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クルマ最終更新日:2018.03.17 公開日:2018.03.17

【JNCAP2017】衝突安全・項目別ランキング! 全92車種中、乗員保護性能が最も高いのは?

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 国交省と自動車事故対策機構が毎年2回に分けて発表している自動車アセスメント「JNCAP」。

 その内の「衝突安全性能評価試験」(衝突安全)は2011年から同一の試験が実施されており、これまでに評価試験を受けたのは全92車種となる。そこで衝突安全の評価試験の内、搭乗者の安全性を調べる「乗員保護性能試験」(乗員保護)の点数のみで全92車種をランキングにし、今回はその上位10車種を紹介する。

 なおランキングは、同一モデルでも年式が異なる場合は別車種として扱い、またサイド・カーテン・エアバッグ(SCA)のある・なしでも別車種として扱っている。

 衝突安全で行われる試験は大別して、乗員保護(100点満点)、万が一の事故の際に歩行者をどれだけ保護できるかを評価する「歩行者保護性能評価」(100点満点)、シートベルトの着用をどれだけ促せるかを評価する「シートベルトの着用警報装置」(8点満点)の3種類。総合得点は208点満点となる。

 ちなみに、2018年2月現在の衝突安全・全92車種の総合得点ベスト10は以下の通りだ。カッコ内は100点満点換算したもの。

1位:インプレッサ スポーツ/インプレッサ G4/XV(スバル) 199.7点(96.0点)
2位:クラウン アスリート/クラウン ロイヤル(トヨタ) 189.7点(91.2点)
3位:レガシィ(スバル) 188.8点(90.8点)
4位:CX-3(マツダ) 188.2点(90.5点)
5位:CX-5(マツダ) 187.3点(90.0点)

6位:C-HR(トヨタ) 185.8点(89.3点)
7位:デミオ(マツダ) 185.7点(89.3点)
8位:アクセラ(マツダ) 185.1点(89.0点)
9位:アウトランダー(三菱) 184.6点(88.8点)
10位:アウトランダーPHV(三菱) 184.6点(88.8点)

※SCA:サイド・カーテン・エアバッグ

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乗員保護性能評価試験はどんな内容?

乗員保護性能評価試験とは?

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実車を用いる衝突試験には、時速55kmでバリアに正面衝突するフルラップ前面衝突試験、時速64kmで運転席側(オーバーラップ率40%)で衝突するオフセット前面衝突試験、そして画像の側面衝突試験の3種類がある。側面衝突試験は、重量950kgの台車を、運転席側の側面に真横から時速55kmで衝突させる内容だ。どの衝突試験も運転席にダミーが乗せられており、頭部、胸部、腹部、腰部で衝撃を計測。その数値をもとに乗員保護性能の度合いが評価される。

 乗員保護は、衝突事故に遭遇してしまったときに、どれだけ搭乗者を保護できるかを評価するものだ。

 試験内容は実際の事故を想定し、正面衝突の「フルラップ前面衝突試験」、正面右側(運転席側)から衝突する「オフセット前面衝突試験」、そして真横から衝突する「側面衝突試験」の3種類が行われる。車内にはダミー人形が載せられており、どれだけの衝撃が加わったのかを計測し、乗員保護性能を算出する。同一車種3台を用意し、実際にクラッシュさせる過酷な試験だ。

 なんとなく、頑丈でつぶれないクルマが有利だと思うかもしれないが、実はそれだけではダメだ。クルマはつぶれなくても、乗員が車内の構造物に激突してしまっては、結局乗員は大きな損害を受けることになる。このため、乗員保護の優れたクルマを作るには、車内を変形させない頑丈さと同時に、潰れることで衝突の衝撃を吸収できる構造をもった車体を組み合わせる必要がある。

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側面衝突試験でのダミーの様子。クルマが助手席側に瞬間的に大きく動いた結果、クルマと一緒には動いていないダミーの頭部にサイドウィンドウが衝突し、ウィンドウが破損。横方向の力が加わるような衝突ではSCAが有効なのがわかる。

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まずは乗員保護性能評価ベスト3から!

乗員保護性能評価ランキング、まずは上位3車種!

 それでは、乗員保護性能にスポットをあてたベスト10の発表だ。まずは上位3台から。乗員保護の得点は100点満点だ。得点の後ろは試験が実施された年を表している。なお、同点の場合は、年式の古い順に掲載した。

1位:CX-5(マツダ) 95.45点/17年

総合5位(187.3点)
試験を受けたグレード:XD PROACTIVE(17年2月発売)

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マツダのミドルクラス・クロスオーバーSUV「CX-5」。同車に採用されている軽量・高剛性が特徴のフレーム「SKYACTIV-BODY」は、ストレート化された基本骨格、衝撃を全体に分散させるマルチロードパス構造、各部骨格の環状構造が特徴だ。それにより、どの方位から衝突されても衝撃エネルギーを効率的に吸収・分散し、キャビンの変形を抑制できるようにしたという。先代モデルの12年式が全92車種中41位であることを考えると、乗員保護に関する技術が大きく進歩したことがわかる。

 

2位:インプレッサ/XV(スバル) 95.02点/16年

総合1位(199.7点)
試験を受けたグレード:インプレッサ スポーツ 2.0i-L EyeSight(16年10月発売)

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スバル「インプレッサ」(上)と、スバル「XV」(下:販売開始は17年4月)。車名は異なるが、「XV」は「インプレッサ」の派生型のクロスオーバーSUVで、同等の安全性能を持つことから、JNCAPでは同一車種として扱われている。スバルでは、車体強度の向上とフレームの構造の最適化などを行った新開発の「スバルグローバルプラットフォーム」を「インプレッサ」から採用(2車種目が「XV」)。同社の従来のプラットフォームを採用した車種と比較して、約1.4倍の衝撃に対応できるようになった。先代モデルの11年式は46位であることを考えると、同車もまた乗員保護性能が大きく飛躍したことがわかる。

 

3位:リーフ(日産) 94.78点/17年

総合32位(179.4点)
試験を受けたグレード:X(17年10月発売)

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日産は2002年に衝突安全ボディ「ゾーンボディ」を開発し、その後のさまざまな車種に搭載、この2代目「リーフ」も開発時の最新型が採用されている。車体前後の衝撃吸収構造、強固なキャビン、コンパチビリティ対応など、現在の衝突安全ボディのスタンダードを備える。その上、EVならではの高電圧部品の保護も含めた設計となっており、バッテリーをフレームで保護する仕組みを採用。さらに、衝突検知システムも搭載し、バッテリーパック内部に組み込んだ高電圧遮断装置を用いて、衝突時は高電圧を遮断する仕組みだ。先代モデルの10年式は42位であり、「リーフ」もまた乗員保護技術の開発に力が入れられたことがわかる。

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続いてランキング4~6位

続いて4~6位はこの3台!

4位:ティアナ(日産) 94.64点/14年

総合11位(184.4点)
試験を受けたグレード:XL(14年2月発売)

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「ティアナ」にも日産の衝突安全ボディは「ゾーンボディ」が採用されている。ゾーンボディの前後の衝撃吸収構造「クラッシャブルゾーン」は、バンパーリインフォースを大型化することで衝撃を分散させ、ストレート化したフロントサイドメンバを三叉(さんさ)構造でしっかりと支持をすることで、衝撃吸収効率を向上させている。そして「セーフティゾーン」と呼ばれる堅固なキャビンは、フロントサイドメンバ支持構造の三叉化に加え、フロアの床上メンバ、トンネルメンバなどにより多骨格構造化、ドアウエストパイプの設定により荷重を分散・支持することで、搭乗者の安全性を高めている。

 

5位:アコード(ホンダ) 94.48点/13年

総合34位(178.9点)
試験を受けたグレード:HYBRID LX(13年6月発売)

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ホンダ「アコード」には、衝突時の衝撃を制御するホンダ独自の技術「G-CON(G-FORCE CONTROL TECHNOLOGY)」が搭載され、現代の衝突安全のスタンダードを備える。フレームは全体の55.8%に軽く高強度なハイテン材が用いられており、ボンネットやフロントサブフレームなどはアルミ製とすることで、高剛性と軽量化を実現した。ちなみにホンダはG-CONの技術を進展させるため、より現実に近いさまざまな角度での衝突や、サイズの異なるクルマ同士の衝突も行える世界初の屋内型全方位衝突実験施設(延べ床面積4万1000平方メートル)を2000年に稼働させ、実験を続けている。

 

6位:シビック(ホンダ) 93.82点/17年

総合28位(180.8点)
試験を受けたグレード:SEDAN(17年9月発売)

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新型「シビック」のために新開発されたプラットフォームは、全方位に対する衝撃吸収と分散構造を有する。クルマのスタイリングとして、「シビック」はフロントオーバーハング(前輪中心より前の部分)の短いデザインを採用しているため、フロント部分を壊して衝撃を吸収させるという、現代の衝突安全の標準的な構造を採用しにくいのだが、その点も工夫されている。フロントサブフレーム(エンジンやフロントサスなどを搭載する独立したフレーム)をボディに締結するためにリンク構造にしたことで、前面衝突時にフロントサブフレームを脱落させ、ステアリングギアボックスのキャビンへの侵入を防ぎ、ドライバーの安全性を確保する構造となっている。

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最後は7~10位

7位:シャトル(ホンダ) 93.42点/15年

総合30位(180.1点)
試験を受けたグレード:HYBRID X(15年5月発売)

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「シャトル」の衝突安全ボディには、ホンダが独自開発した衝突時の衝撃を制御する技術「G-CON」が採用されている。また衝突時に横方向からの衝撃が加わった場合に備え、搭乗者の頭部への衝撃を緩和するために室内のルーフサイドなどを衝撃吸収構造とする「頭部衝撃保護インテリア」とした。さらに後方から低速で追突された際に、ドライバーと助手席搭乗者の首への負担を軽減するため、フロントシートには頚部衝撃緩和機能が持たせられている。同機能は、体を沈み込ませる特性のシートバックと、ヘッドレストの取り付け角度の最適化により実現している。

 

8位:レガシィ(スバル) 93.29点/14年

総合3位(188.8点)
試験を受けたグレード:アウトバック(14年10月発売)

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スバル「レガシィ」のフレームは、車体強度が特に求められる部分に、1470MPa級という、現在のクルマに採用されている高張力鋼板の中でもトップクラスの引っ張り強度を持つホットプレス成形材が使われている。そのほか、フレームごとに適した複数の高張力鋼板が採用され、軽量化を達成すると同時に、全方位からの衝突に対しての安全性も実現した。なお、「インプレッサ」や「XV」から採用が始まった同社が新開発した「スバルグローバルプラットフォーム」は、次期モデルから採用されると予想されている。この14年式は、先代モデルの09年式の48位から大きく順位を上げた。

 

9位:デミオ(マツダ) 93.26点/14年

総合7位(185.7点)
試験を受けたグレード:(14年9月発売)

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「デミオ」も、マツダの衝突安全ボディ「SKYACTIV-BODY」を採用した1車種。前方からの衝撃に対しては、多方向に分散させて吸収する「マルチロードパス構造」で対応。さらに、衝突時にはボディ前部の衝撃吸収スペースを確保するため、サスペンションクロスメンバを離脱させる仕組みだ。側面からの衝撃に対しては、ルーフ・センターピラー・アンダーボディを連続させた高強度の環状構造でキャビンの変形を抑制し、搭乗者の安全性を確保している。また、ドアのキャビンへの侵入を防ぐため、サイドインパクトバーをフロントドア内部に2本、リアドア内部に1本備えた。リアサイドフレームはツブれることで衝撃を吸収する部分と変形しにくい堅固な部分が組み合わせられており、キャビンと燃料タンクを保護している。

10位:アウトランダー/アウトランダーPHEV(三菱) 93.17点/12年

総合9位(184.6点)
試験を受けたグレード:24G Safety Package(12年10月発売)

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三菱「アウトランダー」(画像は「アウトランダーPHEV」)。ガソリン車の「アウトランダー」とプラグインハイブリッド車の「アウトランダーPHEV」は性能が同じで、実際に項目別で見ても総合得点でもすべて同じ点数だが、JNCAPでは後者が感電保護性能評価試験を受ける必要があることから別車種として扱われている。よって、厳密には同点の10位だが、ここでは合わせて紹介した。「アウトランダー」のボディに採用されているのは、三菱が開発した衝突安全強化ボディ「RISE(Reinforced Impact Safety Evolution:ライズ)」だ。前後の衝撃吸収構造と強固なキャビンという組み合わせからなる。なおアウトランダーで採用されたRISEは、それまでに対してフレームの追加や補強が行われた進化型となっている。

 

【全92車種・乗員保護性能評価ベスト10】
1位:
CX-5(マツダ) 95.45点
2位:インプレッサ/XV(スバル) 95.02点
3位:リーフ(日産) 94.78点
4位:ティアナ(日産) 94.64点
5位:アコード(ホンダ) 94.48点
6位:シビック(ホンダ) 93.82点
7位:シャトル(ホンダ) 93.42点
8位:レガシィ(スバル) 93.29点
9位:デミオ(マツダ) 93.26点
10位:アウトランダー(三菱) 93.17点
10位:アウトランダーPHEV(三菱) 93.17点

2018年3月17日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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