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最終更新日:2018.04.12 公開日:2018.04.12

【名古屋】2018/2/18~7/1 名画と共に収集家の物語も紹介!「ボストン美術館の至宝展」

左:フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年 Gift of Robert Treat Paine 2nd, 35.1982 右:フィンセント・ファン・ゴッホ《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年 Bequest of John T. Spaulding, 48.548

 ボストン美術館の主要なコレクションから、7分野にわたる珠玉の80点を楽しめる「ボストン美術館の至宝展」が、名古屋ボストン美術館にて7月1日まで開催中だ。
 名品の数々を楽しめるだけでなく、コレクションの形成に貢献した収集家の物語も紹介することで、収集家がどのように魅了され、膨大なコレクションを作り上げたのか、ボストン美術館の歴史をひも解く内容にもなっている。

名品の裏に潜むコレクターという存在

 ひとつの名品が誕生するには、映画が作れるほどの作家の思いと物語が潜んでいる。またその名品が美術館のコレクションとして永住の地を得るようになった経緯もしかりである。約50万点の作品を所蔵するボストン美術館は、世界屈指の規模と知名度を誇る百科事典のような美術館である。このようなコレクションが成立するには、それぞれの分野においてどういったコレクターがいて、どのような経緯があったのか。これは美術ファンならずとも知りたいことではないだろうか。

 本展覧会では、古代エジプト美術中国美術日本美術フランス絵画アメリカ絵画版画・写真現代美術のボストン美術館が誇る7分野の作品の紹介とともに、収集に寄与した影の立役者、コレクターにも焦点が当てられているのが見どころのひとつとなっている。

ボストン美術館の名を馳せた日本美術

喜多川歌麿《三味線を弾く美人図》文化元-3年(1804-06)頃 Fenollosa – Weld Collection, 11.4642

 例えば、ボストン美術館といえば日本美術コレクションが有名である。なんとその数はおおよそ10万点に上り、日本国外では最大のものとして知られる。

 その大半は、19世紀末に日本を訪れたボストンの人々によって収集された。彼らは日本各地を旅しながら収集を進めたという。後にボストン美術館・日本美術部の初代部長に就任したアーネスト・フランシスコ・フェノロサは、各地を回り1000点以上もの絵画コレクションを築いた。交通の便、治安、宿など旅の事情が今とまったく異なった当時、それも異国の人が日本を旅するのはどれほど困難が伴ったであろうか。また既に当時から日本美術に目が開かれていた彼らの審美眼も驚きに値する。

170年ぶりに里帰りした幻の涅槃図

 日本美術では、江戸時代中期に活躍した絵師・英一蝶(はなぶさ いっちょう)の巨大な涅槃図(ねはんず)が約170年ぶりの修理を経て公開されるのも話題のひとつだ。大きさは高さ約3m、幅約2m。涅槃に入って横たわる釈迦を中心に、悲しみにくれる菩薩や羅漢、卒倒する弟子、嘆き悲しむ動物たちの様子が、緻密かつ色彩豊かに描き出されている。
 この大作は、1886年以前にアーネスト・フェノロサが購入した後、1911年よりボストン美術館に収蔵されていたが、劣化のため公開が実現できなかった。つまりごく僅かの人しか目にしたことがない幻の作品である。約170年ぶりに解体修理を行い、このたび初めて里帰りを果たす。絵に心があるとしたら日本に一時帰国し、祖国の人々と対面する気持ちはどんなものであろうか。江戸時代の人々が寄せた祈りや信仰心に思いをはせながら鑑賞してみたい。

英一蝶《涅槃図》正徳3年(1713) Fenollosa – Weld Collection, 11.4221

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印象派にいち早く注目したボストンのコレクター

印象派が光を放つフランス絵画

クロード・モネ《くぼ地のヒナゲシ畑、ジヴェルニー近郊》1885年 Juliana Cheney Edwards Collection, 25.106

 ボストン美術館の中でも特に強い魅力を放っているのが、印象派の画家たちの作品である。当時、批評家たちも疑念を抱いていたこの新しい芸術運動をボストンのコレクターはいち早く評価し、積極的に収集した。モネ、セザンヌ、ドガ、ファン・ゴッホなど、巨匠の作品19点が色彩の華を咲かせている。

ポール・セザンヌ《卓上の果物と水差し》1890-94年頃 Bequest of John T. Spaulding, 48.524

ファン・ゴッホの傑作が揃って日本初公開!

左:フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年 Gift of Robert Treat Paine 2nd, 35.1982 右:フィンセント・ファン・ゴッホ《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年 Bequest of John T. Spaulding, 48.548

 2点揃って紹介されるのが日本初となるルーラン夫妻の肖像画は、ゴッホが理想郷を求めて南仏アルルに移り住んだ時の数少ない友人を描いたもの。ゴッホは、夫妻だけでなく子どもたちも含め20点以上もの一家の肖像画を遺した。1888年にゴッホはポール・ゴーギャンとの共同生活が破綻し、自らの耳を切り入院するという精神的に追い詰められた状態にあった。ルーラン夫妻はそんな彼を精神的に支えたという。ルーラン一家の肖像画は、そんなゴッホの親愛の情を映し出している。

 ツタンカーメンから村上隆まで、全80点のひとつひとつに込められた作家とコレクターの思いが伝わってくる展覧会である。

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招待券プレゼントのお知らせ

ボストン美術館の至宝展ー東西の名品、珠玉のコレクション

【会期】
2018年2月18日(日)~7月1日(日)
【開館時間】
10:00~19:00 土・日・祝・休日:10:00~17:00
※入場は閉館時間の30分前まで
【休館日】
月曜日 ※4月30日(月・祝)は開館
【会場】
名古屋ボストン美術館(名古屋市中央区金山町1-1-1)
【入館料】
一般1300円 他 ※詳細は展覧会特設サイトにてご確認ください
【アクセス】
JR東海道・中央本線/地下鉄名城線/名鉄名古屋本線「金山」駅南口前
【展覧会特設サイト】
http://www.nagoya-boston.or.jp/grand-final/

「ボストン美術館の至宝展」招待券プレゼント応募は終了しました。
賞品は抽選の上、2018年5月7日に発送しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

202018年4月12日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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