルーフ)を施したクルマを凶器にする殺人鬼「スタントマン・マイク」(カート・ラッセル)が、美女たちを血祭りに上げていくというもの。白熱するクルマ同士のデッドヒートが最大の見せ場といえよう。

 まず、熟年を過ぎたカート・ラッセルが冷酷な殺人鬼役を見事に演じきっている。スタントマン・マイクが映画の前半で凶器として使うのが、車体にドクロが刻まれたシボレー・ノヴァである(冒頭の写真)。カート・ラッセルと不気味にチューニングされたシボレー・ノヴァ。このコンビの登場だけで観客は闇の領域、グラインドハウスに足を踏み入れたスリリングさを感じ取るに違いない。

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CGなしの怒涛のカーチェイス

観客をカーチェイスへと引きずり込む臨場感

 「70~80年代のカーチェイスの要素を盛り込んだ、最高のアクション映画に挑戦したかったんだ」と言うタランティーノは、過去のカーチェースをよく研究している。
 スティーブ・マックイーン主演の『ブリット』とサンフランシスコ、『フレンチコネクション』とNYなど、70年代のアメリカのカーチェイスは町の風景にからめた”引き”のシーンが多かった。それを根本的に変えたのは、『マッドマックス』に代表される80年代のオーストラリア映画である。砂漠などを舞台としたそれらオーストラリア映画では背景は重要でなく、チェイスそのものを見せものとした臨場感あふれる”寄り”の映像が特徴となっている。

 『デス・プルーフ』の舞台設定もアメリカのどこにでもある匿名の田舎町である。タランティーノは、出演者と同じ目線のカメラワーク、CGを使わずスタントを使って行った本物の衝突シーン、そして作りこんだ編集を通して、観客がまるでカーチェイスに参加しているような一体感を生み出すことに成功している。

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カート・ラッセル扮するスタントマン・マイクは、”耐死仕様”(デス・プルーフ)に改造したクルマの助手席に美女を誘い込む。(C)2007 The Weinstein Company, LLC. All rights reserved.

チャージャー vs チャレンジャー~ダッジ同士の怒涛バトル~

 後半にスタントマン・マイクが操るのは、1969年製の黒いダッジ・チャージャーだ。「マッスルカー」と呼ばれたハイパワーを備えた車両で、街を徘徊し獲物を物色する。標的となる美女たちの足となるのは1970年の白いダッジ・チャレンジャー。これはロードムービーの傑作映画『バニシング・ポイント』に登場する代物で、やはりこの映画に対するパロディ・オマージュとなっている。

 映画のラストを飾る、ダッジ・チャージャーとダッジ・チャレンジャーによる長いカーチェイスは壮絶である。『キル・ビル』でユマ・サーマンのスタントを務めたゾーイ・ベルが、ヒロイン役で演技をしながらスタントシーンを見事にこなしている。彼女をボンネットに乗せながらのカーチェイスは、追いつ追われつハラハラしどおしのまま炸裂を繰り返し、圧巻のラストへとなだれ込む。

 悪趣味でナンセンスでハチャメチャで、ユーモアと映像センスがとびっきり! タランティーノのカーチェイスの世界へようこそ。

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DVDプレゼントのお知らせ

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デス・プルーフ in グラインドハウス

「デス・プルーフ in グラインドハウス」DVDプレゼント応募は終了しました。
賞品は抽選の上、2018年6月4日に発送しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

2018年5月22日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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